子どもが生まれたら、大家さんに「契約違反なので退去して」と言われた! 本当に引っ越す必要はありますか?「立ち退き料」はもらえないのでしょうか…?
そこで本記事では、契約違反として退去を通達された場合にすぐに退去しなければいけないのか解説していきます。退去しなければいけない場合は立ち退き料をもらえるのかについても紹介するので、万が一に備え参考にしてください。
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公序良俗に違反しているか否か
民法上では、民法90条の「公序良俗に反する」契約は無効とされています。そのため、事例のように貸主が一方的に退去を通達してきた場合でも、「子ども不可」の特約が付帯されている賃貸契約が公序良俗に反していると判断されれば、特約が無効なので強制退去を免れる可能性が高いです。
一般的に借主が妊娠することは自然なことなので、子ども不可の特約は公序良俗に反していると考えられます。公序良俗に反しているとされれば、すぐに退去しなくても問題ないでしょう。
契約書に特約のことが明確に表示されていない場合や、特約の確認ができていない場合も公序良俗違反となります。
また、借主は貸主よりも弱い立場にあるので、借地借家法によって権利を守られています。そのため、貸主が退去の通知をするためには正当な理由が必要です。
立ち退き料の請求も可能
しかし、すぐに退去しなくてよい場合でも、貸主との関係が修復できず、話し合いの結果、退去せざるを得ないこともあるかもしれません。また、明確な契約違反により退去を余儀なくされる可能性もあります。
これらの場合はすぐに退去しなければいけない、というわけではなく、解約の申し入れから6ヶ月間の猶予期間があります。これは建物の賃貸人が解約の申し入れをしてから6ヶ月を経過すると解約が成立すると、借地借家法27条で定められているからです。
貸主から退去の通知をされてから6ヶ月間は猶予期間があり、その間に次の居住先を決めるなど、準備をすることができます。また、立ち退き料を請求することも可能です。
借地借家法28条に、賃貸借の解約の申入れは、「建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合に」「正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」と定められています。この「財産上の給付」が立ち退き料に該当します。
立ち退き料は、引っ越しにかかる費用といった借主が被る負担など、総合的に判断されて決まるものです。借主が賃貸料を滞納しているといった問題がある場合は、立ち退き料は減額されると考えられます。
まとめ
子どもが生まれることは、借主が生活するうえで自然なことであり、「それを理由にすぐに退去をしなければいけない」というものではありません。
そもそも、「子ども不可」の特約が公序良俗違反の可能性があるだけでなく、借主側は貸主よりも立場的に弱いので借地借家法によって守られているからです。簡単に退去の申し入れはできず、正当な理由が必要となります。
しかし、貸主側も騒音トラブルや隣人トラブルは避けたいところなので、明確な契約違反や話し合いの結果、退去を通知されることもあるでしょう。この場合は、すぐに退去しなければいけないということではなく、猶予期間があり、立ち退き料を請求することも可能です。
トラブルにならないためにも、契約時に契約書をしっかり確認することをおすすめします。
出典
e-Gov法令検索 民法
法務省 どのような場合に、民法に基づいて契約の効力を否定することができますか。
e-Gov法令検索 借地借家法
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
