“年収800万円世帯”のわが家、ママ友に「引っ越すなら都内がお得だよ」といわれました。「保育料」が“無償”とのことですが、“一人っ子”のわが家も対象でしょうか?
本記事では、その中でも特に子育て世帯の家計に直結する保育料等無償化について、東京都の例を取り上げます。また東京都の取り組みが、他の地域と比較して、子育て世帯の家計にどのくらいの経済的な差を生むのかも含めて解説します。
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目次
東京都が9月から開始した「保育料等無償化」は“第一子”も対象
東京都は2025年(令和7年)9月より、0歳から2歳までの第一子の保育料等無償化を開始しました。これまでの制度とは異なり所得制限がなく、すべての都民が対象になるという点が特徴です。
対象は原則として認可保育所・認定こども園などで、給食費や延長保育料などの実費は従来どおり保護者負担です。この制度導入に踏み切った理由について東京都は、「0歳から18歳まで切れ目のない経済的支援を行うため」としています。
国の制度では「0歳から2歳までの第一子」は無償化の対象外
一方で、国は2019年(令和元年)10月より、3歳から5歳までのすべての子どもと、住民税非課税世帯の0歳から2歳までの子どもの保育料等を無償とする制度を導入しました。
このうち、一般の家庭の2歳までの第一子は全額自己負担、第二子は半額保護者負担、第三子以降は無償としています。このほか、就学前の障害児の発達支援施設利用料も、3歳から5歳まで無料となっています。
今回東京都が開始した制度では、0歳から2歳児がいる家庭も所得の制限なく無償化の対象となっており、タイトル例のように「都内がお得」という話につながったのでしょう。
「東京都」と「東京都以外」で“保育料”にいくらくらいの差が生じる?
では、東京都と東京都以外では保育料にどのくらい差が生じるのでしょうか。今回は、比較のため東京都世田谷区と神奈川県横浜市の例を見てみましょう。まず、東京都世田谷区の場合、前述のとおり所得制限なく第一子からすべての子どもの保育料が無償となります。
次に神奈川県横浜市の場合は、年収800万円の市民税所得割額は27万2000円、負担区分D18となり、月額が5万8000円、年間で69万6000円の保育料がかかる可能性があります。
つまり、世田谷区と横浜市では、年間69万6000円もの差が生まれる見込みがあるのです。
なお、東京都のように無償化をはじめとする独自の取り組みを行っている自治体も増えてきていますが、第二子以降の保育料が完全無料というところが多い傾向です。
自治体独自の制度がなく従来の国の制度のみという市町村もあるため、保育制度を利用する予定かつ、引っ越しなどで自治体が変わる可能性のある方は、事前に保育制度について確認しておくと良いでしょう。
まとめ
今回東京都は、住民税非課税世帯の0歳から2歳児に加え、幼稚園や保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児の利用料を無償化する国の制度に続き、すべての0歳から5歳までの子どもの保育料を対象とする独自の無償化に踏み切るという大胆な取り組みを行いました。
所得に関係なく第一子、0歳から対象となる例はまだ少なく、東京での取り組みが全国に広がっていくことが期待されます。
その一方で、独自の保育料無償化などの政策を行っていない自治体もあり、地域によって格差があるのも事実です。今後子どもへの政策の有無によって移住地を決める、若い家族も出てくることが予想されます。今後、自治体の少子化対策に、より注目が集まっていくでしょう。
出典
東京都の少子化対策2025(概要版)
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化概要
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化
東京都 福祉局 児童発達支援事業所等利用支援事業(利用料の無償化)
横浜市 個人住民税 税額シミュレーション(税額の試算・申告書作成)
横浜市 利用料(保育料)および副食費の免除対象の決定方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
