タクシーで「コンビニ」に寄ってもらった→戻ったら“待機料金”が発生してたけど、走ってないのにナゼ!?「移動した距離=料金」ではないのでしょうか?
しかし、用事を済ませて車に戻ると、メーターの料金が上がっていることに気づいておどろいた経験はないでしょうか。「走っていないのに料金が上がるのはおかしい」と感じる人も少なくないことでしょう。
実は、これにはタクシーの料金体系に関する仕組みが深く関わっているのです。本記事では、タクシーの料金の仕組みと待機料金について解説します。
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タクシーでコンビニに寄ったら料金が上がっていた?
タクシーで移動中、目的地に行く前にちょっとコンビニに寄りたいことはあります。運転手にお願いしてコンビニで用事を済ませ、再び乗り込むと「走っていないのにメーターが進んでいる!」とおどろいた経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
これは決して不正な請求ではなく、タクシーの料金体系に組み込まれている「時間に応じた運賃」が発生しているのです。
東京23区のタクシー料金の基本
タクシーの料金体系は地域によって異なります。ここでは、東京23区でタクシーを利用したと想定し、タクシー料金の基本について見ていきましょう。
走行中の料金(距離制運賃)
東京23区のタクシー料金は、初乗りが1.096キロメートルまで500円です。その後は255メートルごとに100円が加算されます。走行中はこの「距離」に応じて料金が決まる仕組みです。
待機中の料金(時間距離併用運賃)
一方で、料金は距離だけで決まるものだけではありません。タクシーが時速10キロメートル以下で走行、あるいは停車している場合には「時間距離併用運賃」が適用されます。いわゆる「待機料金」もこれに当たります。
これは1分35秒ごとに100円と定められており、渋滞や信号待ち、そして乗客がコンビニに立ち寄っている間も、この仕組みによってメーターが進んでいくのです。
「待機料金」とは何か
利用者からすると「動いていないのに料金が加算される」のは不思議に感じますが、運転手側から見れば当然のことです。
乗客が車を離れている間もタクシーは利用者(乗客)によって専有されており、他の乗客を乗せることはできません。その拘束時間に対して発生するのが「待機料金」です。
待機中は1分35秒ごとに100円と、ルールとして明確に定められているもので、どちらも正規料金なのです。
走っていないのに料金がかかる理由
「移動した距離=料金」と考えがちですが、タクシーの場合は「時間」にも価値があります。専有している時間は運転手の労働そのものであり、走っていなくても料金が発生するのは当然なのです。
この仕組みを理解すれば「走っていないのに損した」と感じるよりも、「タクシーを占有していた時間にお金を払っている」と納得できるのではないでしょうか。まさに「時間にお金を払う」サービスだと言えます。
コンビニに寄りたいときの工夫
タクシーの乗車中、短時間の立ち寄りなら待機料金は大きくはなりませんが、長引けばその分だけ待機料金が積み上がります。もし買い物が長引きそうなら、一度精算して下車し、改めてタクシーを拾う方法もあります。ただし、すぐに次のタクシーが見つからないリスクがあるので、状況次第でしょう。
待機料金が気になるのであれば、タクシーに乗る前に買い物を済ませておくのが無難です。どうしても乗車中にコンビニ等に寄りたいのなら、あらかじめ運転手に「少し待っていただけますか? 料金が加算されても大丈夫なので」と声をかけておくと運転手も安心でしょう。
まとめ
タクシーに乗っているときにコンビニに寄って戻ると料金が上がっているのは、「時間距離併用運賃」による正規の加算です。東京23区では1分35秒ごとに100円と定められています。
タクシーの料金は「距離」だけでなく「時間」にも基づいていると理解すれば、待機料金に納得がいくはずです。タクシーは単なる移動手段ではなく「時間にお金を払うサービス」でもあるのです。
出典
一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 タクシー運賃料金表
執筆者 : 宇野源一
AFP
