甥(おい)や姪(めい)に奨学金の保証人を頼まれたらどうする?
配信日: 2017.09.28 更新日: 2019.08.27
しかし、本人が万一奨学金破産したとき、保証人にまで破産の連鎖が起こる可能性があります。保証人を頼まれたときに、どう対応したらよいでしょうか。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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機構奨学金の2つの保証制度
機構奨学金の申込時に保証制度を選択しなければなりません。保証制度には人的保証制度と機関保証制度があります。
人的保証制度は、原則として父母のどちらかが連帯保証人になり、本人及び連帯保証人と別生計の叔父(おじ)、叔母(おば)などが保証人になります。
機関保証制度は、保証機関(日本国際教育支援機関)に保証料を支払います。保証料を支払えば、連帯保証人、保証人を立てる必要はありません。ただし、保証料を支払っていても返還はしなければなりません。なお、進学後、「進学届」を提出した後は、機関保証制度から人的保証制度への変更ができません。
延滞地獄から奨学金破産へのプロセス
返還が滞ると利息とは別に年5%の延滞金が課されます。3ヵ月延滞すると、延滞となっている事実が個人情報信用機関に登録されます(いわゆるブラックリストに載る)。登録されると、クレジットカードや各種ローンが利用できなくなります。しかも、一度、登録されると、延滞を解消しても返還完了後5年を経過するまで情報は消えません。
さらに、9か月を超えて延滞すると、返還期日が到来していない分も含めた返還残額、利息、および延滞金について「全額一括」請求されます。これに応じない場合は法的手続きが取られ、最終的には強制執行に至ります。人的保証制度を選択した場合、たとえ本人が自己破産しても、連帯保証人、保証人へと請求され、自己破産が連鎖する可能性があります。
奨学金破産の連鎖を食い止めるには
機関保証制度を選択すれば、自己破産は本人だけで止まります。しかし、本人は、保証料が高いから、叔父(おじ)や叔母(おば)に保証人を頼んだ可能性があります。
甥(おい)や姪(めい)から保証人を頼まれて、無下(むげ)に断るわけにもいかないと思います。このようなときは、甥(おい)や姪(めい)に、機関保証制度の保証料の負担を申し出たらいかがでしょうか。
もし、保証料を負担する場合は、年度末に、本人から学業などの報告を受け、保証料の負担を継続するかどうか決めることをお勧めします。仮に打ち切ったとしても、本人に与える影響は、毎月振り込まれる奨学金が保証料分、少なくなるだけです。このくらいのペナルティーは本人に課してもいいのではないでしょうか。