子どもが3人いるママ友の家は「世帯年収1000万円」なのに毎月カツカツだそうです。「世帯年収400万円」のわが家からすればかなり余裕があるように思えるのですが…

配信日: 2025.10.17
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子どもが3人いるママ友の家は「世帯年収1000万円」なのに毎月カツカツだそうです。「世帯年収400万円」のわが家からすればかなり余裕があるように思えるのですが…
ママ友の家は世帯年収1000万円なのに毎月「カツカツ」だと言われても、世帯年収400万円ほどでやりくりしている家庭からすればずいぶん余裕があるように思えるかもしれません。しかし、本当に「高収入=余裕」という図式は成り立つのでしょうか。
 
本記事では、統計データをもとに、年収1000万円クラスの家庭が直面する支出構造やコストを分析し、年収400万円世帯との対比から「収入だけでは見えない現実」を考えてみます。
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「世帯年収1000万円」の家庭の収支構造

年収1000万円の世帯は、確かに高所得層に属します。厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、世帯年収1000万円超の家庭の割合は12.3%とされています。全世帯の1割程度にとどまり、年収1000万円というラインは「かなり上の層」だといえるでしょう。
 
しかし、高所得ゆえに支出項目も高くなるのが実態です。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)二人以上世帯」によると、年収1000~1200万円未満の階層では、持ち家率が72.4%と高く、住宅ローン支払いや維持コスト、税金・保険料負担といった固定費の重みが増える傾向があります。
 
そのため、手取りベースでの「使える金額」はかなり目減りします。
 
こうした背景を考えると、今回の事例におけるママ友の家庭が「年収1000万円なのにカツカツ」だという実態は、収入と支出の規模感差を考えれば決して不自然ではありません。
 

統計データで見る世帯年収の分布

統計データから見えるのは、日本の多くの家庭が世帯年収1000万円には遠いという現実です。
 
前述の厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、1世帯あたり平均所得金額は全世帯で536万円、児童のいる世帯に限定すると平均所得金額は820万5000円となっています。つまり、子どもがいる家庭でも平均は1000万円には達していないわけです。
 
また、所得分布では、所得金額500万円未満の世帯が58.5%という割合も示されており、年収500万円以上の層は全体の4割程度です。こうした分布の中で、年収1000万円は、かなり上の位置にあることが分かります。
 
総務省統計局の「家計調査(家計収支編)」では「年収階級別の年間支出データ」が公表されており、収入水準が上がるにつれて年間の支出額も上がる傾向が確認できます。
 
例えば、2024年調査の二人以上・勤労者世帯の「年間収入階級別・1世帯当たり年間の支出金額」では、年収400~450万円帯の家庭では年間の平均消費支出が約280万円、年収1000~1250万円帯では約490万円というデータも見られます。
 
この額には、食費・住居費・教育費・通信費などが含まれています。したがって、年収400万円クラスと1000万円クラスでは支出額そのものがかなり異なるため、見た目以上に生活実感が変わってくるわけです。
 

子ども3人と教育費・住居費負担:年収1000万円でも「ギリギリ」になりうる理由

では、子どもが3人いる家庭という条件を加えると、なぜ1000万円台でも「余裕」と感じにくいのかを具体的に見ていきましょう。
 
まず、子どもの教育費が無視できない出費になります。幼稚園・保育園、習いごと、塾、学校費用、受験費用、高校・大学進学時の学費や交通費など、子どもの人数が増えるほど支出総額は比例以上に増加します。
 
次に、住居費と住宅ローンです。子どもが3人いるなら間取り・立地への要求が高くなる可能性があり、広めの住居や学校近接地を選ぶことが多くなるでしょう。その結果、賃貸でも家賃が高くなり、持ち家ならローン返済額や維持・修繕費が大きくなると考えられます。
 
また、車を所有している場合はその維持費、通信・インターネット環境、保険・医療費の家族分拡大など、家族が増えると「人数分かかる支出」が膨らみます。こうした支出が累積すると、収入が1000万円あっても、使える可処分所得には大きな制約がかかることになります。
 
こうして見ると、外からは「豊か」に見える世帯年収1000万円超の家庭でも、内部には「カツカツ」の現実が隠れている可能性が高いのです。
 

まとめ:年収だけで「余裕」は判断できない

このように年収1000万円という数字は、統計的には上位層に位置し、高収入に見えるのは事実です。
 
しかし、子ども3人という条件下では、教育・住居・固定費・人数分コストの増加が重圧となり、「カツカツ」になる可能性は十分にあり得ます。
 
対して、年収400万円台の家庭から見れば、見た目には大きな違いがあるように思えますが、実感できる余裕は支出構造との兼ね合いによるものが多くを左右します。すなわち、高収入でも支出が制御できなければゆとりは得られないのです。
 
支出構造を見直すこと、固定費を抑制すること、収入アップの可能性を追求することが、年収差を超えて生活のゆとりを支える鍵となります。収入だけに目を向けるのではなく、何にお金を使っているかを意識することこそが、真のゆとりを生む第一歩といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 結果の概要 II 各種世帯の所得等の状況(9~10ページ)
金融経済教育推進機構(J-FLEC)家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ 40 住居の状況
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2024年 表番号4-2<品目分類>1世帯当たり年間の支出金額,購入数量及び平均価格 年間収入階級別
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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