「ローン終わっても安心できないよ」と言われました。固定資産税や修繕費って、年間でどれくらいかかるんですか?

配信日: 2025.10.08
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「ローン終わっても安心できないよ」と言われました。固定資産税や修繕費って、年間でどれくらいかかるんですか?
住宅ローンを完済すると、肩の荷が一つ下ります。しかし、不動産(土地・建物)を所有している限り、税金や維持管理費・修繕費などは発生します。
 
そこで本記事では、「税金は年間でいくらかかるのか?」「修繕費は年間でいくらかかるのか?」について解説します。住宅ローンが完済間近という方だけでなくこれから住宅購入をお考えの方も参考になると思われますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

税金は年間でいくらかかるのか?

不動産を所有することでかかる税金の種類は、主に以下の2種類です。
 

(1)固定資産税
(2)都市計画税

 
固定資産税とは、固定資産(土地・家屋・償却資産)にかかる税金のことをいいます。一方、都市計画税とは、都市計画区域(市街化区域)内にある土地・家屋に対してかかる税金のことをいいます。市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域やおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことをいいます。
 
固定資産税の税率は1.4%で、「課税標準額×1.4%」の計算式によって税額を計算します。一方、都市計画税の税率は0.3%で、「課税標準額×0.3%」の計算式によって税額を計算します。具体的な固定資産税・都市計画税の額は、毎年4月に市町村(東京23区の場合は都)から送られてくる「課税明細書」によって確認することができます。
 
なお、「課税標準額」は3年ごとに評価替えがされます。言い換えれば、固定資産税や都市計画税は、3年ごとに金額が変わる(可能性がある)ということです。ちなみに、次回の評価替えのタイミングは令和9年度になります。
 

修繕費は年間でいくらかかるのか?

不動産情報サービスのアットホーム株式会社(東京都大田区)が行った「2023年 『一戸建て修繕』の実態調査」(調査期間:2023年7月)によると、一戸建て修繕にかかった費用は平均で615万1000円です。この調査は、全国の新築一戸建てを購入し、そこに30年以上住んでいる50歳以上で337名の方を対象に行われたものです。
 
建物の構造・築年数別で見た、修繕費の平均金額は図表1のとおりです。
 
図表1

図表1

※ 出典:アットホーム 「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」
 
また、修繕の内容については、図表2のとおりです。
 
図表2
図表2

※ 出典:アットホーム 「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」
 
図表2から、修繕経験者割合が多いのは「外壁(79.2%)」「トイレ(75.4%)」「屋根(73.6%)」、修繕回数平均が多いのは「シロアリ関連(2.0回)」「給湯器(1.9回)」「外壁(1.7回)」、修繕費合計平均が高いのは「外壁(138万3000円)」「屋根(113万8000円)」「お風呂(95万4000円)」の順であることが分かります。
 
住宅ローンの返済期間が30年から35年だとすると、ローン完済時の築年数は30年から35年と考えられます。それを踏まえ、ローン完済後に予定しておくべき修繕としては、建物本体の寿命に影響する「外壁」「屋根」「シロアリ関連」や修繕頻度の多い「給湯器」ではないでしょうか。
 
修繕費は毎年発生する費用ではありませんが、一度にかかる費用が大きいため、少しずつ積み立てて用意するほうがよいでしょう。
 
例えば「外壁」の場合、1回目修繕費の費用平均が100万7000円、修繕費合計平均が138万3000円、修繕回数平均が1.7回ですので、2回目修繕費は50万円前後ではないかと考えられます。また、1回目修繕時の築年数平均が18.8年ですので、2回目の修繕は築35年から40年くらいの時期ではないかと考えられます。
 
仮に20年サイクルで修繕費を積み立てるとすると、目標金額が100万円であれば1年あたり5万円、200万円であれば1年あたり10万円を積み立てていく必要があります。修繕については、「壊れたら直す」よりも「定期的にメンテナンスする」という姿勢で資金を準備しましょう。
 

まとめ

本記事では、「税金は年間でいくらかかるのか?」「修繕費は年間でいくらかかるのか?」について解説しました。まとめると、以下のようになります。
 

・固定資産税は、毎年「課税標準額×1.4%」の額がかかる
・都市計画税は、毎年「課税標準額×0.3%」の額がかかる
・修繕費は毎年発生するものではないが、修繕計画によって毎年いくらか積み立てておくのがよい

 
固定資産税・都市計画税は不動産ごとに異なるため、本記事で金額を明示しておりません。不動産を所有されている方は、毎年4月に届く「課税明細書」で固定資産税・都市計画税の金額を確認してください。
 
修繕費については、建物の構造・築年数や環境などによって、費用が異なります。一度に大きな費用がかかるような修繕については、少しずつ積み立てて用意しておきましょう。
 
本記事のテーマは個別要素が強いため、具体的な金額の提示はしておりませんが、不動産を所有することによって発生する税金や費用についてはご理解いただけたのではないかと思われますので、今後の参考になれば幸いです。
 

出典

総務省 固定資産税
総務省 都市計画税
アットホーム株式会社 2023年『一戸建て修繕』の実態調査
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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