大学生への仕送り平均額は月7万円。住宅ローン(月10万円)を抱えながら、年収600万円で払えるのでしょうか?
本記事では、最新データをもとに仕送りの現状をチェックしつつ、年収600万円世帯で住宅ローンと仕送りを両立できるのかをリアルにシミュレーション。さらに、「何があれば安心できるのか」「どこを調整すれば家計が安定するのか」という視点から、現実的な解決策も提案します。
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目次
仕送り月7万円は妥当? 最新データで見る“大学生への仕送りの実情”
全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査」によると、自宅外で暮らす大学生への平均仕送り額は月7万2350円。これは、家賃も含めた金額です。つまり、家賃(仮に5〜6万円)を引くと、実質的な生活費部分の仕送りは月1〜2万円程度ということになります。とはいえ、実際には以下のような要因で変動します。
・都市部に住むかどうか
→東京や大阪では家賃が高く、仕送り額も増える傾向。
・国公立か私立か
→授業料・教材費の差があり、私立だと追加支援が必要なことも。
・子どもがアルバイトできるか
→仕送り依存度が変わる。
結論、「月7万円」は決して過剰ではなく、“都市部で一人暮らしをする学生”なら妥当な水準です。ただし、家賃をどう分担するかで家計の負担は大きく変わります。
住宅ローン10万円+仕送り7万円は可能か? 仮想ケースでシミュレーション
以下の家族モデルで7万円の仕送りが可能かシミュレーションしてみます。
・父(45歳 会社員(年収600万円))
・母(専業主婦)
・子(私立大学・地方から上京して一人暮らし)
・持ち家(住宅ローン返済中(月10万円))
・手取り年収(年収600万円の手取りは、およそ 470万円前後(月換算で約39万円)。)
・毎月の主な支出(概算)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 住宅ローン | 10万円 |
| 子どもへの仕送り | 7万円 |
| 食費・光熱費・通信・保険等 | 15万円 |
| 車関連(駐車場・保険・ガソリン) | 3万円 |
| 雑費・交際費・貯蓄 | 4万円 |
※筆者作成
合計は約39万円とほぼ手取りギリギリの家計です。突発的な支出(医療費、家電の買い替えなど)があるとすぐ赤字になるリスクがあります。
住宅ローン返済は安全圏? 「返済負担率」でチェックしよう
住宅ローンの適正額を見る際、金融機関は「返済負担率(年収に対する年間ローン返済割合)」を重視します。
年収600万円の人の“安全圏”返済額は年収の25%以内(年間150万円=月12.5万円)です。月10万円なら安全圏内に収まりますが、そこに仕送りを加えると、家計の実質負担率は上昇します。また、住宅ローンには以下の「見えない負担」もあります。
・固定資産税、火災保険、修繕費などの維持コスト
・金利上昇リスク(変動金利の場合)
住宅ローンだけを見て「安全」と判断せず、家計全体でのキャッシュフローを見ましょう。
家計がきついと感じたら? 負担を軽くする4つの工夫
「毎月ギリギリだけど、仕送りはしてあげたい」そんなときに考えられる対策は以下の通りです。
1.子どもと仕送り額を話し合う
家賃だけを親が負担し、生活費はアルバイトでまかなってもらう方法もあります。
2.ローン返済額の見直し(可能なら)
借り換えや繰り上げ返済で月額を軽減できることも。金利の低い住宅ローンに変更できないかチェックしてみましょう。
3.固定費の最適化
保険の見直し、通信費の格安プラン、電気・ガスのプラン変更などで月数千円~1万円以上削減可能です。
4.将来に備えて、今は“削れるところを削る”意識
今の家計の余白が少ない分、「いまは節約を優先」「余裕が出たら支援を増やす」など、時期に応じた切り替えが重要です。
仕送り7万円は現実的。ただし“持続可能性”を意識して計画を
年収600万円で住宅ローンを抱えつつ、仕送りを続けることは「不可能ではない」が、「余裕がある」とは言えません。特に注意したいのは、仕送りが4年間続くという点です。1年だけなら耐えられても、積み重なると家計に影響が出ます。
仕送りは、子どもを支える「愛情の証し」でもありますが、親が自分を犠牲にしてまで続けるのは本末転倒です。お互いが納得できる“持続可能な支援”の形を見つけることが、家族の未来を明るくする一歩になるはずです。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
