仕事に必要な資格を取ると、国や会社からお金がもらえるかもしれないって本当ですか?
本記事では、主に教育訓練給付金と10月から始まる教育訓練休暇給付金について解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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教育訓練給付金
教育訓練給付金は主体的にスキルアップなどに取り組む方を支援するために、厚生労働大臣の指定する講座(教育訓練)を受講し、修了した方に自己負担した受講費用(入学金・受講料)の一部を雇用保険から給付する制度です。合格の有無は問いません。
講座の内容やレベルに応じて、「一般教育訓練給付金」、「特定一般教育訓練給付金」、「専門実践教育訓練給付金」があります。もっとも取り組みやすく対象講座の多い一般教育訓練給付金は、雇用の安定・就職の促進のための講座が対象となります。
特定一般教育訓練給付金は、速やかな再就職および早期のキャリア形成に役立つ講座が対象で、もっとも難しい専門実践教育訓練給付金は、中長期的キャリア形成のための講座が対象です。
教育訓練は、現在、約1万7000の講座あります。教室受講のほかオンライン受講があり、また、夜間や土日に受講できる講座もありますので、自分のペースで仕事と両立しながら講座の受講ができます。希望の講座は、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで見つけられます。
教育訓練給付金を受けるための条件
教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の加入期間など一定の条件を満たす必要があります。パートやアルバイト、派遣労働者、退職した方も対象です。
受講開始時点で、在職中で雇用保険に加入している方で初めて教育訓練を利用する方は、受講開始日までに雇用保険加入期間が1年以上(専門実践教育訓練を受講する場合は2年以上)あることが必要です。
離職してから原則1年以内の方で、過去に教育訓練給付金を受けたことがある方は、前回の受講開始日から今回の受講開始日までに雇用保険加入期間が3年以上あり、かつ前回の給付金受給日から受講開始日までに3年以上経過していることが必要です。
教育訓練給付金の支給額
一般教育訓練を受講した場合、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。
特定一般教育訓練を受講した場合は、訓練修了後、受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。令和6年10月1日以降に受講を開始した場合、資格取得等をし、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合10%追加され、受講費用の50%(上限25万円)まで支給額が増加します。
専門実践教育訓練を受講した場合は、教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給されますので家計の負担が減ります。
さらに資格取得等をし、訓練修了後1年以内に就職などした場合は20%プラスされ、受講費用の70%(年間上限56万円)まで支給額が増加します。
令和6年10月以降に開講する講座の場合、これら支給要件を満たした上で、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合はさらに10%追加され、受講費用の80%(年間上限64万円)まで支給され、最大3年間受給できます(上限は192万円)。
なお、専門実践教育訓練給付を初めて受給する方で45歳未満の離職者には「教育訓練支援給付金」が支給されます。給付額は基本手当(失業手当)の日額に相当する額の60%です。
教育訓練給付金の支給を申請する前に受給資格の有無や対象講座かどうか、お住まいの地域を管轄するハローワークに余裕を持って出向き確認するといいでしょう。
また、会社によっては資格取得に応じて、資格手当や受講料補助などを設けているケースもあるため、確認してみるとよいでしょう。
教育訓練休暇給付金
2025年10月より教育訓練休暇給付金制度が始まります。この制度は、在職中に雇用保険の被保険者が、職業に関連する教育訓練を受けるために、業務命令ではなく就業規則等に基づき30日以上連続した無給の休暇を取った場合、休暇期間中、基本手当(失業手当)に相当する給付を受けられるものです。
給付日数は雇用保険の加入期間に応じて異なり、5年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日となっています。
主な支給要件は、休暇開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること、休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があることなどです。
制度を利用するには会社の承認や手続きが必要になりますので、会社に相談しましょう。
まとめ:資格を取ると国や会社から給付があるかも!
キャリアアップには、教育訓練給付金を活用することがおすすめです。教育訓練給付金には、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金があります。
また、会社によっては資格取得に対して「資格手当」などが支給されることがありますので、勤務先に確認してみるとよいでしょう。
加えて、2025年10月からは教育訓練休暇給付金も始まります。長期的なキャリアアップを目指すのか、それとも比較的短期間で資格を取得したいのか、キャリアプランに合わせて受講する講座を選ぶといいでしょう。
出典
厚生労働省 教育訓練給付金
厚生労働省 教育訓練休暇給付金
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
