タクシーで渋滞にはまり、運賃が「2000→4000円」に! 走ってないのになぜ「2倍」近く上がったの? 意外と知らない“料金システム”とは

配信日: 2025.10.15
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タクシーで渋滞にはまり、運賃が「2000→4000円」に! 走ってないのになぜ「2倍」近く上がったの? 意外と知らない“料金システム”とは
会社帰りにタクシーへ乗り「だいたい2000円くらい」と想定していたのに、渋滞にはまってメーターが上がり、4000円近くになっておどろいた、といったような経験はありませんか。
 
これは「時間距離併用運賃」という仕組みによるものです。走行距離だけでなく、低速(時速10キロメートル以下等)の状態が続くと所定の時間間隔ごとに料金が加算されるため、車が止まっていても運賃が上がります。
 
本記事では、この仕組みの背景や知っておくべきポイントを解説します。
諸岡拓也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

タクシー運賃は国の認可制で決められている

国土交通省によれば「タクシーの運賃は、道路運送法に基づく国土交通大臣の認可事項となっている。」とされています。つまり、タクシー会社が自由に価格調整できるのではなく、国の認可を受けて決まっているということです。
 
さらに、タクシーの運賃は全国一律ではなく、国交省が定めた「運賃ブロック」(全国で101ブロック)ごとに設定されています。地域の交通事情やコストの違いをふまえつつ、事業者の経営に必要な費用(人件費や燃料費など)に適正な利益を加えた「総括原価方式」で算出され、これに見合うように決定されます。
 

なぜ車が止まっていても運賃が上がるのか

タクシー料金は「距離制運賃」と「時間制運賃」が組み合わされた「時間距離併用運賃」という方式で計算されます。具体的には、一定距離を走るごとに料金が加算されるのに加え、速度が時速10キロメートル以下になると、90秒前後ごとに80円~100円程度加算されます。
 
地域によっては95秒100円や110秒80円といった違いがありますが、いずれも国の認可制のもとで地域ごとの交通事情やコストを反映して設定されています。そのため、地域で大きく金額が変わるということはなく、あくまでわずかな違いにとどまります。
 
「時間制運賃」は信号待ちや渋滞など、運転時間が延びることで乗務員の拘束時間が増えるために設定された仕組みです。乗客からすると「走っていないのに高くなる」印象を受けがちですが、労務コストを反映した合理的な制度と言えます。
 

具体的にいくら上がるのかシミュレーション

東京や大阪のような大都市での「時間制運賃」は、多くの会社が「1分35秒ごとに100円加算」という水準で認可されており、標準的な設定となっています。ここでは「1分35秒ごとに100円加算」を例に、金額の差をシミュレーションしてみます。
 
通常2000円で帰れる距離でも、渋滞に30分巻き込まれるとどうなるでしょうか。
 

・30分 ÷ 95秒(=1分35秒) ≒ 約19回
・19回 × 100円 = 1900円

 
つまり2000円の想定が、「時間制運賃」1900円分が加算され、3900円ほどに跳ね上がります。低速・停車の時間が数分であれば小さな上乗せで済みますが、渋滞に巻き込まれて長く止まると、数千円単位で料金が変わることがあります。
 

予想より高くならないための工夫

渋滞や信号待ちで料金が上がるのを避けたい場合は、配車アプリの「事前確定運賃」や「定額運賃」を活用するのが効果的です。
 
事前確定運賃は、乗車地から降車地までの推計走行距離を基に算定され、それに地方運輸局が定めた「係数」を乗じて計算されます。ただし、別途迎車料金がかかる点には注意が必要です。特徴としては、道路が空いているときは割高に、逆に渋滞時は割安になる傾向があります。
 
一方で、定額運賃は、空港や駅と特定エリアを結ぶ移動に利用されます。大型イベント開催時の特別ルートや観光ルートを巡る場合にも設定される仕組みです。
 

タクシー利用で覚えておきたい要点

タクシー運賃は距離だけでなく時間も影響するため、渋滞や信号待ちで料金が上がる仕組みになっています。想定外の出費を避けたいときは、配車アプリの事前確定運賃や定額運賃の活用が有効です。
 
加えて、混雑時間を外して移動する、経路を最短で指定するなど、利用者のちょっとした工夫で負担は抑えられます。仕組みを知ったうえで選び方を工夫すれば、タクシーをより安心して利用できるはずです。
 

出典

国土交通省 タクシーの運賃・料金について
 
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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