離婚後「養育費2万円」を確実に受け取れるように!? 母子家庭で受け取れてるのは“4世帯に1世帯”だけ…法定養育費の「具体的な金額」も確認

配信日: 2025.10.25
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離婚後「養育費2万円」を確実に受け取れるように!? 母子家庭で受け取れてるのは“4世帯に1世帯”だけ…法定養育費の「具体的な金額」も確認
離婚後に子どもを育てる家庭において、養育費が支払われないケースが少なくありません。厚生労働省の2021年度調査によると、母子世帯で養育費を取り決めているのは46.7%、実際に受け取れているのは28.1%と、約4世帯に1世帯にとどまります。
 
こうした現状を改善するため、法務省は2026年5月までに「法定養育費」制度の施行を予定しています。本記事では、法定養育費の仕組みや具体的な金額について解説します。
東雲悠太

FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

法定養育費って何?

養育費とは、離婚後に子どもを育てるために必要な生活費や教育費などを、子どもと離れて暮らす親(非監護親)が負担するお金のことです。金額は、父母の収入や子どもの年齢、生活水準などをもとに、夫婦間の協議や、家庭裁判所の調停で決めるのが一般的です。
 
あくまでも、子どもと一緒に暮らす親(監護親)に対して、非監護親が支払う仕組みであり、養育費の支払いは父親・母親どちらにも発生する場合があります。
 
子どもの健やかな成長のために必要な養育費ですが、支払いが滞ることも多く、実際に受け取れているのは約4世帯に1世帯にとどまるのが現状です。こうした未払いの実態を踏まえ、2024年に改正民法が成立しました。
 
改正によって、夫婦間の取り決めがなくても、監護親が非監護親に対して一定額を請求できる「法定養育費」の仕組みを新たに設けることが決まりました。
 
支払額や請求の方法などの具体的な内容は、法務省が定める省令で決定します。法務省は2025年9月4日~10月3日にかけて省令案に対する意見の募集を行い、その結果をふまえて2026年5月までの施行を目指しています。
 

法定養育費の具体的な金額は?

法務省が公表した法定養育費の仕組みをまとめた案では、子ども1人あたり月2万円が基準額です。兄弟姉妹が複数いる場合にも1人あたりの金額は減少せず、2人であれば4万円、3人であれば6万円と、2万円に人数を乗じた値が法定養育費の金額となります。
 
法定養育費は、あくまでも夫婦間で養育費の取り決めが成立するまでの間、最低限度の額を請求できるようにする制度です。個々の家庭の事情によって、より高い金額が必要な場合は、これまで通り夫婦間の話し合いや家庭裁判所で適正額を定めることが可能です。
 
また、養育費が支払われなかったときには、法律上優先して回収できる仕組みとなることも改正民法で示されています。未払いを防ぐことにより、子どもの生活の安定につながることが期待されています。
 

法定養育費は子どもの健やかな成長を守る新たな仕組み

法定養育費は、夫婦間で養育費の取り決めがない場合でも、子ども1人あたり月2万円を請求できるようにする新しい制度です。パブリックコメントにて寄せられた意見をふまえて具体的な内容を最終決定し、2026年5月までに施行される予定です。
 
実際の運用が始まれば、養育費の受け取りがより確実なものになり、子どもの健やかな成長を守る仕組みとなるでしょう。離婚することが珍しいことではなくなりつつある昨今、このような仕組みが整うことを前向きに捉え、制度の概要を理解しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します
法務省民事局 父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました
法務省民事局 「民法第三百八条の二に規定による子の監護費用の先取特権に係る額の算定等に関する省令案」に関する概要説明
 
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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