シングルマザーが「家賃支援9ヶ月分」を受給できた理由。パート収入があっても申請できる?“住居確保給付金制度”の正体とは
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住居確保給付金とは?生活保護ではない家賃支援制度
住居確保給付金は、収入減少により家賃の支払いが困難になった世帯に対し、自治体が家賃相当額を直接大家さん(賃貸人や不動産事業者など)に支払う制度です。
制度の特徴は、現在働いている人でも利用できる点です。収入が不安定になりがちな非正規雇用の人にとって重要な支援となっています。
厚生労働省のデータによると、シングルマザーの平均就労収入は約234万円と低く、約4割が非正規雇用で収入が不安定な状況にあります。このような世帯にとって、住居確保給付金は生活の安定に欠かせない制度といえるでしょう。
この制度は、経済状況の変化に応じて利用されています。特にコロナ禍では利用が急増し、困窮世帯の住居確保に大きな役割を果たしました。現在は利用者数が落ち着いていますが、いざというときの重要なセーフティーネットとして機能し続けています。
住居確保給付金の支給条件は? 収入基準と資産要件を詳しく解説
住居確保給付金を受給するには、以下の4つの条件を満たす必要があります。詳細は自治体ごとに異なるため、実際に申請する際は、お住まいの市区町村の最新ページをご確認ください。
就労状況の要件
家計を支えている人(世帯の主たる生計維持者)が「離職・廃業後2年以内」または「本人の責任・都合によらない収入激減により失業したときと同じくらい生活が苦しい」状態であることが必要です。解雇や廃業だけでなく、会社都合のシフト減や休業による収入減も対象となります。
収入基準
申請月の世帯収入が「基準額(=住民税が免除される収入ラインを12で割った金額)+家賃の上限額」以内であることが条件です。2人世帯の場合、月収17~18万円以下が目安となります。
資産基準
申請時点の世帯の預貯金や現金などが「基準額×6」以内が条件です。上限は100万円以内で、2人世帯では78万円以下が上限として設定されている自治体が多いです。
求職活動義務(継続的な就職活動)
ハローワークなどへの求職登録を行い、月2回以上の職業相談や週1回以上の企業応募など、何らかの就職活動を継続する必要があります。
支給額と期間は? 最大9ヶ月間の家賃補助が可能
自治体によって支給額の上限額は異なります。
・神奈川県横浜市:6万2000円
・千葉県船橋市:5万2000円
・大阪府大阪市:4万8000円
支給期間は原則3ヶ月ですが、申請により2回まで延長可能で、最長9ヶ月間の支援を受けられます。就職などで状況が改善すれば給付は停止されますが、再び困窮した場合は前回の支給終了月の翌月から1年経過後に条件を満たせば再申請も可能です。
必要書類と申請方法は? 自治体窓口での手続きを解説
申請は居住地の生活困窮者自立相談支援機関(各自治体が運営する住宅・仕事・生活の総合相談窓口)で行います。
・離職や休業の証明書類(雇用保険被保険者離職票や解雇通知など)
・収入証明書類(給与明細など)
・預貯金証明書類(通帳の写し)
・賃貸借契約書の写し
収入機会の減少による申請の場合は、会社からの休業命令書・メール、シフト表(前後が比較できるもの)が必要です。審査通過後、支給決定通知書が送付され、通常は申請月分の家賃が翌月末に大家さんの口座へ振り込まれます。
困ったときは1人で悩まず自治体に相談を
住居確保給付金は、収入減少で家賃支払いに困った世帯のためのセーフティーネットになります。生活保護より手軽に利用でき、パートや非正規雇用の人でも条件を満たせば申請可能です。最大9ヶ月間の家賃補助により、住まいを失うリスクを回避できます。
制度には地域差や就労要件などの課題もありますが、一時的な自立支援策として重要な役割を果たしています。家賃の支払いでお困りの人は、1人で悩まずにお住まいの自治体窓口に相談してみてください。
出典
厚生労働省 住居確保給付金
こども家庭庁 令和3年度全国ひとり親世帯等調査
厚生労働省 令和6年度 住居確保給付金の申請・決定件数の推移
厚生労働省 生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアル
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
