【比較】50代で“車の買い替え”なら「200万円のコンパクトカー」「300万円のSUV」どっちが得? 10年間の“コスト”をFP目線で解説

配信日: 2025.09.30
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【比較】50代で“車の買い替え”なら「200万円のコンパクトカー」「300万円のSUV」どっちが得? 10年間の“コスト”をFP目線で解説
子どものいる家庭では、50代になるとそろそろ子どもが独立し、生活スタイルが変わる節目です。それに伴い、車を買い替える人も少なくないでしょう。
 
ここでは、「200万円台のコンパクトカー」と「300万円台のSUV」を10年間使った場合にどちらが家計にとって得かを、購入費・燃費・維持費・売却価格などで比較し、50代に最適な選択をファイナンシャルプランナーの目線で解説します。
上嶋勝也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

50代の車を巡る意識と市場動向

子どものいる多くの家庭では、50代になると子育て終了によるライフスタイルの変化が起こります。通勤・休日の外出が中心になり、荷物の積載量や道の狭さ、運転のしやすさなどが車選びに影響するでしょう。
 
また、一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)の2023年度の調査によると、買い替えを検討している人の中で、車体価格300万円超のハイブリッド車や電気自動車への認知率が高まっており、その価格帯の次世代技術(HV/EVなど)への意識も上がっています。
 
一方で、ガソリン・駐車場代など経済的負担を理由に、車の保有を減らしたいという意向も見られます。
 

購入価格と初期コストの比較(200万円vs300万円)

まずは、購入時のコストを見ていきましょう。仮にコンパクトカーを200万円で購入、SUVを300万円で購入したとします。差額は100万円です。ローンを組む場合は、金利も費用に上乗せされます。
 
また、車両価格が高いSUVのほうが、付属装備・安全性能・サイズ・駆動方式(4WDなど)が充実している場合が多く、オプション費用によってさらに差が出ることがあります。
 
加えて、自動車取得税や環境性能割などの税金計算や各種登録諸費用も、車両価格や排気量によって異なります。300万円クラスのSUVでは、これらの諸費用が200万円のコンパクトカーよりも高くなる傾向があるでしょう。
 
この初期コストの差を埋めるためには、維持期間を長くして1年あたりのコストを下げるか、燃費や車検などの点検コストといったランニングコストで節約しなくてはなりません。
 

10年間でかかる燃料費・維持費の見積もり比較

ここでは、年間走行距離を1万キロメートルと仮定して、燃費・税金・保険・車検・整備・駐車場代などの維持費を比較します。
 
図表1

図表1

筆者作成
 
年間走行距離・排気量・車重によりますが、税金・車検・保険などはコンパクトカーのほうが多少有利であると考えられます。大手損害保険会社の試算によると、コンパクトカークラスの自動車税・重量税・点検・車検費用・燃料代を含めた年間維持費は約30万円前後というデータがあります。
 
SUVの場合は、車本体や装備が重いため車検・点検でのパーツ交換や摩耗部品が多く、タイヤ交換にも費用がかかりがちです。現状の維持費目安はコンパクトカーと同程度ですが、駐車場代や保険料も高めになることもあります。年間では、維持費でコンパクトカーよりも約数万円の上乗せがあるかもしれません。
 
同じ車両を10年間使う場合、燃料費だけで差を比較すると、同試算によると、コンパクトカーの場合は6万円×10年間=60万円、SUVの場合は10万円×10年間=100万円で、その差は40万円となります。そこに税金や保険・整備の差が重なれば、総維持費で50~80万円以上の差となる可能性が高いでしょう。
 

50代の車選びにおける賢い戦略

上記を踏まえると、50代で「200万円台のコンパクトカー」を10年使うほうが、家計にとっては圧倒的にコスト効率が良い可能性が高いといえます。特に、以下のような場合はコンパクトカー購入がおすすめです。

●年間走行距離が1万キロメートル前後と中程度であること
●車の維持、整備に手をかけて長持ちさせること(定期的な点検、消耗品交換など)
●駐車場代や保険料など、固定コストが高い地域であること

ただし、SUVにも以下のようなメリットがあるため、快適性や安全性・見た目・運転のしやすさを重視する人には検討余地があります。

●車高や視界が良く、乗降が楽なこと
●荷物やアウトドア用途で積載性が必要なこと
●雪道、悪路での走行性能が求められること

最終的には、車に何を優先して求めるかが大切です。コスト重視ならコンパクトカー、快適性や趣味を重視するならSUVでしょう。また、ハイブリッドや次世代車(EVなど)を選ぶなら、燃費や税の優遇制度も視野に入れることです。
 
50代にも車体価格300万円超の次世代車(HV、EVなど)を検討する意向が一定あり、これらのコスト削減効果を見込んでいる人が多いというJAMAのデータも参考にしながら、賢く選びましょう。
 

出典

一般社団法人日本自動車工業会 2023年度乗用車市場動向調査について
 
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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