妻が倒れ「入院費100万円」の請求に愕然→しかし支払い時「マイナ保険証」で“約9万円”に抑えられた! いったいナゼ? 2025年9月スタートの「スマホ版」導入方法も解説
本記事では、マイナ保険証の制度概要に加えて、2025年9月から順次導入されるスマホ版マイナ保険証の利用方法と注意点を徹底解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
2024年12月から始まった「マイナ保険証」の安心制度
突然の入院で高額な医療費が必要になった場合、従来は窓口でいったん3割負担分を支払っていました。そして、後日「高額療養費制度」で限度額を超えた分が払い戻される仕組みでした。
しかし、2024(令和6)年12月2日からマイナンバーカードと健康保険証が一体化され、マイナ保険証を利用すれば窓口での支払いが最初から自己負担限度額までに抑えられるようになりました。
例えば、70歳未満で、年収約370万~770万円の人の場合、自己負担限度額は、8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円です。
つまり、100万円の医療費でも窓口負担は約9万円で済み、従来のように全額を一度立て替える必要はありません。しかし、図表1のとおり、マイナ保険証の利用者は全国でまだ3割にも満たず、十分に普及しているとは言えません。
だからこそ、利用環境が拡大していく今のうちに、制度を正しく理解しておくことが大切です。
図表1
厚生労働省 マイナ保険証の利用促進等について
スマホ版マイナ保険証の導入で何が変わる?
さらに、2025年9月からは「スマホ版マイナ保険証」が導入されます。これまではマイナンバーカードを持参し、医療機関の端末で操作する必要がありましたが、スマホにマイナ保険証機能を搭載すれば、カードを忘れても受診が可能になります。
財布を持たない外出時や急な体調不良のときにも、スマホ1台で医療機関を利用できる環境が整うのは、安心感につながります。
当面はカードも必要? 安心して使うための準備と注意点
マイナ保険証は、2023年4月から原則として全ての医療機関・薬局で導入が義務づけられており、現在では「ほぼ全ての施設で利用可能」です。厚生労働省のホームページでも、対応している医療機関・薬局の一覧が公開されています。
ただし、スマホ版のマイナ保険証に関しては、現段階で、現場の運用にばらつきがあるため、初診時にマイナンバーカードを持参するよう案内しています。
安心して利用するためには、事前に受診先が対応しているか確認し、念のためカードも一緒に持参しておくのが確実です。
スマホ版のマイナ保険証の利用開始方法
また、スマホ版のマイナ保険証の利用開始には、事前に次の準備が必要です。
まず、事前に準備するものは、以下のとおりです。
●実物のマイナンバーカード
●最新のマイナポータルアプリ
●券面入力用暗証番号の数字4桁(iPhoneのみ)
●署名用パスワード(英数字6~16文字)
そして、利用開始方法は、以下の4ステップです。
1. マイナンバーカードと暗証番号(数字4桁)を用意
→マイナンバー交付時に設定したパスワードです。
2. 対応するスマートフォンを確認
→マイナンバーカードの読み取りに対応している機種が必要です。
3. マイナポータルアプリをインストール
→利用するブラウザ用のアプリを事前に入れておきます。
4. アプリを立ち上げ、マイナポータルの案内に従って設定
→カードをかざして顔認証するだけ。所要時間は3分程度で完了します。
マイナ保険証をスマホで利用する際には、NFC対応が前提となります。iPhoneは、iPhone XS以降かつiOS 18.5以上を搭載した端末が対象です。一方、Android端末は機種によって対応状況が異なり、特に「おサイフケータイ(=FeliCa対応)」機種であれば利用できます。
実際、図表2のとおり、2024年8月時点でスマートフォン所有者のうち84.0%がFeliCa対応スマホを所有しており、多くの利用者にとっては、問題なく利用できる環境が整っています。
図表2
フェリカネットワークス株式会社 FeliCa Networks 電子マネーとFeliCa対応スマートフォン利用に関するユーザ調査結果
スマホにマイナ保険証を設定すれば、あとは医療機関等の受付にあるカードリーダーにスマホをかざすだけで利用できます。
とはいえ、高齢者には操作の難しさも残るため、当面は「スマホ+マイナンバーカード併用」で備え、受診前に医療機関が対応しているかを確認しておくことが安心につながります。
家計を守るために持っておきたい視点
マイナ保険証の導入で、自己負担限度額を超える医療費を立て替える必要がなくなりました。さらにスマホ対応も進み、利用は一段と便利になっています。ただし、制度を理解していなければ、従来通り、立て替えが必要になる恐れもあります。
不測の事態に備えて、いざというときに慌てないよう、日頃から制度を正しく理解しておきましょう。詳細や利用方法は、厚生労働省のホームページやマイナポータル、各自治体からの案内を確認しておくと安心です。
出典
厚生労働省 マイナ保険証の利用促進等について
フェリカネットワークス株式会社 FeliCa Networks 電子マネーとFeliCa対応スマートフォン利用に関するユーザ調査結果
厚生労働省 スマートフォンのマイナ保険証利用について
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士


