2025年3月開始「マイナ免許証」結局どっちがお得? 更新手数料の差“750円”より重要!「一体化・2枚持ち・従来型」それぞれのメリット・デメリットを徹底比較
「一体化すると手数料が安くなる」と耳にして、次回の免許更新でマイナ免許証を選ぶべきか迷っている人もいるかもしれません。しかし、手数料の違いだけで決めるのではなく、内容をしっかり確認することが大切です。
カードを1枚にまとめる利便性の裏には、知っておくべき注意点も存在します。本記事では、運転免許証について3つの選択肢を比較解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
カード1枚の身軽さの一方、紛失リスクも
運転免許証とマイナンバーカードを一体化させる最大のメリットは、なんと言っても携帯するカードが1枚で済む手軽さでしょう。財布の中がすっきりするだけでなく、本人確認の際にどちらを提示すべきか迷うこともありません。
また、引っ越しや結婚で住所・氏名が変わった際の手続きが簡素化されるのも魅力です。これまでは役所と警察署それぞれで手続きが必要でしたが、一体化すれば役所での手続きだけで運転免許証の情報も自動で更新されます。
一方で、デメリットとして心配されるのが紛失時のリスクです。運転免許証と、健康保険証の機能も持つマイナンバーカードを同時に失うことになり、再発行までの手続きが煩雑になる可能性があります。
特にマイナンバーカードの再発行には1ヶ月から2ヶ月ほどかかる場合があり、その間の運転や身分証明に困る場面が出てくるかもしれません。
すぐに運転する必要があれば、運転免許証については、紛失しても免許センターなどで即日交付を受けられます。とは言え、重要な個人情報が集約されたマイナンバーカードを持ち歩くこと自体に不安を感じる人も少なくないでしょう。
利便性と安心感のバランス「2枚持ち」という選択肢
次に、マイナンバーカードと運転免許証を一体化したしたうえで、従来の運転免許証も持ち続ける「2枚持ち(併用)」を見ていきましょう。
この方法のメリットは、マイナンバーカードが持つオンラインでの行政手続きや健康保険証としての利便性を享受しながら、運転免許証の紛失リスクを分散できる点にあります。仮にどちらか一方をなくしてしまっても、もう一方のカードで身分証明が可能です。
ただし、カードが2枚になるため管理の手間は増えます。財布の中でかさばるのが気になる人もいるでしょう。また、更新手数料に目を向けると、この「2枚持ち」の費用が最も高くなる点も注意すべきです。
例えば、優良運転者が対面講習で更新する場合、従来型の免許証のみなら3350円、一体化なら2600円、2枚持ちだと3450円となります。利便性と安心感のバランスを考えたとき、この費用をどう捉えるかが判断の分かれ目になるでしょう。
「従来型」は本当に時代遅れ? 変わらないことのメリット
最後に、これまで通りの運転免許証のみを保有し続ける「従来型」です。この方法の最大のメリットは、「これまでと同じ」であることによる分かりやすさと安心感にあります。新しい制度への対応や、紛失時等の個人情報漏洩のリスクに不安を感じる人にとっては、最も心理的な負担が少ない方法と言えるでしょう。
もちろんデメリットもあります。マイナ免許証を利用したさまざまな行政サービスのデジタル化の恩恵は受けられません。例えば、優良運転者講習の一部オンライン化といった新しいサービスも利用できません。
更新手数料も、一体化する場合と比較して高くなります。優良運転者の対面講習の場合で比較すると、従来型の免許証のみの場合は、3350円、一体化する場合は2600円となり、その差額は750円です。時代の変化に合わせるか、慣れた方法を続けるか、ライフスタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
手数料の差額750円よりも「ライフスタイル」に合った選択を
「マイナ免許証」への切り替えを考える際、つい更新手数料の差に注目しがちですが、大切なのはご自身のライフスタイルに合った選択かどうかです。
とにかく持ち物を減らして身軽に行動したい、行政手続きのオンライン化を積極的に活用したいという人であれば「一体化」が向いているでしょう。一方で、カード紛失のリスクをできるだけ減らしたい人や、大切な情報は分けて管理したいと考える慎重な人には「2枚持ち」や「従来型」が向いています。
手数料の差額750円は、数年に一度の更新時にだけにかかる費用です。それよりも、普段どのようにカードを管理し利用するかが、毎日の安心感や利便性に大きく影響します。それぞれのメリット・デメリットをよく理解したうえで、ご自身にとって最適な方法を選んでください。
出典
警視庁 マイナンバーカードと運転免許証の一体化について
警視庁 マイナ免許証に伴う手数料改定
デジタル庁 マイナンバーカードの運転免許証利用
執筆者 : 山口克雄
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
