ひとり親家庭に支給される「児童扶養手当」はいくらもらえる? 支給額の目安と所得制限を解説
この手当は所得や子どもの人数に応じて支給され、令和7年4月からは金額の改定も行われました。本記事では、その仕組みと支給額、受け取るための条件や注意点を整理して紹介します。
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児童扶養手当の仕組みと対象者
児童扶養手当は、離婚や死別、行方不明、DVなどにより父母のどちらかがいないひとり親家庭、または重度の障害がある場合などにより、父母と生計を同じくしていない家庭やこれに準じた事情を持つ家庭を支援する制度です。
対象となるのは、18歳に達しる日以降の最初の3月31日までにある子ども(一定の障害状況にある場合は20歳未満)を養育している親や養育者です。
申請は居住地の市区町村役場で行い、必要書類の提出と審査のうえ認定されれば、原則として申請月の翌月分から支給が始まります。
ただし、受給者が再婚(事実婚を含む)して配偶者と生計を共にしている場合や、扶養義務者から十分な援助を受けている場合、対象となる子どもが児童福祉施設等に入所している場合は支給停止になることがあります。
なお、児童扶養手当はひとり親家庭の生活の安定を目的とした制度であり、「児童手当」とは別に運用されています。
支給額の目安と所得制限
令和7年4月の改定では、物価上昇を受けて手当額が引き上げられました。満額(全部支給)と一部支給に分かれており、所得に応じて段階的に減額されます。
・第1子:4万6690円(全部支給)/4万6680円~1万1010円(一部支給)
・第2子以降:1万1030円(全部支給)/1万1020円~5520円(一部支給)
例えば、子ども2人を育てている場合は、全部支給で月5万7720円が目安です。支給は年6回、奇数月(1・3・5・7・9・11月)に2ヶ月分ずつまとめて振り込まれます。
支給の可否や金額を決める「所得制限」は、単純な年収ではなく「審査対象所得」で判断されます。
審査対象所得とは、収入から必要経費や給与所得控除などを差し引いた所得から、社会保険料相当の8万円やひとり親控除、障害者控除などの各種控除を差し引いた金額です。さらに、養育費を受け取っている場合は、その8割が所得として加算されます。
もし、調整後の所得が基準を超える場合は「一部支給」や「支給停止」となり、一定以下の場合は「全部支給」となります。所得がやや高めの世帯では一部支給となり、手当が月に数千円程度まで減額される場合もあります。
申請・手続きと注意点
児童扶養手当を受け取るには、居住地の市区町村役場の窓口で「児童扶養手当認定請求書」を提出する必要があります。申請後に審査が行われ、認定されれば原則として申請した月の翌月分から支給が開始されます。
受給中は、毎年8月に「現況届」を提出し、所得や家族構成に変化がないかを確認します。現況届の提出がないと、11月以降の支給が停止され、2年間提出しないまま放置すると資格を失うこともあります。また、次のような点にも注意が必要です。
・所得制限を少し超えるだけで支給が大きく減ることがある
・養育費や控除の申告内容を誤りがあると不正受給になる恐れがある
・再婚や同居など「生計を共にしている」と判断される場合は支給が停止される
・書類の様式や申請受付期間、オンライン申請の有無は自治体によって異なる
なお、児童扶養手当は物価や経済情勢に応じて支給額や制度内容が見直されるため、常に最新情報を確認することが大切です。
制度を正しく理解して、生活の安定につなげよう
児童扶養手当はひとり親家庭を支える心強い制度ですが、その支給額だけで生活費のすべてをまかなえるわけではありません。
友人が「以前より裕福そう」に見える背景には、制度以外の収入増や支出の工夫、自治体のその他の支援制度の利用など、さまざまな要因が関係していると考えられます。
制度の内容を正しく理解し、世帯所得や家族構成に合わせて適切に活用することが、将来の生活の安定につながる第一歩となります。まずは、自分や家族の状況を整理し、必要な支援制度を賢く利用していきましょう。
出典
こども家庭庁 児童扶養手当について
東京都福祉局 児童扶養手当
千葉県 児童扶養手当について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
