走行距離10万キロ超えの「ランドクルーザー・プラド95」を購入。店で「30万キロ以上でも売れるので、売却すればローン残債ゼロになる可能性もありますよ」と言われました。これって本当?
売却時にローン残債がゼロになる可能性もありますよ」といった言葉をかけられるケースは少なくありません。本記事ではトヨタ・ランドクルーザーが持つ、他に類を見ない驚異的な資産価値の理由を解説します。
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目次
なぜランドクルーザーは「過走行」でも価値が落ちないのか?
一般的な国産車と異なり、ランドクルーザーの価値は走行距離だけで決まるわけではありません。その評価軸は日本国内にとどまらず、むしろ海外の過酷な環境下での需要が中古車相場を支えていると考えられます。
この背景には、「壊れない」という信頼性、通称「ランクル神話」の存在があります。砂漠が広がる中東や未舗装路の多いアフリカなど、車の故障が人命やビジネスに直結する地域では、構造がシンプルで確実に走り続けるタフな車が不可欠です。
そのため、日本で30万キロメートル、40万キロメートルを走破した車両であっても、単なる「寿命」とはならず、次の活躍の場を求めて高値で取引されます。
ヴィンテージカーの領域へ、「プラド95」の特殊性
ランドクルーザーの中でも、1996年から2002年製の「プラド95」は近年価値が著しく上昇しました。その価値は、海外での需要だけでなく、国内におけるファッションやカルチャーとしての人気も影響しています。
国内では、スクエアなボディラインが持つ無骨な魅力が評価され、特に丸目ヘッドライトへのカスタムはクラシカルな外観がレトロブームと合致し人気を博しました。
一方、海外では頑丈さで世界的に評価の高い3.0リッター・ディーゼルターボエンジン「1KZ-TE」が、その信頼性とメンテナンス性の高さから強く求められています。
このようにプラド95は、海外では「信頼できる実用車」、国内では「おしゃれなヴィンテージカー」として異なる市場から支持されています。この国内外双方からの需要が、年式や走行距離では測れない異次元のリセールバリューを生み出す理由といえるでしょう。
10年20万キロメートル走行後の価値は? 具体的な売却価格をシミュレーション
販売店の「30万キロメートル以上でも売れるので、売却すればローン残債ゼロになる可能性もありますよ」という話は、どのくらい現実味を帯びているのでしょうか。具体的なモデルケースで将来の売却価格をシミュレーションします。
走行距離10万キロメートルのプラド95を総額240万円で購入し、年間1万キロメートル走行すると仮定します。5年ローン(金利3%)の場合、総支払額は約258万円です。
5年後(総走行距離15万キロメートル)
ローン完済時点で、総走行距離は15万キロメートルに達します。現在の市場価格では、車両コンディションが良好な場合、150万円前後の買取価格が期待できます。支払総額に対し、5年間の使用後にこれほどの資産価値が残る計算は、一般的な乗用車では考えにくい高い残価率です。
10年後(総走行距離20万キロメートル)
購入から10年が経過し、総走行距離が20万キロメートル、に達しても、プラド95の価値は大きくは下がりません。
中古車市場では走行距離20万キロメートル超の車両が、150万円~~50万円以上の価格で販売されている実例も多数存在します。
15年後(総走行距離30万キロメートル)
購入から15年、総走行距離は30万キロメートルに達します。国産車の常識では価値がほぼ失われる走行距離ですが、プラド95は例外です。市場には30万キロメートル超の車両も実際に流通しており、コンディションが良ければ50万円~80万円程度の買取価格が付く可能性も残されています。
このシミュレーションから、240万円で購入した車が10年・10万キロメートル使用した後でも100万円近い価値を維持できることが分かります。したがって、「売却すればローン残債がゼロになる」という話は、特にローンの早い段階で売却する場合には、現実的だと言えるでしょう。
ランドクルーザーは走行距離の常識を超えた資産になる
ランドクルーザー・プラド95が「走行距離30万キロメートルでも売れる」という話は、誇張とは言い切れません。その驚異的な資産価値は、海外の過酷な環境で培われた「壊れにくさ」という絶対的な信頼と、国内でのヴィンテージカーとしての人気に支えられています。
シミュレーションが示す通り、240万円で購入した車両が15年・30万キロメートル走行後でも数十万円の価値を維持する可能性があり、販売店の話は現実的です。この高いリセールバリューは、プラド95が単なる移動手段を超えた特別な存在といえるでしょう。
出典
トヨタ自動車株式会社 トヨタ自動車75年史 車両系統図 ランドクルーザー プラド (90系) 2代目
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
