2026年スタートの「こども誰でも通園制度」と「一時預かり」は何が違う?自分に合うのはどっち?

配信日: 2025.10.11
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2026年スタートの「こども誰でも通園制度」と「一時預かり」は何が違う?自分に合うのはどっち?
2026年度から全国で本格実施される、「こども誰でも通園制度」。名前だけ聞くと、「これまでの『一時預かり』とどう違うの?」と思う方も多いかもしれません。
 
どちらも未就学児を短時間預かってくれる仕組みですが、実は目的や利用条件に大きな違いがあります。本記事では、両制度の背景や特徴、利用する際のポイントを解説します。
富澤佳代子

1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士

新卒で警察官としてキャリアをスタート。その後、都内税理士法人で勤務し、多くの企業の経理業務を手がけた経験を活かして独立しました。現在は、「会社のお金」と「家庭のお金」をワンストップで相談できるパートナーとして活動しています。
 
小学生の子どもを育てるママでもあり、ライフプラン作成やキャッシュフロー分析など、個人やご家庭向けの具体的で実用的なアドバイスを提供しています。
 
企業経理相談や経営分析にも精通しており、これまでの経験を基に、経営者が抱えるお金の悩みに幅広く対応。さらに、執筆やセミナー活動も行い、「知って得するお金の知識」を届けています。お金の管理や経営に関するお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

こども誰でも通園制度の背景・目的

子育て世帯を取り巻く環境は、年々変化しています。共働き家庭や核家族が増えるなかで、保護者が一時的に子どもを預けたい、あるいは就労していなくても子どもに集団生活を体験させたいというニーズが高まっています。
 
これまで国は「一時預かり事業」を通じて、保護者の急な用事や就労時に子どもを預けられる仕組みを整えてきました。しかし、就労していない家庭や育休中の保護者が利用しにくいという課題がありました。
 
そこで誕生したのが、「こども誰でも通園制度」です。子どもの発達や社会性を育み、保護者の孤立防止や育児不安の軽減にもつなげることを目的に、就労要件なしで利用できる新しい仕組みが整備されます。
 

両制度の説明

■こども誰でも通園制度
正式名称は「乳児等通園支援事業」いい、こども家庭庁が所管し、2026年度から全国で本格的にスタートします。
 
対象は未就園児(おおむね0歳6ヶ月~満3歳未満)で、保護者の就労有無にかかわらず利用可能となっています。月10時間程度を上限とする短時間利用を基本に、曜日や時間帯を選んで通う「定期利用」や、柔軟な「スポット利用」が想定されています。
 
料金は、国の基準と自治体補助で設定され、自治体によって異なりますが、モデル事業では1時間あたり数百円程度の例もあります。子どもの健やかな発達や集団生活へのスムーズな移行を主な目的とし、結果として保護者の孤立防止や育児不安の軽減にもつながる制度です。
 
■一時預かり事業
一方、以前からある「一時預かり事業」は、保護者が仕事・通院・冠婚葬祭・リフレッシュなどで一時的に子どもを見られない場合に利用する仕組みです。
 
こちらもこども家庭庁が所管し、市区町村や保育施設が実施しています。対象は小学校就学前の乳幼児で、利用には「保護者の事情」の申告が必要な場合が多く、就労や急用など理由が求められるケースが一般的です。
 
利用時間や日数、料金も自治体や施設によって異なり、日単位・長時間に対応しているところもあります。
 

両制度の比較

両制度の違いを分かりやすくするために、ポイントを図表1にまとめてみました。
 
図表1

図表1

 
このように、「こども誰でも通園制度」は、未就園児が誰でも利用できる“入り口型”の制度、そして「一時預かり」は、保護者の事情に応じた“必要時対応型”の制度とイメージすると分かりやすいでしょう。
 

制度を利用するときの注意点

どちらの制度も国の基本ルールは同じですが、実際の運用内容は自治体や施設によって大きく異なります。利用できる時間や定員、料金、申し込みの手順などは地域ごとに柔軟に設定されているため、実際に使う前にお住まいの市区町村や利用予定の園で詳細を確認することが大切です。
 
また、どちらの制度も事前登録や抽選、予約開始日などが決まっている場合があり、当日申し込みができる園もあれば数日前からの予約が必要な園もあります。こうした違いを事前に把握しておくと、スムーズに利用できるでしょう。
 
さらに、仕事や長時間外出など、一定時間以上の預かりが必要な場合は、短時間利用が基本の「こども誰でも通園制度」よりも、一時預かり事業を利用したほうが柔軟に対応できることがあります。制度の仕組みを理解したうえで、生活スタイルや目的に合った使い分けをすることがポイントです。
 

まとめ

「こども誰でも通園制度」と「一時預かり事業」は、どちらも未就学児を短時間預けるための制度ですが、目的と利用条件が異なります。
 
これまで就労していないために子どもを預けにくかった家庭でも、2026年度からは「こども誰でも通園制度」を活用することで、子どもに集団生活の体験をさせながら、保護者自身も育児負担の軽減や孤立防止につなげやすくなります。
 
一方、長時間や日単位での預け入れが必要な場合には、引き続き「一時預かり事業」が頼りになるでしょう。
 
制度を上手に使えば、子どもの成長にも、保護者の暮らしにも新しい選択肢が広がります。ぜひお住まいの自治体の情報をチェックして、ご家庭に合った制度を活用してみてください。
 

出典

こども家庭庁 こども誰でも通園制度について
こども家庭庁 一時預かり事業の実施について
 
執筆者 : 富澤佳代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士

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