道で「現金15万円」が入っている封筒を拾いました。拾得者として謝礼を請求してもトラブルにならないでしょうか?

配信日: 2025.09.17 更新日: 2025.09.26
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道で「現金15万円」が入っている封筒を拾いました。拾得者として謝礼を請求してもトラブルにならないでしょうか?
道で現金が入った封筒を拾ったとき、多くの人は「とりあえず警察へ届けなければ」と考えるでしょう。しかし同時に、「拾った人にも謝礼がもらえるのでは? 」と気になる方もいるはずです。実は、遺失物法という法律により、拾得者には謝礼を請求できる権利が認められています。
 
ただし、金額の上限や手続き、期限などを知らないと、せっかくの権利を失ったり、落とし主とトラブルになったりすることも。この記事では、15万円を拾ったケースを例に、謝礼をめぐる仕組みと注意点を解説します。
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拾得者には「謝礼を請求する権利」がある

落とし物に関しては、遺失物法という法律が適用されます。この法律では、拾得者(落とし物を拾った人)に「報労金(謝礼)を請求できる権利」が認められています。

・報労金は「落とし物の価格の5〜20%」の範囲
 
・請求できるのは、落とし主が落とし物を返還された場合のみ
 
・駅や商業施設など「施設内」で拾った場合は、拾得者と施設管理者で折半

つまり、15万円の現金を拾った場合、謝礼の目安は 7500円〜3万円。駅や商業施設内で拾った場合はその半分、つまり3750円〜1万5000円が拾得者の取り分となります。
 
この報労金は、あくまで「法律で認められた権利」です。ただし、自動的にもらえるわけではなく、拾得者からの請求が必要です。
 

実際に請求できるのはどんな場合?

「請求できる」とはいっても、いくつかの条件を満たさなければなりません。
 
1.速やかに警察に届けること
 
落とし物を拾ったら、遅くとも7日以内に警察署や交番に届け出る必要があります。施設内の場合は24時間以内に施設管理者へ。届け出を怠ると、謝礼を請求する権利を失います。
 
2.落とし主が見つかった場合のみ請求できる
 
警察が落とし主を探し出し、返還されてはじめて報労金請求の対象になります。落とし主が現れなければ、謝礼は請求できません。その代わり、一定期間(3ヶ月)落とし主が現れなければ、拾得者がその現金を取得できる場合もあります。
 
3.返還後1ヶ月以内に請求すること
 
請求期限は、返還された日から1ヶ月以内。これを過ぎると請求権が消滅してしまいます。
 
このように、法律のルールに従って手続きを行ったうえで初めて、謝礼を堂々と請求できるのです。
 

謝礼請求で起こりやすいトラブルと注意点

法律上の権利があるとはいえ、実際に謝礼請求をすると落とし主とトラブルになるケースもあります。代表的な例は次のとおりです。
 
・「そんな大金を払うなんて知らなかった」と拒否される
 
報労金の範囲は法律で決まっていますが、一般の人にはあまり知られていません。突然「3万円払ってください」と言われると驚いてしまい、「不当な要求だ」と感じる人もいます。
 
・「謝礼は渡さない」と突っぱねられる
 
落とし主が感情的になり、報労金の支払いを拒否するケースもあります。法的には請求できますが、強制的に払わせるには民事訴訟が必要になり、時間や労力がかかります。
 
・拾った場所による誤解
 
施設内で拾った場合は謝礼を折半するルールがあります。これを知らずに全額を請求すると、後から「半分は施設に渡す必要がある」と指摘されることも。
 
このように、謝礼請求は「法律で決められている正当な権利」である一方、相手の認識不足から摩擦が生じる可能性があります。
 

トラブルを避けて謝礼を受け取るためのポイント

では、どうすればトラブルを避けながら権利を主張できるのでしょうか。ポイントは次の通りです。
 
・必ず警察に届け出ること
 
これが第一条件。拾ったその日に交番や警察署に届ければ、後で疑われたり不利になったりする心配がありません。
 
・謝礼の制度を事前に知っておく
 
「報労金は法律で5〜20%と決まっています」と冷静に伝えることで、相手に誤解されにくくなります。
 
・金額にこだわりすぎないこと
 
20%の上限いっぱいを請求するより、5〜10%程度を目安に請求する方が現実的です。「権利はあるけど、常識的にここまでで十分」と考えるとトラブルを避けやすいでしょう。
 
・期限を守ること
 
請求は返還後1ヶ月以内に行う必要があります。期限を逃せば権利がなくなるので、受け取るつもりなら早めに伝えるべきです。
 

権利を知り、常識的に行動すれば安心

道で現金15万円入りの封筒を拾った場合、拾得者には法律で謝礼を請求できる権利があります。請求できる範囲は7500円〜3万円。これは決して「厚かましい要求」ではなく、法律で認められた正当な権利です。
 
ただし、手続きの不備や、落とし主の認識不足からトラブルに発展することもあります。大切なのは、拾ったら必ず警察に届けること、そして謝礼は「義務ではなく権利」であることを理解し、常識的な範囲で請求することです。
 
もし謝礼が支払われなかったとしても、拾ったものをきちんと届け出た行為自体が社会的に正しい行動です。自分の権利を知りつつ、無理のない形で活用していきましょう。
 

出典

警察庁 『落とし物・忘れ物を拾ったら?』編>警察に届け出ましょう!
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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