産休を取りたいのですが、収入が減るので不安…… 共働き・世帯年収1000万円でも受けられる経済的支援はありますか?

配信日: 2025.09.27 更新日: 2025.09.29
この記事は約 3 分で読めます。
産休を取りたいのですが、収入が減るので不安…… 共働き・世帯年収1000万円でも受けられる経済的支援はありますか?
産休を取ると、その間の収入が減り不安になる方もいるかもしれませんが、「出産一時金」や「出産手当金」という公的な経済的な支援があります。また、社会保険料に対する免除もありますので、本記事で確認してみましょう
新美昌也

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

出産一時金

正常な出産は病気やけがではないので健康保険は利用できず、出産費用は10割負担になります。ただし、帝王切開など正常な出産でないときは保険診療の対象です。
 
厚生労働省の資料によると、正常分娩の平均出産費用(令和6年度上半期)は53万7000円と高額です。この高額な費用を支援するのが、「出産一時金」です。
 
出産一時金では、健康保険の被保険者または家族(被扶養者)が、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産(死産なども含む)をしたときに、子ども1人につき50万円が支給されます。例えば、双子であれば100万円支給されます。
 
この50万円のなかには、万一、分娩の際に子どもが重度脳性まひになってしまったとき、子どもだけではなくその子の家族の経済的負担を補償する「産科医療補償制度」の保険料1万2000円が含まれています。
 
ただし、この産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産したケース、または産科医療補償制度の対象外である妊娠週数22週未満で出産した場合は、48万8000円となります。
 
出産一時金の支給方法は、「直接支払制度」が広く利用されています。保険者から出産育児一時金を、医療機関等に直接支払う仕組みです。出産費用が出産育児一時金を下回った場合は、その差額が支給されます。
 
逆に、出産費用が出産育児一時金を超えた場合は、超えた分を医療機関等の窓口で支払います。直接支払制度を利用するには、出産をする医療機関等で事前に手続きをする必要があります。
 

出産手当金

健康保険の被保険者が出産するために会社を休んで、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、「出産手当金」が支払われます。ただし、この手当は給与の補てんであるため、扶養に入っている配偶者などが会社を休んでも支払われません。
 
出産手当金の対象となる日は、出産の日(ただし、予定日の後に出産した場合は「出産予定日」)以前の42日(多胎妊娠の場合は98日)より、出産の翌日以後56日目までの間で、会社を休んだ日です。もし、予定日よりも出産が遅れた場合は、遅れた期間も出産手当金を受け取ることが可能です。
 
出産手当金の額は、「直近1年間の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」で計算されます。
 
ただし、就職後勤続1年未満で出産したような場、「直近1年間の標準報酬月額の平均額」が計算できませんので、以下のいずれか低い額で計算します。
 

(1)支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
(2)標準報酬月額の平均値(協会けんぽの場合32万円)

 
出産手当金は、産後休業終了後から2年以内に会社を通じて保険者に申請します。詳しくは、会社の総務部に確認してください。
 

産休中の社会保険料の免除

雇用保険料は給与に雇用保険料率を乗じて求めるので、給与が支払われなければ雇用保険料は発生しません。健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は給与が支払われなくとも保険料を原則負担する必要がありますが、会社が免除の手続きをすることで従業員も会社も保険料の支払いを免れる場合があります。
 
保険料の免除を受けても、健康保険の給付は通常どおり受けられます。また、年金額の計算において免除を受けた期間は保険料を納めた期間として扱われるので、将来の年金額に影響はありません。
 
産休中、社会保険料の免除の申し出は、産休中または産休の終了日から1ヶ月以内に、会社を通じて年金事務所に行います。
 

まとめ

産休中の経済的支援として、出産一時金、出産手当金、社会保険料の免除についてポイントをみてきました。これらは申請しないと受けられないので、忘れずに手続きをしましょう。
 

出典

厚生労働省 出産費用の状況等について(第186回社会保障審議会医療保険部会 資料4)
全国健康保険協会(協会けんぽ) 子どもが生まれたとき
全国健康保険協会(協会けんぽ) 出産で会社を休んだとき 
 
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

  • line
  • hatebu

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問