アパートの駐車場代が「3500円→1万円」へ急上昇!“家賃値上げ”が取り沙汰される今、「3倍値上げ」は法的に問題ない? 宅建士の筆者が解説します

配信日: 2025.09.12 更新日: 2025.09.26
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アパートの駐車場代が「3500円→1万円」へ急上昇!“家賃値上げ”が取り沙汰される今、「3倍値上げ」は法的に問題ない? 宅建士の筆者が解説します
近年、賃貸物件の家賃値上げが話題になることが増えています。家賃は、「借地借家法」により、貸主が一方的に値上げを決めることはできず、借主にも反論の余地があります。
 
では、月極駐車場の場合はどうでしょうか。例えば、月3500円だった駐車場代が1万円近くに引き上げられたとき、借主はそのまま受け入れなければならないのでしょうか。
 
本記事では、駐車場代の値上げに関する法的な位置づけや注意点を、宅建士の視点から解説します。
村吉美佳

FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士

家賃と駐車場代は同じ? 値上げに関する法律の違い

賃貸住宅の家賃には「借地借家法」が適用され、貸主が自由に値上げを決められるわけではありません。家賃を引き上げるには、経済事情の変動や近隣相場との比較など、法的に認められる「正当事由」が必要です。合理性がなければ、裁判でも認められないケースがあります。
 
一方、月極駐車場は建物の賃貸とは異なり、民法上の賃貸借契約として扱われます。そのため、借地借家法のような借主保護の規定は及びません。つまり、家賃と駐車場代では法律上のルールが大きく異なるのです。月3500円の駐車場代が突然1万円近くに値上げされても、法律上は違法とはなりません。
 

月極駐車場に「事前告知義務」はあるのか

意外かもしれませんが、民法には「値上げを数ヶ月前に告知しなければならない」といった義務は定められていません。貸主は契約満了時に料金変更を伝える必要はありますが、必ずしも一定期間前に通知する決まりはないのです。
 
契約書で特別な取り決めがされていればその内容が優先されますが、特に定めがなければ通常の賃貸借契約と同じ扱いになります。もちろん、急な値上げは借主に大きな負担となり、トラブルの原因にもなります。法的義務はなくても、円満な契約関係のためには事前の相談や通知が望ましいでしょう。
 

駐車場代の値上げ通知を受けたときの対応策

月極駐車場の値上げ通知を受けたら、まず契約書を確認しましょう。契約期間と料金が明記されていれば、その期間中の値上げは契約違反となり、契約書に記載された金額が適用されます。
 
契約書に明記がない場合でも、貸主と話し合うことは可能です。負担が大きいときは、値上げ幅の交渉を検討しましょう。
 
特に3倍もの引き上げは、一般的に考えて厳しいものであるため、近隣の駐車場相場を調べて比較材料にするのが有効です。納得できなければ、契約を更新せず、別の駐車場に移ることも選択肢に含めて交渉しましょう。対応の基本は次の3ステップです。


1. 契約書で期間と金額を確認
2. 近隣の月極駐車場を調べる
3. 貸主と交渉して値上げ幅を調整

 

まとめ

月極駐車場の大幅値上げは違法ではなく、事前告知義務も法律上ありません。ただし、契約書に期間や金額が明記されていれば、その間の値上げは無効となる可能性があります。
 
まずは契約書を確認し、必要に応じて交渉やほかの駐車場を検討することが大切です。昨今は生活費全般が値上がり傾向にありますが、駐車場代は家賃とは異なるルールで動くことを理解し、冷静に対応していきましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 借地借家法
e-Gov法令検索 民法
 
執筆者 : 村吉美佳
FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士

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