新卒2年目の娘が「手取り18万円で奨学金を返せない」と言っています。「月2万円」の返済を“親が引き受ける”のはアリですか?

配信日: 2025.09.11 更新日: 2025.09.26
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新卒2年目の娘が「手取り18万円で奨学金を返せない」と言っています。「月2万円」の返済を“親が引き受ける”のはアリですか?
「新卒2年目で手取りが18万円。奨学金の返済2万円を続けるのが苦しい…」そのような悩みを抱える子どもを見て、親として「返済を代わってあげようか」と考える方も多いでしょう。
 
本記事では、新卒正社員の収入状況や奨学金返済の負担感、親が支援する際の注意点、そして贈与税の扱いについて解説します。
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新卒2年目・手取り18万円の「現実」は?

新卒2年目で手取り18万円というのは、決して珍しい数字ではありません。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、20代前半の平均月収は、男性で23万4200円、女性は23万600円です。社会保険料や税金が引かれれば、手取りは17〜18万円ほどになります。
 
つまり、18万円は「低い」と感じるかもしれませんが、同年代の水準から大きく外れているわけではありません。
 

月2万円の奨学金返済はどれだけの負担?

手取り18万円に対して月2万円の返済負担は、約11%にあたります。生活費に家賃、光熱費、食費といった固定費を差し引くと、正直生活が圧迫されるレベルの支出です。
 
この返済を続けつつ貯金や趣味・交際費を捻出するのは、かなり厳しいケースも多いでしょう。将来のために自己投資や貯蓄にも回したいところですが、この返済負担によって難しくなっているのが現実です。
 

親が奨学金返済を“代わりに支払う”のはアリ?

親が返済を代わってあげれば、子どもは大きな安心感を得られます。しかしその一方で、「自立心や責任感が育ちにくい」「親の家計に長期的な負担がかかる」といった懸念もあります。そのため、「当面は支援するけれど、余裕が出てきたら少しずつ返してね」と条件を設けるなど、子どもの自立を意識した支え方が理想的です。
 

贈与税はかかるの?

奨学金を変わりに支払う場合に気になるのは税金の問題でしょう。
 
・贈与税の基礎控除は年間110万円
 
親から子への援助が年間110万円以内であれば、贈与税はかかりません。月2万円の返済を親が代わっても年間24万円なので、課税対象にはなりません。
 
・生活費や教育費の援助は非課税扱い
 
国税庁は「通常必要な生活費や教育費の援助は贈与税の対象外」と定めています。奨学金返済は教育費そのものではありませんが、生活を維持するための支援として非課税となる場合もあります。ただし、扱いは状況により異なるため注意が必要です。
 

制度を上手に活用しよう

無理なく返済を続けたい場合は、公的な制度を利用することも検討してみましょう。日本学生支援機構(JASSO)では、収入減などが原因のときに「返還猶予」や「減額返還」といった制度を提供しています。

・返還猶予:一定期間、返済を止めて負担を楽にする制度
 
・減額返還:収入に応じて毎月の返済額を減らせる制度

これにより「親に頼る」のではなく、「一時的な制度利用によって自分だけで対応する」形が可能になり、自立意識を保ちつつ支援を受けることができます。
 

まとめ

新卒2年目の手取り18万円は特別低い水準ではありませんが、月2万円の奨学金返済は大きな負担になります。親が援助するのは「アリ」ですが、贈与税の基礎控除(年間110万円)を踏まえれば、月2万円程度であれば課税対象になる心配はほとんどありません。
 
ただし、支援が長期化する場合や、他にも多額の援助をしている場合は注意が必要です。その場合は税務署や専門家に確認して安心を得ましょう。
 
最も大切なのは、「子どもに自立心を持たせつつ、必要なときに親が支える」というスタンスです。経済的な支援も、制度の利用も、親子でしっかり話し合いながら前向きに進めていくことが、安心と成長につながります。
 

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
独立行政法人 日本学生機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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