18万円の「ドラム式洗濯機」に、9000円の“5年延長保証”は必要?「元が取れる確率」はどのくらいですか? データをもとに試算してみた

配信日: 2025.09.22 更新日: 2025.09.26
この記事は約 4 分で読めます。
18万円の「ドラム式洗濯機」に、9000円の“5年延長保証”は必要?「元が取れる確率」はどのくらいですか? データをもとに試算してみた
家電量販店で18万円のドラム式洗濯機の購入を決意。その際、レジで案内される「5年間の延長保証」に入ろうと考えている人も多いかもしれません。しかし、決して安くはない延長保証を使う確率はどのくらいなのでしょうか。
 
この記事では、家電の平均使用年数から延長保証で元が取れる確率を考えます。さらに、「延長保証に入っておくほうが安心な家電」を具体的に解説します。
大垣はち

FP2級

家電の平均使用年数は10年前後、延長保証は不要になるケースも?

延長保証に加入すべきか考える上で、まず知っておきたいのが家電の平均的な寿命です。内閣府が発表している「消費動向調査」によると、各家電の平均使用年数は図表1のとおりです。
 
図表1

図表1

内閣府 消費動向調査 令和7年3月実施調査結果より筆者作成
 
図表1を見て分かるとおり、エアコンや冷蔵庫、テレビといった主要な家電は10年以上も使用されていることが分かります。5年の保証期間が終了した後も、それ以上の期間にわたって使い続けられるケースが多いことを示しています。
 
ただし、この平均使用年数は修理の有無を考慮したものではありません。保証期間内に修理を経て長く使われているケースがありうる点に注意してください。
 

延長保証料の元が取れる確率は5%程度?

家電量販店各社の延長保証料金は商品価格の5%です。今回は18万円の洗濯機に9000円の5年保証を付けたと仮定して、「元が取れる確率」を計算します。
 

【ステップ1】5年以内に故障する確率を計算する

まず、洗濯機が保証期間内に壊れる確率を考えます。
 
上記消費動向調査のデータによると、洗濯機の平均使用年数は10年で、買い替え理由の76%が「故障」によるものです。しかし、家電の故障は寿命が近づく後半に集中すると考えられるので、単純に半分にはできません。そこで、仮に故障の発生を以下のように振り分けてみます。
 

・安定期(~5年)に起きる故障:全体の2割と仮定→76%×0.2=約15%
・摩耗期(6年~)に起きる故障:全体の8割と仮定→76%×0.8=約61%

 
この仮定に基づけば、5年以内に故障する確率は15%程度と推測できます。
 

【ステップ2】大きな修理になる確率を仮定する

15%の確率で故障するとした場合、その修理代が保証料の9000円を超える「大きな修理」になる確率を考えます。
 
これも正確なデータはありませんので、「故障の3回に1回は9000円を超える大きな修理だ」と仮定してみましょう。これは確率でいうと約33%です。
 

【ステップ3】最終的な「元が取れる確率」を試算する

最後にステップ1とステップ2の確率を掛け合わせます。
 
5年以内に壊れる確率(15%)×大きな修理になる確率(約33%)=約5%
 
以上の試算から、15万円のドラム式洗濯機に9000円の延長保証を付けて元が取れる確率は、およそ「5%」となりました。20人が延長保証に入って元が取れるのは1人いるかいないかというイメージです。
 
以上は仮定の条件に基づく1つの試算にすぎません。しかし、「念のため」「もしものために」と支払っている保証料とはいえ、元が取れる確率は想像以上に低いことが分かると思います。
 

延長保証に入っておいたほうが安心できる家電

「元が取れる確率はたった5%」と聞くと、「延長保証は必要ない」と思えてしまうかもしれません。しかし、故障の確率だけでなく「突然の大きな出費を避けたいかどうか」という観点も大切です。
 
故障の確率は低くても、高額な修理による急な出費が家計に響くケースもあるでしょう。そこで、延長保証を「元を取るため」ではなく、「大きな出費に対する保険」と考えると、入っておいたほうが安心できる家電もあるのではないでしょうか。
 
特に図表2の3つの特徴に当てはまる家電は延長保証に入ることを検討してみてもいいと考えられます。
 
図表2

役割 具体的にどんなときに助かるか 延長保証がおすすめの家電
大きな出費を防ぐ 部品が壊れると修理に数万円かかる家電 ・ドラム式洗濯機
・大きな冷蔵庫
・多機能なエアコン
毎日の生活を守る 壊れたら生活が困る家電 ・冷蔵庫
・洗濯機
高価な買い替えを避ける 壊れるたびに買い替えるのは大変な家電 ・マッサージチェア
・高級なテレビ

各メーカー公式サイト、内閣府「消費動向調査」より筆者作成
 
ドラム式洗濯機や多機能エアコンのように、修理費が高額になりやすい家電や買い替えるのが大変な家電については、延長保証に入ることで家計に対する影響を抑えられるといえるでしょう。
 

延長保証に加入する際は「確率」と「安心」のバランスで決めよう

延長保証について「元が取れる確率」と「保険としての安心感」という2つの視点から考えてきました。データに基づいて確率を見ると、5年延長保証の元が取れる確率は高くありません。
 
しかし、ドラム式洗濯機や大型冷蔵庫のように、修理費用が高額になりがちな家電や、故障すると生活に大きな支障が出る家電については、延長保証が心強い保険になります。延長保証に加入するかどうかは、「確率」と「安心」のバランスを考えたうえで、どちらを大切にしたいかで決めましょう。
 

出典

内閣府 統計表一覧:消費動向調査
 
執筆者 : 大垣はち
FP2級

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問