自宅近くは「ガソリン171円」なのに、実家は「160円」で驚き! 同じ日本国内で“10円以上”差が出る理由とは? 地域ごとの価格差も確認
毎月100リットル給油すれば、年間で1万3000円以上の差が生じます。本記事では、ガソリンの価格差が生まれる背景を整理し、転勤や単身赴任で生活コストがどう変わるのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新データで見るガソリンの地域ごとの価格差
全国のガソリン価格やスタンド情報を提供しているgogo.gs(ゴーゴージーエス)によれば、2025年10月15日時点のレギュラーガソリン全国平均は171.0円です。
安い地域では青森県が166.0円で全国平均との差がマイナス5円、次いで愛知県が166円台、三重県や埼玉県などが167円台となり、比較的低水準で推移しています。
一方、高い地域では長野県が180.0円、徳島県177.0円、山口県176.8円、鳥取県176.7円と続き、全国平均との差は約4~9円に達しました。そして、最安の青森と最高の長野を比べると、「14円の開き」があることになります。
なぜガソリン価格に差が生まれるのか?
ガソリンの販売価格は全国一律ではなく、地域や店舗ごとに異なります。その背景には複数の要因があります。ここからは、代表的な3つの理由を取り上げ、なぜガソリン価格に差が生まれるのかを解説していきます。
輸送費が影響する
ガソリン価格に影響を与える要因のうち、最も大きなものが「輸送費」です。ガソリンの輸送は、大きく2つのパターンがあります。1つは製油所から各スタンドへ直接運ばれる場合、もう1つは、油槽所(ゆそうじょ)と呼ばれる中継基地を経由して運ばれる場合です。
油槽所(ゆそうじょ)とは、ガソリンの「中継基地のようなもの」です。製油所から運ばれたガソリンを一時的に貯蔵し、各ガソリンスタンドへ配送する役割を担っています。
輸送費は、距離が長いほど高くなるため、製油所や油槽所から離れたエリアでは仕入価格が上がり、販売価格も高くなりやすいのです。特に山間部や離島では物流経路が限られることもあり、コスト増につながります。
店舗の系列による違い
ガソリン価格は、スタンドがどの系列に属しているかによっても差が出ます。ENEOSや出光などの大手元売り会社の系列店は、自社系列からガソリンを仕入れています。
そのため、仕入価格が一定水準で固定されやすいのが特徴です。一方、系列に属さない独立系店舗は、元売り各社が余剰分を市場に流す「業転玉(ぎょうてんぎょく)」を仕入れる場合が多くあります。
業転玉とは、余ったガソリンを系列外にも販売する仕組みのことです。これを安価に調達できるため、独立系は販売価格を低めに設定できます。
ただし、系列店が必ず割高というわけではありません。系列店は会員割引やポイント制度、支払い方法の多様さなど、サービス面で優位に立つ傾向があります。つまり、系列の違いによる価格差は存在しますが、「どちらが安いか」を単純に断定することはできません。
給油スタイルによる違い
スタンドの給油方式も、価格差を生む要因の1つです。セルフ方式は人件費がかからない分、価格を抑えやすく、gogo.gsによれば、フルサービスとの価格差は平均4~5円とされています。
また、窓拭きや簡易点検を省いた「セミセルフ」という形態もあります。さらに、セルフとスタッフ給油の両方に対応する「スプリット型」も登場し、店舗形態の多様化が進んでいます。
生活コストに直結する価格差
生活拠点が変わると、同じ走行距離でも地域によってガソリン代の負担は大きく変わります。月に100リットル給油する人なら、年間で1万2000円~1万3000円の違いになることもあります。
国土交通省「自動車燃費一覧(令和6年3月)」によると、ガソリン乗用車のWLTCモード燃費平均値は19.4キロメートルです。これをもとに試算すると、1万3000円分(ガソリン価格171.0円/リットル換算)は約1500キロメートル走行できる量に相当します。東京から福岡までの片道や東京~名古屋往復3回分にあたります。
こうした差が10年続けば10万円以上の差になり、生活コストに直結します。特に通勤や仕事で車を頻繁に使う人にとって、ガソリン価格の差は「見えない固定費」として無視できません。
転勤や引っ越しの際には、家賃や食費だけでなく、ガソリン代の水準もあらかじめ意識しておくことが大切です。加えて、実家への帰省や旅行のように、長距離移動が多い人にとっても、ガソリン価格の差は無視できません。
ガソリン価格の差を把握して、賢く対応する
地域ごとにガソリン価格の差がある以上、完全にコントロールすることはできません。ただし、あらかじめ価格の安いスタンドを把握し、近くを通る際にできる限りそこで給油することを習慣化すれば、日々の出費を抑えることは可能です。
さらに会員割引やアプリのクーポンを組み合わせれば、年間で数千円から数万円の節約につながります。小さな工夫の積み重ねが、長期的には家計の安定に大きく貢献します。
出典
株式会社ゴーゴーラボ ガソリン価格比較サイトgogo.gs(ゴーゴージーエス)
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
