奨学金を毎月2万円返済していて、あと10年続きます。世帯年収は600万円です。この状態で子どもを授かっても生活費や子どもの教育費は問題ないでしょうか?
税金や社会保険料、住宅費を差し引くと、実際に使えるお金には限りがあります。そこに毎月2万円の奨学金返済が加わると、将来の教育費をどう確保するかが課題となります。
本記事では、家計の実情と支出の構造を整理しながら、奨学金返済を続けつつ子育てを実現するための現実的な視点を探ります。
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奨学金返済が家計に与える影響
奨学金の返済は、家計における固定費のひとつです。毎月2万円を10年間返済し続ける場合、総額は240万円となります。住宅費や通信費、保険料と同様に、毎月必ず発生する支出として家計への負担となります。
また、近年は返済負担が長期化しやすく、奨学金を返済しながら子育てを始めるケースも珍しくありません。返済を続けながら生活を安定させるには、収入と支出のバランスを定期的に点検し、余裕のある家計を維持できるかどうかが重要になります。
子育てに必要な支出と手取り収入のギャップ
子どもを育てるには、食費や衣服費などの日常的な支出に加え、保育料や教育費が発生します。特に教育費は年齢が上がるほど増加し、私立進学や塾などを選択すればさらに負担は大きくなります。
世帯年収600万円の場合、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入額はおおよそ450~510万円程度とされます。ここから住宅費や生活費を差し引くと、教育関連に充てられる金額は限られてきます。
ただし、子どもが幼少期のうちは支出が比較的少なく、時期によって費用構成が変化します。つまり「いつ」「どの支出が増えるか」を把握し、長期的にバランスを取ることが現実的な対策となります。
公的支援・制度で変わる余裕の幅
子育て世帯に対しては、児童手当、保育料の軽減、医療費助成に加え、2025年度から高校授業料の無償化が所得制限なしで無償化されるなど、支援制度が広がっています。さらに、給付型奨学金や妊婦支援給付などを活用すれば、家計の負担は大きく軽減されます。
また、奨学金返済には「減額返還制度」や「返済期間延長制度」があり、所得の状況に応じて柔軟に対応できる仕組みが整っています。こうした制度を上手に活用することで、出産・育児期の収支を安定させやすくなります。
重要なのは、制度の存在を早めに把握し、自分の世帯がどこまで対象となるかを確認しておくことです。タイミングを逃さず申請すれば、実質的な手取り収入の増加につながります。
リスク要因と対応策を押さえる
子育てを進めるうえでは、収入の変動や突発的な支出にも備える必要があります。例えば転職や病気、災害などが起これば、返済と生活費の両立が一時的に難しくなることもあります。このような不確実性に備えるには、少なくとも3~6ヶ分の生活費を「生活防衛資金」として確保しておくのが理想です。
また、固定費の見直しや配偶者の就労・副業などによる収入の複線化も有効です。教育費は公立中心で計画する、無理のない範囲で習い事を調整するなど、段階的に最適化する方法もあります。
こうした工夫を積み重ねることで、奨学金返済と子育てを両立しやすくなります。
子育てを可能にするための条件を整えよう
世帯年収600万円で毎月2万円の奨学金を返済しながら子育てを行うことは、決して簡単ではありません。しかし、家計を冷静に管理し、公的支援を効果的に活用すれば、実現は十分に可能です。
大切なのは、生活費・教育費・返済額のバランス全体を把握し、長期的な視点で計画を立てることです。さらに、制度の情報を随時更新し、ライフイベントに応じて家計シミュレーションを見直すことも欠かせません。
「今の収入で子どもを育てられるか」という問いは、単なる数字の問題ではなく、計画性と情報活用の姿勢にかかっています。無理のない設計を行えば、奨学金の返済を続けながらでも、安心して子育てを進めることができるでしょう。
出典
こども家庭庁 子育て世帯の家計を応援
こども家庭庁 妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(妊婦等包括相談支援事業・妊婦のための支援給付)
独立行政法人日本学生支援機構 返還が難しくなった場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
