生活保護を受けている母の家で給湯器が壊れました。こういった生活必需品に使える補助金などの支援制度はありますか?
本記事では、法制度上の原則を押さえつつ、給湯器交換・修繕に使える可能性のある支援制度、申請の流れ・注意点について確認していきます。
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生活保護制度で認められる修繕とその範囲
生活保護には、「生活扶助」「住宅扶助」「医療扶助」などの項目があり、食費や光熱費などは生活扶助の範囲に含まれます。一方で、給湯器のような住宅設備の購入や交換は生活扶助・住宅扶助のいずれにも原則として含まれないため、保護費で購入や交換をすることはできません。
ただし、修繕については社会通念上最低限度の生活に必要と認められる場合、住宅維持費や特別基準で認定されることがあります。特に、重度障害者や歩行困難な高齢者が自宅での入浴を必要とする場合、または近隣に公衆浴場等がない場合などは、福祉事務所が生活維持に不可欠と判断すれば、修繕費用の支給が認められることもあります。
そのため、まずは母親の担当ケースワーカーに相談し、修繕や交換が生活維持に不可欠と認められるかどうかを確認することが第一歩となります。
国の補助制度で使える可能性があるもの
給湯器交換に際しては、国が進めている省エネ機器導入支援制度を利用できる場合があります。
例えば、「給湯省エネ2025事業」ではヒートポンプ給湯器、ハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池などの高効率給湯器の導入に補助金が支給されます。
補助金額は、機器の種類や性能によって6~13万円程度となり、対象機種や指定施工業者の利用など所定の要件を満たす必要があります。補助金は工事完了後に後払い形式で支給されることが多いため、一時的に費用を立て替える必要がある点に注意が必要です。
なお、この制度は生活保護受給の有無にかかわらず利用できるため、補助対象機種に該当する場合は積極的に活用を検討するとよいでしょう。
自治体の住宅改修支援や交付金の活用
自治体によっては、低所得世帯や高齢者世帯を対象として、住宅改修や給湯器・風呂釜などの省エネ機器導入の補助制度を設けているところもあります。また、自治体のなかには国の「物価高騰対応重点支援交付金」を活用して、独自の助成事業を行っている例もあります。
こうした制度の有無や内容は地域によって異なるため、お住まいの市区町村の住宅課や福祉課へ直接問い合わせて、利用できる補助制度がないか確認しましょう。
なお、補助金の対象外となった場合でも、社会福祉協議会による「生活福祉資金貸付制度」など他の公的支援を併用できる場合があります。さまざまな制度を上手に活用して、安心できる生活環境を整えていきましょう。
修理・交換までの現実的な進め方
給湯器が壊れた際には、焦らずに状況を整理し、費用や手続きを冷静に進めることが大切です。本章では、修理や交換を行うための現実的なステップについて、順を追って説明します。
まず行うべきは、専門業者に現地調査を依頼し、修理で済むのか交換が必要なのかを判断することです。その後、複数の業者から見積もりを取り、費用の妥当性を比較しましょう。
次に、自治体や補助金事務局に見積もり内容を提示し、利用可能な補助制度を確認します。条件を満たす場合は申請書類を整え、手続きを進めます。国の補助制度では施工業者が代理申請を行うケースが多いですが、事前に登録業者を選定することが重要です。
補助金を受けても費用が不足する場合には、無利子または低利の福祉貸付制度(生活福祉資金貸付制度など)の利用を検討したり、親族や地域支援団体からの一時的な援助を受けたりすることも考えられます。
支援を探して最適な方法で対応しよう
給湯器の故障は、生活保護世帯にとって負担の大きな負担となりますが、あきらめる必要はありません。制度の仕組みを理解し、国・自治体・地域団体の支援を組み合わせることで、自己負担を抑えながら安全に生活を続けることができます。
まずは福祉事務所や市区町村役場の窓口に相談し、利用できる補助制度の有無を確認しましょう。そのうえで、省エネ型機器の導入補助や住宅改修支援なども検討し、最も現実的で負担の少ない方法を選ぶことが大切です。
出典
厚生労働省 生活保護制度
経済産業省 資源エネルギー庁 給湯省エネ2025事業
内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局、内閣府地方創生推進事務局 内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生2.0 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金
厚生労働省 生活福祉資金貸付制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
