引き出しから100ポンドの「トラベラーズチェック」が出てきました。日本円で「2万円」近いのに使える場所も見当たらないし、廃棄するしかないのでしょうか?
手元に残ったままのトラベラーズチェックは、一定の条件を満たせば、金融機関等に買い取ってもらい換金することが可能です。その方法や条件を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
目次
まずは券面の発行元をチェック
ドルやポンドといった外貨建てのトラベラーズチェックを換金したいと思ったら、基本的に発行元に買い取ってもらう手続きが必要です。
発行元を確認するには、券面をチェックしましょう。たいていは券面の右下か中央あたりに「issuer」「issued by」といった文字があり、続いて、発行元であるカード会社や金融機関の名前が記載されているはずです。
券面には、複数種類の企業名やブランドロゴが表示されていることも多いため、少々分かりにくいかもしれません。
買い取りの基本的な流れは「店舗に行く」「必要書類を提示」「現物確認後に日本円を受け取る」
もっとも一般的な換金方法は、必要書類を持参して発行元の金融機関窓口や両替所に出向き、券面や本人の確認をして、問題がなければその場で日本円を現金で渡される、という流れです。
必要書類として、トラベラーズチェック本体はもちろんのこと、免許証やマイナンバーカードといった公的身分証明書の原本を忘れずに持参しましょう。
トラベラーズチェックを購入した際に受け取った契約書や、計算書類の提示を求められることもあるようです。また、買い取ってもらった円をその場で受け取るのではなく、所有者指定の口座に後日振り込みとされる場合もあるので、念のため預金口座情報を控えておくと安心です。
窓口で買い取りを依頼する申請書を記入し、券面1枚ごとに2箇所ある署名欄のうち未記入のほうに署名し、筆跡が同じかどうかを確認してもらいます。レートは買い取り店舗によって異なり、手続きをした日のトラベラーズチェック専用のレートで計算されます。
問題がなければ換金された日本円をその場で受け取れますが、書類確認に時間がかかったり、一部の窓口によっては、後日、銀行口座等に振り込まれたりすることもあります。
郵送やオンラインで手続きが完結するケースもある
近くに取り扱い窓口がない場合、店頭ではなく郵送やオンラインでの手続きが可能な場合があります。例えば、大手両替所A社の場合は、次のような手続きで郵送によるやりとりが可能です。
(1)トラベラーズチェックは1枚につき2箇所ずつ、あらかじめ署名しておく。
(2)規定の申込書に必要事項(本人情報、メールアドレス、振込先情報、トラベラーズチェックの種類と金額など)を記入する。申込書はサイトからダウンロードまたはコンビニエンスストアでネットプリントできる。
(3)申込者本人の公的証明書の写しと、トラベラーズチェック購入証明書または領収書を用意する。購入証明書や領収書がない場合は、(2)に購入した場所と時期を書けばOK 。
(4)(1)から(3)のすべてを一般書留で郵送する。
(5)書類や諸条件に問題がなければ、買い取り手続きをする日のレートで契約が成立し、取引明細がEメールで送られてくる。
(6)1回あたり数百円の手数料が差し引かれた金額が指定の口座に振り込まれる。振り込まれるまでの期間は10営業日程度。
大手クレジットカード会社が提供しているオンラインでの買い取りサービスは、同様の内容を郵送の代わりにウェブサイト上で行うイメージです。
発行元のウェブサイトで条件や手続き方法を丁寧に確認
手元のトラベラーズチェックを換金するには、取り扱い機関によって異なるいくつかの条件があります。発行元(両替所では複数の発行元に対応していることがある。
地方銀行や信用金庫などは対応不可の場合がある)、通貨の種類(ユーロ以前のヨーロッパ旧通貨は不可の場合がある)、金額(上限がある)、旧姓や名義変更時の対応(旧姓時の本人確認書類が必須の場合がある)、所有者本人以外の申し込みの可否(相続など本人以外の対応が負荷の場合がある)などです。
最近は、発行元のウェブサイトにトラベラーズチェックの取り扱いに関する個別の条件や手続き方法が掲載されていることが多いようです。まずは手元の券面を確認して、発行元のウェブサイトを確認することが正確で最短の方法と言えそうです。
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
