通帳も証券もスマホの中。パスワードは家族にも共有していないです。自分が急に倒れたら家族は把握できるのでしょうか?どこまで教えておくべき?
銀行口座や証券アプリ、電子マネー、ポイント、仮想通貨など、すべてがデジタル化した今、「見えないお金」は家族にとって大きな負担になる可能性があります。
便利さの裏に潜む“デジタル資産の相続リスク”と、家族にどこまで伝えておくべきかを考えます。
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目次
「見えない資産」が家族を悩ませる
銀行口座も証券口座も、すべてオンラインで完結する時代。紙の通帳も届かず、通知もアプリの中だけで完結するケースが多くなりました。
その結果、本人しか存在を知らないまま亡くなってしまうと、家族は口座を探しようがありません。銀行に問い合わせても、「口座の存在を確認するためには本人情報や証拠が必要」と言われ、容易にはたどりつけないのです。
相続の手続きを進めるためには、資産を“把握すること”が出発点です。しかし、デジタル管理が進むほど、家族がアクセスできないリスクも高まります。
株式会社AlbaLinkの調査によると約9割がデータの削除やパスワード管理などのデジタル終活をすべきと回答し、なかでも1番すべきこととして「パスワードのリスト化・共有」の回答が最も多い結果となりました。
「パスワードを共有しない」は正解か?
セキュリティの観点から、パスワードを他人に教えないのは当然です。家族といえども、万が一の情報流出を防ぐために、安易な共有は避けるべきでしょう。とはいえ、完全に秘密のままでは“本人以外が何もできない”という事態になります。
たとえば、ネット銀行、証券口座、PayPay・楽天ペイ・LINE Payなどの残高、仮想通貨、マイルやポイントは、IDやパスワードがなければ確認ができません。理想的なのは、「どこに何があるのか」を最低限伝えておくこと。たとえば次のような方法があります。
・メモやエクセルなどで「資産リスト」を作成し、場所と概要だけ記す
・詳細なパスワードは記載せず、「パスワード管理アプリを利用している」と明示
・万一のときに信頼できる人が開けるよう、封書で保管しておく
・公証人や専門家に「デジタル遺言」を残す
家族にどこまで教えるべきか?
ポイントは、全部を共有する必要はないが、存在を知らせること。たとえば、「銀行は○○銀行と△△銀行」「証券は□□証券」「スマホの中に資産関連アプリがある」と伝えておくだけでも、手がかりを得られます。
さらに、「重要な情報はここにまとめてある」「○○という弁護士に預けてある」といった導線を示すことで、混乱を防げます。
家族関係によって伝える範囲を調整するのも一案です。パートナーには全体の場所を、子どもには概要だけを、というように役割分担を決めておくと安心です。
エンディングノートや「デジタル遺品ノート」を活用
最近では、「エンディングノート」や「デジタル遺品ノート」と呼ばれるツールも普及しています。これらには、口座やパスワード、加入保険、定期支払いサービス(サブスク)などを一覧化して記録できます。
ノート型の紙媒体もありますが、セキュリティを重視するなら、暗号化クラウド型や専門サービスの利用もおすすめです。
「教えすぎない」「隠しすぎない」バランスを
人生100年時代、予期せぬ病気や事故は誰にでも起こり得ます。「まだ早い」と思っていても、いざという時に家族が困らないよう、準備をしておくことが大切です。
最も大切なのは、資産の存在を知らせ、見つけるためのヒントを残すことです。パスワードそのものを渡すのではなく、“道筋”を伝えることが、安心と安全の両立につながります。
出典
株式会社AlbaLink 【デジタル終活が必要だと思う理由ランキング】男女500人アンケート調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
