母の1週間の入院が決まりました。医療費は私が払うことになりましたが「絶対に個室がいい」と言っています……個室代はどのくらいかかるのでしょうか。
入院費用には保険が適用される項目もあれば、全額自己負担となる項目もあります。その代表的なものが「差額ベッド代」と呼ばれる個室利用料です。ここでは、入院費用の内訳と個室代の目安を確認していきます。
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入院にかかる基本の費用
入院時の費用は次の2種類に大別できます。
・診察料や検査料、投薬などの「医療費」
・病室代や食事代などの「保険適用外の費用」
医療費には健康保険が適用されるため、自己負担は原則3割です。また、高額療養費制度を利用すれば、1ヶ月に支払う医療費が一定の上限額を超えた場合に払い戻しを受けられます。収入によって上限は異なりますが、一般的な所得の方であれば8万円台が目安になります。
一方、個室を利用する際にかかる「差額ベッド代」は保険対象外です。差額ベッド代とは、個室や少人数部屋を選んだ場合に加算される追加料金を指します。
本人や家族の希望で個室や少人数部屋を選んだ場合に生じる差額ベッド代は全額自己負担が原則で、公的制度からの補助は受けられません。快適さを求めるための追加料金という位置づけであることが理由です。
また、入院中は食事療養費や日用品、テレビカード代などの細かな出費も加わります。数百円から数千円程度でも日数が延びれば合計で数万円規模になり、差額ベッド代と合わせると負担は一層大きくなります。
差額ベッド代(個室代)の相場
差額ベッド代は病院や地域によって金額が大きく異なります。厚生労働省の調査によれば、差額ベッド代の全国平均はおおよそ次のとおりです。
・4人以上の大部屋:無料〜数千円/日
・2人部屋:3000〜8000円/日
・個室:5000〜2万円/日程度
・特別室(スイートなど):2万円以上/日
「個室」の場合、1日あたり5000円から2万円程度が目安です。仮に1週間(7日間)の入院で1万円/日とすると、差額ベッド代に7万円かかります。2万円/日の個室なら14万円と、大きな負担となります。
なお、都心部の大規模病院や大学病院では、個室代が高めに設定されていることも少なくありません。入院先の病院ごとに料金表が公開されている場合が多いため、事前に確認しておきましょう。
保険で個室代はまかなえるのか
公的医療保険には個室代を負担する仕組みがないため、原則として自己負担です。ただし、民間の医療保険に加入している場合は「入院給付金」で補えることがあります。
例えば、1日5000円の給付金が出る契約であれば、1週間の入院で合計3万5000円を受け取れます。差額ベッド代の一部をカバーでき、経済的な負担を軽減できます。
反対に、保険に加入していなかったり給付金額が少なかったりする場合には、数万円単位の費用を負担しなければなりません。個室代は短期でも大きな金額になるため、保険加入の有無で負担する費用は大きく変わってきます。
個室にするかどうかを考えるポイント
個室には、他の患者に気兼ねなく過ごせるという大きなメリットがあります。静かに休めるため回復に集中しやすく、家族の面会もしやすいという利点もあります。新型コロナウイルス感染症への配慮として、個室を希望する患者が増えているのも実情です。
一方で、費用が高額になりやすいというデメリットもあります。特に1週間以上の入院になると、数十万円単位の出費になることも珍しくありません。短期の入院なら許容できても、長期入院の場合は家計に与える影響が大きくなります。
・本人が強く希望しているかどうか
・医師の判断で個室が必要とされているか
・家計にどの程度の余裕があるか
といった点を目安にして判断する必要があります。医学的理由による個室利用であれば保険適用外でも費用が生じない場合もありますが、本人や家族の希望で選ぶ場合は自己負担が前提です。
納得の入院生活のために費用と希望を整理しておこう
入院時に個室を選ぶと、1日あたり5000円から2万円程度の費用がかかり、1週間では数万円から十数万円の差額ベッド代が発生します。差額ベッド代は公的医療保険の対象外です。
民間の医療保険に加入していれば入院給付金で一部を補えることもありますが、基本的には自己負担となるため、家計への影響は小さくありません。個室の快適さと安心感は魅力的ですが、必要な費用を現実的に考えて判断しましょう。
出典
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
