【驚き】「車いっぱいの空き缶」が4000円で売れた!?“アルミ缶”は意外と高く売れる? Xの投稿が話題に
本業の収入だけでは心もとないと感じる人が増え、「何か手軽な副業はないか」と考えている方にとって、この投稿は非常に興味をそそられるものだったのではないでしょうか。
「もしかして、空き缶拾いは意外と儲かる副業になるのでは?」という疑問に答えるため、空き缶売却の実態について見ていきましょう。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
空き缶はどこで売れる? 売却は本当に「儲かる」のか
まず、そもそも空き缶はどこに持って行けば買い取ってもらえるのでしょうか。
一般的に、空き缶などの資源ごみは、「スクラップ業者」や「資源回収業者」と呼ばれる専門の業者が買い取ってくれます。「〇〇市(お住まいの地域名)資源回収」などと検索すれば、持ち込み可能な業者が見つかるはずです。
買い取り価格は、空き缶の種類によって大きく異なります。
アルミ缶:ビールや炭酸飲料などに使われる。やや高値で取引される。
スチール缶:コーヒーやお茶などに使われる。アルミ缶より安価で取引される。
価格は金属の市場価格によって常に変動しますが、専門業者のウェブサイトなどを参考にすると、現在の買い取り価格の目安は以下のようになっています(2025年9月時点)。
アルミ缶:1kgあたり約150~250円
スチール缶:1kgあたり約24~26円
(※価格は業者や地域、市場の状況によって変動しますので、あくまで目安としてお考えください)
アルミ缶とスチール缶では価格に10倍近い差があります。効率的に稼ぐことを考えるなら、ターゲットは「アルミ缶一択」と言えるでしょう。
「アルミ缶20kg分」は、どれくらいの量になる?
話題になった投稿では、「20kgで4000円(1kgあたり200円)」だったと報告されています。この「20kg」という量は、アルミ缶だと一体どれくらいの数なのでしょうか。一般的な350mlのアルミ缶1つの重さは、約13~15gとされています。最近は「軽量化」が進んでいますが、ここでは仮に「15g」として計算してみましょう。
20000g(20kg)÷15g/缶=約1333缶
よって4000円を得るために必要なアルミ缶の数は、約1333缶となります。
筆者は毎月、ボランティアで地域の繁華街におけるゴミ拾いをしているのですが、メンバー10人程度で1時間ほどゴミ拾いをして集まる空き缶の数は、多くても200缶に届きません。1333缶は、個人で集めるには相当無理がある分量であると考えられます。
仮に個人が毎日50缶ずつ拾い集めたとしても、1333缶に届くには約27日、1ヶ月ちかくかかる計算です。さらに、膨大な量の空き缶を一時保管しようとすれば、相当なスペースが必要になることも想像に難くありません。普段の生活で出るゴミとはわけが違う、まさに「事業」レベルの量と言えるでしょう。
家庭で出る空き缶を1年間貯めたら、いくらになる?
「1度に1333缶は無理でも、家で出る空き缶をコツコツ貯めたらどうだろう?」と考える方もいるかもしれません。そこで、具体的な家庭を想定してシミュレーションしてみましょう。
●夫婦と子ども1人の3人暮らし。
●1人あたり、1週間に5缶(アルミ缶)のお酒・ジュース等を飲む。
この場合、1年間に消費するアルミ缶の数は、
5缶×3人×52週=780缶/年
年間に780缶のアルミ缶が集まることになります。この重さを計算してみると、
780缶×15g/缶=1万1700g=11.7kg
そして、この11.7kgのアルミ缶を、先ほどと同じく1kgあたり200円で売却できたとすると、買取価格は以下のようになります。
11.7kg×200円/kg=2340円
家庭で出る空き缶を貯めて売ることで、年間で2300円程度の収入を生み出すことはできますが、これは現在の最低時給(1100円程度)のアルバイトでも2時間ほどで稼げる金額です。1年かけて空き缶を洗い、潰し、保管する手間を考えると、残念ながら「割の良い副業」とは言えません。
Xの投稿のように4000円、あるいはそれ以上の収入を目指す場合は、数千~数万缶という大量のアルミ缶を自宅外から集めてくる必要があり、ほとんど事業としての「廃棄物収集」を実践することになります。
しかし、これには多大な時間と労力がかかりますし、衛生面の問題や、場所によっては条例で資源ごみの持ち去りなどが禁止されている場合もあります。
どちらにせよ、他の仕事を抱えたままで行う副業としては、空き缶拾いは適当でないと言えそうです。
まとめ
「空き缶拾い」は、リサイクル活動への貢献や、節約意識の延長線上にあるお小遣い稼ぎとしては意味がありますが、本業の収入を補う「副業」として成立させるのは、極めてハードルが高いと言えるでしょう。
もし割の良い副業を探しているのであれば、空き缶拾いについては専門業者に任せ、スキルアップや他の仕事探しに向けたほうが、より大きなリターンを得られる可能性が高いかもしれません。
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
