スタバで半分飲んだ「コーヒー」をこぼしたら、店員さんが新しいものに交換してくれた! お店からすると「損」だと思うけど、実はそれ以上のメリットがあるの? コストも含め解説

配信日: 2025.09.23 更新日: 2025.09.26
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スタバで半分飲んだ「コーヒー」をこぼしたら、店員さんが新しいものに交換してくれた! お店からすると「損」だと思うけど、実はそれ以上のメリットがあるの? コストも含め解説
レストランや喫茶店で飲食を楽しんでいるとき、不注意で飲み物や食べ物をこぼしてしまったことはありませんか? こういったことがあると、楽しい時間が台無しになってしまうかもしれません。
 
しかし、コーヒーをこぼしてしまったことにお店側が気遣いをしてくれて、さらに飲みかけだったにもかかわらず新品と交換してくれたら……店員さんに申し訳ない気持ちにはなるものの、うれしい気持ちになるのではないでしょうか。
 
これは、筆者があるスターバックスのお店で実際にした体験で、一気にファンになったのを覚えています。
 
こういった対応をしてお店は損にならないのでしょうか? 本記事で考えてみます。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

スターバックスには交換に関する明確なルールはない

まず、スターバックスには「こぼしてしまった飲み物をどの程度残していたら入れ直す」といった明確なルールは存在しないと思われます。SNS上では同じ体験をしたという声も聞かれるので、スタッフの中でマニュアル化されているかもしれませんが、少なくとも外部に向けた正式なサービスではないでしょう。
 
店舗ごと、またはスタッフ一人ひとりの裁量によるところが大きいと予想されます。また、あくまでもお店側の好意からくるサービスであり、入れ直しの強要は避けなければいけません。
 

コーヒー1杯の入れ直しにかかるコストは?

こういった体験の中で疑問に感じるのは、コーヒーを入れ直してもらったことでどれくらいの損失をお店に与えてしまったのかということです。
 
スターバックスコーヒーでは、コーヒーの原価を公表していないので推察してみましょう。
 
コーヒー豆の価格帯は幅広いので一概には言えませんが、レギュラーコーヒーで1キログラムあたり2500円から3500円、高品質コーヒーで5000円から7000円程度とされています。
 
1杯にコーヒー豆を15グラム使うとすると、レギュラーコーヒーの場合は1杯37.5~52.5円、高品質コーヒーでは75~105円程度で、これにカップやふた、砂糖やミルクのコストが加わります。
 
マイタンブラーを持参したときに受けられる割引は22円です。そこで、カップやふたと砂糖やミルクと合わせて30円ほどのコストがかかると仮定しましょう。これを原価と考え1杯420円のトールサイズドリップコーヒーとして提供すると、利益率は以下の通りと推察できます。

●レギュラーコーヒー:合計コスト67.5円~82.5円(利益率80.4%~83.9%)
●高品質コーヒー:合計コスト105円~135円(利益率67.9%~75%)

ただし、全国に多くの店舗を持つスターバックスは大量仕入れが可能です。実際の利益率はもう少し良いかもしれません。
 
もちろん、より安価に提供できる可能性もありますが、ここではこの金額を基準として話を進めていきましょう。
 

コーヒー1杯の入れ直しで失うものと得るもの

コーヒーを入れ直すことでお店が被る損失は、コーヒーの入れ直しのコスト67.5~135円に加えて、それを提供する店員の労働時間も含まれます。こういったコストをかけてでも、入れ直しという対応をするのはなぜでしょうか?
 
理由は、こぼしてしまったコーヒーを無償交換する対応が、顧客満足度を高めるからだと思われます。こういった対応を受けた客はこのサービスに感動し、スターバックスのファンとなり、リピーターになってくれるかもしれません。
 
前記した通り、コーヒー1杯の利益率は67.9~83.9%と考えられます。人件費を考えると利益率はもう少し落ちますが、それでも1杯のコーヒー分のコストがかかったとしても、客がリピーターとなりコーヒーを注文してくれれば、十分に元がとれるでしょう。
 
さらに、満足した顧客がSNSや口コミを通じてポジティブな体験を広めることにより、間接的な宣伝効果も期待できます。
 
1杯のコーヒーがこれらのきっかけとなるのであれば、このコストはむしろ損失ではなくそれ以上の価値を生む「投資」ともいえるでしょう。
 

スターバックスの柔軟な対応がもたらす価値

スターバックスには、飲み物の交換に関する明確なルールはありませんが、柔軟な対応が顧客満足度を高める要因の1つとなっていそうです。交換による損失は発生しますが、それ以上にリピーターの増加や口コミによる宣伝効果という利益が期待できます。
 
こうした対応は、「人と人とのつながりが生みだす無限の可能性を信じ、育む」というミッションを掲げるスターバックスの理念に合致し、ブランドイメージをさらに高めるものとなるでしょう。
 
目先の利益だけではなく、ときに損をしてでも顧客とのより良い関係を築こうとする文化がスターバックスには根付いていると言えそうです。
 

出典

スターバックスコーヒージャパン株式会社 ドリップコーヒー
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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