フリマサイトで「歴代総理大臣の名刺」が1万円超で出品!“コレクション目的”と思ってたけど「悪用」のために売ってるケースも!? 高値で取引される理由とは
一見、単なるコレクションアイテムのように思える政治家の名刺ですが、詐欺への悪用や個人情報保護の観点から、深刻な問題を抱えているのが実情です。本記事では、政治家の名刺が売買される理由やリスクを解説します。
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政治家の名刺はいくらで売買されている?
フリマサイトにおいて著名な政治家の名刺(当時の肩書入り)は、以下のような高値で取引されています。
●岸田文雄首相:1万円
●安倍晋三元総理:1万8000円
●バイデン米大統領:3万9000円
菅義偉元首相の場合、就任直後の「内閣総理大臣」名義の名刺は、まだ流通していないといったプレミア感から2万円で取引が成立しています。
また、故安倍元首相の銃撃事件後には、同氏の名刺が10品前後出品され、最大3万円まで価格が上昇しました。一方、安価なものでは500円程度から購入できる名刺も存在しており、知名度や希少性によって価格に大きな差が生まれているのが現状です。
石破茂首相の辞任表明で、同氏の名刺価値は下落する可能性がありますが、次期首相候補として注目される政治家の名刺は、価値が上昇することもあるでしょう。
なぜ政治家の名刺が高値で取引されているの?
政治家の名刺に高値がつく理由は、高くても購入する人がいるためです。
コレクションを目的とする購入者は、政治家の名刺を収集アイテムとして求めています。メルカリでは「政治家さんの名刺集めている方、コレクションにいかがでしょうか?」という売り文句で取引が成立した例もありました。
また、人脈アピールを目的とした購入も考えられます。政治家の名刺を所有することで、あたかも面識があるかのように見せかけ、ビジネスの信頼性を高めようとする購入者も存在するようです。
名刺が詐欺などに悪用される危険性も
名刺の売買で最も危険なのは、なりすましや詐欺などの犯罪に悪用される可能性です。政治家の名刺を提示することで相手からの信頼を獲得し、不当な利益を得ようとする悪質な行為も想定されます。
実際に2022年には、大阪府の市議が、新型コロナウイルスの公的融資制度を悪用した詐欺容疑で逮捕されました。市議の名刺を示して話に信ぴょう性を持たせる手口が使われていました。この事件では被害総額が10数億円に上り、複数の福祉施設が同様の手口でだまされています。
市議という公的な立場を使って、信頼性を高めた極めて悪質な事件と指摘されており、政治家の肩書が持つ社会的信用を犯罪に悪用した例といえるでしょう。政治家の名刺を持っていても、実際に関係があるとは限りませんが、一般の人には判断が困難な場合があります。
専門家は、「著名な政治家の名刺が詐欺師の手に渡れば、名刺交換をしたと偽って人々の信頼を獲得することが可能になる」と警鐘を鳴らしています。
たった1枚の名刺でも、犯罪者にとっては強力な「武器」となり得るため、無分別な売買は詐欺犯罪のリスクを高める可能性がある点に注意が必要です。
出品されている政治家の名刺には注意しよう
政治家の名刺の売買には、法的、倫理的な問題がある点を理解しておきましょう。
メルカリでは、「個人情報を含む出品や、個人情報の不正利用」を禁止事項に掲げています。しかし、個人情報が記載されていない名刺であれば問題ないとする解釈もあり、現在も複数の名刺が出品され続けています。
「高く売れそうだから」という短絡的な考えで政治家の名刺を出品すると、後に悪用や詐欺に加担してしまう可能性もあるでしょう。
本来名刺は、信頼関係を築くためのツールであり、商品として売買されるべきものではありません。政治家を含む著名人の名刺は購入しない、出品しない、第三者に譲渡しない、という意識を持つことが大切です。
出典
株式会社メルカリ 個人情報を含む出品・投稿、個人情報の不正利用(禁止されている行為)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
