高齢の母が風呂場で転倒!「救急車は7000円請求される」と言うので、車で病院へ行きました。救急車は“有料の場合”もあるのでしょうか?
しかし、「救急車は7000円請求される」ようになったという話も耳にします。無料だと思っていた救急車が有料になると、今後救急車を呼ぶのに躊躇(ちゅうちょ)してしまう人もいるかもしれません。救急車で利用料金がかかるのはどのようなケースなのでしょうか。
本記事では、救急車の利用に関する費用や、有料のポイントとなる「選定療養費」について詳しく解説します。
ファイナンシャルプランナー2級
救急車は無料だけれど、近年では「緊急性」の懸念がある
日本では、救急車の利用は原則として無料です。しかし、最近では無料であることをいいことにタクシー代わりに要請するなど、緊急性のない搬送も増えています。そこで、本当に必要な人に緊急搬送ができるように、一部の医療機関では「選定療養費」という制度を設けています。
この「選定療養費」とは、救急車の利用料ではなく、特定機能病院や高度医療を提供する病院で、紹介状なしに受診した場合にかかる追加費用のことです。救急搬送された人が、受診の状況によってはこの選定療養費が請求される場合があります。
選定療養費ってなに?
選定療養費とは、厚生労働省が定めた制度で、患者が紹介状なしで特定機能病院や高度専門医療を提供する病院を受診した場合に、追加で支払う費用のことです。
一例として、三重県松坂市では、救急車で搬送されても緊急性がなく入院に至らなかった「緊急性が低い」と判断された患者については、2024年6月1日より選定療養費として7700円(税込)を病院で徴収することになりました。
つまり、現時点では「救急車の利用自体が有料」というわけではなく、救急車で搬送された結果、緊急性が低いと判断された場合は、結果として「選定療養費」の支払いが必要になるということです。
選定療養費を避けられるのはどんなとき?
「緊急性が低い」救急車の利用の場合でも、選定療養費を支払う必要がないのは次のケースです。
・入院に至った場合
・紹介状を持参している人
・公費負担医療制度の対象の人
・災害により被害を受けた人
・労働災害、公務災害、交通事故
・医師の判断による
選定療養費の制度を導入する医療機関が増えてきていますが、現時点ではすべての医療機関で採用されているわけではありません。
不安な場合は受診予定の病院に事前に連絡し、選定療養費の有無や金額について確認してみましょう。病院によっては、ホームページで情報を公開している場合もあります。
救急車の利用は無料でも、診療費には注意が必要
救急車の利用は原則として無料ですが、病院での判断によって、選定療養費が発生する可能性があります。救急車を呼んだら思いもかけない支払いが増えるのではないかと心配になってしまうかもしれませんが、緊急性が高い場合は従来通り、無料で利用することができます。
また、一刻を争うような緊急事態でない限りは、本当に救急車が必要であるかを冷静に考えることも大切です。救急車を呼ぶべきか迷ったら、「救急安心センター事業」(♯7119)で専門家に相談することも検討しましょう。
出典
厚生労働省 紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について
松阪市 三基幹病院における救急車利用の“選定療養費”について
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
