子どもが私立大学医学部に通っているという上司は「貯蓄1500万じゃ6年分の学費を賄えそうにない」そうです。ウチの子は来年大学受験ですが、私立文系なので「600万」あれば足りますよね?
特に私立大学の場合、医学部は6年間で数千万円に達するといわれ、親の大きな負担になります。一方で「文系ならそこまでかからないだろう」と考える方も多いと思われます。では、実際に私立大学文系へ進学する場合、600万円あれば足りるのでしょうか?
本記事では、学費の相場や学費以外の費用を整理し、モデルケースをもとに検証していきます。
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目次
私立文系大学の学費相場とは?
大学の学費は通う大学や地域などによって差はありますが、平均的な金額を知っておくと全体像がつかみやすくなります。まずは、文系学部の学費について見ていきましょう。
文部科学省の「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果」よると、私立大学文系に通う場合の1年間にかかる学費総額は、入学金・授業料・施設費を合わせて119万4841円です。
2年目以降は入学金が不要になるので、4年間では約410万円となります。理系学部は4年間で約540万円ですが、文系では実験や設備費用が少ないため比較的負担が軽いと考えられます。
この調査結果から学費だけで考えると600万円の予算は十分カバーできる水準に見えます。しかし、実際にはそれだけでは済まないのが現実です。
学費以外にも意外とお金がかかる! 見落としがちな大学生活の費用とは?
大学生活では授業料だけでなく、日常の生活費や教材費など思わぬ出費が重なります。学費だけを予算の目安にすると不足する可能性があるため、実際に必要となる費用を確認しておきましょう。
まずは、教材費や備品です。授業で必要な教科書や参考書、ゼミ活動に使う資料、レポート作成用のパソコンなどを購入する必要があります。4年間合計で、20~30万円程度は見込んでおきましょう。ただし、パソコンの購入費用はモデルによってはさらに高額になることもあるため、予算は余裕をもつことが望ましいです。
次に大きいのが、通学や生活に関わる費用です。自宅から通学できる場合は交通費の負担が中心で、4年間で20~40万円が一般的です。一方、下宿先から通学する場合は初年度に敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用と家具家電購入費用が20~50万円ほどかかります。
また、初年度以降は家賃や光熱費といった毎月の生活費が中心となり、年間で100万円以上の支出になるケースも珍しくありません。特に、家具家電の買い替えなど、突発的な支出も考慮しておく必要があります。
さらに、食費や日用品、交際費、通信費といった日常的な支出も考える必要があります。アルバイトで一部賄える場合もありますが、親が負担する割合は少なくありません。また、就職活動時のスーツ代や交通費、帰省費用なども追加で見込む必要があります。
このように、学費だけでなくその他の費用を総合的に考慮すると、大学生活に必要な資金は予想以上に多額となる可能性があります。最新の調査結果を参考にして、十分な準備を心掛けましょう。
600万円という予算で足りるか:モデルケースで試算
では実際に、私立文系大学に進学する子どもを想定して、600万円という予算が足りるのか試算してみましょう。
・教材・備品費:約20~30万円
・通学費:約20~40万円
・食費、日用品、交際費など:約80~120万円
・就活費、通信費、帰省など:約20~40万円
合計すると、およそ550~640万円となります。実家から通える範囲に大学があれば、600万円で十分に賄える可能性が高いといえるでしょう。
ただし、下宿をするケースでは事情が変わります。上記に加えて家賃や光熱費、生活費がかかり、4年間で200~300万円以上の追加支出が発生することもあります。そうなると600万円では不足し、奨学金や教育ローンなどの利用を検討せざるを得なくなるかもしれません。
子どもの大学進学は余裕をもった資金計画を立てよう
私立大学文系の学費は平均で4年間約410万円ですが、生活費や教材費、就活費などを含めると総額は550~650万円程度に膨らむケースが多いです。実家通学なら600万円で収まる可能性もありますが、下宿する場合はさらに数百万円の追加が必要になります。
奨学金や教育ローンを検討する前に、まずは志望校でいくら必要になるのかを早めに確認しておくことが大切です。そのうえで不足が見込まれる場合は、資金計画を立てて安心して大学生活を迎えられるよう準備しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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