育児休業給付金が支給されると“手取り10割”もらえると聞きました。契約社員で1年以上勤めているので、夫も育休が取れれば、わが家でも対象になるのでしょうか?
従来の給付金は6~7割程度が支給される仕組みでしたが、制度改正で“10割に近い水準”を受け取れるケースが登場しました。とはいえ「契約社員でも対象なのか?」「夫婦で育休を取った場合はどうなるのか?」など、条件は気になるところです。
本記事では、育児休業給付金の仕組み、契約社員の対象条件、夫婦で育休を取ったときの給付の扱い、そして実際に対象になるかどうかを確認するためのポイントを解説します。
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目次
育児休業給付金とは? 「手取り10割」が話題になった理由
育児休業給付金は、子どもを育てるために休業する際、雇用保険から支給される給付金です。男女問わず、雇用保険に加入している労働者であれば対象となります。
従来は「育休開始から半年間は休業前賃金の67%、その後は50%」が支給率でした。そのため、社会保険料が免除されることを考慮しても「手取り10割」とはならず、実際には元の給与より少ない金額しか受け取れませんでした。
ところが、2025年4月から新制度が導入され、一定の条件を満たすと「実質的に手取り10割に近づける」ことが可能になりました。これは「出生後休業支援給付金」などの上乗せ制度によるもので、夫婦双方が育休を取ると加算される仕組みです。
つまり「誰でも無条件で10割もらえる」わけではなく、あくまで条件次第で実現するケースがある、というのが実態です。
契約社員でも育休給付金は受け取れる? 勤続1年以上の要件
正社員だけでなく、契約社員やパートなどの有期雇用労働者も条件を満たせば育児休業給付金を受け取れます。主な条件は以下のとおりです。
●雇用保険に加入していること
●育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または、賃金支払いの基礎となった時間が80時間以上)ある月が12ヶ月以上あること
●休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は、就業時間が80時間)以下であること
●育休開始時点で、契約更新により引き続き雇用される見込みがあること
「勤続1年以上」という状況であれば、2年間に12ヶ月以上働いたという条件を満たしている可能性が高いです。ただし、契約の更新予定がない場合は対象外になる可能性があります。
また、育休を理由に契約を打ち切る「雇止め」は法律上問題となるケースがありますので、不安な場合は労働局やハローワークに相談することをおすすめします。
夫婦で育休を取るとどうなる? 加算制度と注意点
今回注目されている「手取り10割に近い」仕組みは、夫婦双方が育休を取る場合に関係します。
新制度では、夫婦ともに子どもの出生後に14日以上育休を取得した場合、通常の育児休業給付金に加えて「出生後休業支援給付金」として休業前賃金の13%が上乗せされます。これにより、支給率が実質的に引き上げられ、社会保険料の免除や税の非課税措置も含め、手取りが給与水準に近づくのです。
ただし、注意点もあります。
●加算を受けるには夫婦双方(配偶者が就労していない場合は本人)が育休を取ることが必須条件
●上乗せがあるのは育休開始からの一部期間のみ
●勤務先から給与が支払われる場合、その分は給付金が減額される
つまり「手取り10割になる」と聞いても、それは一部期間・条件付きでの話です。長期的に見れば、通常どおり67%から50%に下がっていく仕組みは変わりません。
まとめ:対象になるか確認すべきポイント
育児休業給付金は、正社員だけでなく契約社員やパートでも要件を満たせば受給できます。勤続1年以上であれば、対象となる可能性は十分にあるでしょう。
さらに2025年4月からは、夫婦で育休を取ることを条件に給付が上乗せされる仕組みが導入され、期間限定ではありますが、手取りが給与水準に近づくケースも出てきます。
ただし、これはあくまでも一定の条件を満たした場合に限られるため、誰でも自動的に10割を受け取れるわけではありません。
自分や配偶者の勤務先の制度、契約更新の見込み、雇用保険の加入状況などを一つずつ確認し、不明点はハローワークなどの公的機関に相談しておくと安心です。制度を正しく理解し活用することが、安心して子育てに向き合える生活基盤づくりにつながります。
出典
厚生労働省 育児休業等給付について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
