病院でもらった「処方箋」は、家の近くの薬局で会計が「1500円」だったけど、駅前の薬局なら“1200円で済んだ”かもしれないって本当? 値段に差が出る理由とは

配信日: 2025.10.14 更新日: 2025.10.15
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病院でもらった「処方箋」は、家の近くの薬局で会計が「1500円」だったけど、駅前の薬局なら“1200円で済んだ”かもしれないって本当? 値段に差が出る理由とは
病院でもらった処方箋を薬局に持っていくとき、どの薬局で会計しても料金は同じだと思っていませんか?
 
実は薬そのものの値段は全国どこでも同じですが、薬局ごとの「サービス料」の違いから、会計で数十円~数百円の差がつくことがあります。本記事では、なぜ薬局によって料金に差が生まれるのか、その理由と自身に合った薬局の選び方を分かりやすく解説します。
大垣はち

FP2級

薬局で差がつくのは薬の値段ではなくサービス料

薬局で支払う料金は、大きく2つに分けることができます。


1. 薬そのものの値段(薬剤料)
2. 薬局の専門的なサービス料(調剤技術料・薬学管理料など)

「1. 薬そのものの値段」は国が定めた公定価格のため、日本全国どの薬局でも全く同じです。
 
一方で、料金に差が生まれるのが「2. サービス料」の部分です。これは、薬剤師が処方箋をチェックしたり、薬の飲み合わせを確認したり、患者の相談に乗ったりといった専門的な仕事に対する料金を指します。
 
このサービス料は薬局の立地や機能、国が推進する医療方針への貢献度などに応じて、薬局によって変動します。
 

薬局のサービス料に差が生まれる3つの理由

薬局のサービス料に差が生まれる理由は、主に3つあります。


1. 薬局の規模や立地による違い
2. ジェネリック医薬品の取扱量による違い
3. 営業時間やサービスによる違い

1つずつ順番に見ていきましょう。
 

1.薬局の規模や立地による違い

薬局の立地や地域での役割によって、会計の「基本料金」が変わります。国は患者さんがいつでも気軽に健康相談をできるような、かかりつけ薬局を地域に増やすことを推進しています。そのため、薬局が地域でどのような役割を担っているかを評価し、料金に差をつけているのです。
 
薬局のタイプは、大きく2つに分けられます。1つは特定の病院の目の前にあり、主にそこの処方箋を扱う薬局。もう1つは町のさまざまな医療機関の処方箋を受け付け、地域医療に広く貢献する薬局です。後者のような地域の薬局の基本料金、正式には「調剤基本料」は少し高めに設定されています。
 
このように、薬局の規模や立地などの条件によって、会計で数十円の差が生まれることがあるのです。
 

2.ジェネリック医薬品の取扱量による違い

ジェネリック医薬品を積極的に取り扱っている薬局ほど、サービス料が加算されます。これは国全体の医療費を抑えるために、ジェネリック医薬品の使用を推進し薬局を評価する「ボーナス」のようなものです。
 
このボーナスによってサービス料は数十円高くなる場合があります。それ以上にお薬そのものの値段が安くなるため、最終的に患者さんが支払う合計金額は、ジェネリック医薬品を選んだほうが安くなります。
 
ジェネリック医薬品を選んだことで、先発医薬品より支払額が高くなることはまずありません。2024年10月1日から「選定療養」という制度が始まっており、ジェネリック医薬品があるにもかかわらず先発医薬品を希望すると、差額の一部が自己負担になります。
 
この制度により、ジェネリック医薬品を選べば、患者さんの支払いは先発医薬品よりも確実に安くなります。
 

3.営業時間やサービスによる違い

薬局の利便性や患者さん自身の工夫によっても、サービス料は変わります。
 
多くのサービスがそうであるように、薬局も通常の営業時間外に利用すると追加の料金がかかります。平日の夜間や休日に開いている薬局では「時間外加算」が適用され、サービス料が数十円以上高くなることがあるのです。これは、いつでも薬を受け取れるという利便性に対する料金です。
 
逆に、患者さん自身のひと工夫で料金が安くなるケースもあります。それが「お薬手帳」を持参することです。3ヶ月以内に同じ薬局へお薬手帳を持って行くと、会計が数十円安くなります。お薬手帳があることで、薬剤師がこれまでの薬の履歴を正確に把握でき、薬の重複や危険な飲み合わせがないかをスムーズに確認できるからです。
 
このように、患者さんが安全な医療に協力してくれることが、料金の割引という形で評価されます。
 

料金の仕組みを知って、「自分に合った薬局」を選ぼう

薬局の会計に差が生まれるのは薬そのものの値段ではなく、薬局ごとの「サービス料」の違いです。大手チェーン薬局は効率的で会計が安い傾向にあります。
 
夜間・休日対応の薬局料金は少し加算されても、いざというときに頼りになる存在です。そして、地域のかかりつけ薬局はご自身の健康を継続的に見守ってくれます。どの薬局にも、それぞれの利点があるのです。
 
この記事で解説した内容をもとに、「安さ」「利便性」「安心感」など、ご自身の価値観やライフスタイルに合った薬局を選んでみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 医療保険が適用される医薬品について
公益財団法人 日本薬剤師会 令和6年度調剤報酬改定等に関する資料
公益財団法人 日本薬剤師会 令和6年度調剤報酬改定等に関する資料 調剤報酬点数表一覧(R7.10.1~)
 
※2025/10/15 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者 : 大垣はち
FP2級

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