生活保護13万円を受給中のシングルマザーです。子どもが成人すると「支給額」は減るのでしょうか?

配信日: 2025.10.26
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生活保護13万円を受給中のシングルマザーです。子どもが成人すると「支給額」は減るのでしょうか?
生活保護を受けているシングルマザーから、「もうすぐ子どもが成人するのですが、いま受け取っている生活保護費はどうなるのでしょうか?」とのご相談です。生活保護の基本と、子どもが成人した際はどうなるのか解説します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

生活保護の目的と仕組み

生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助ける」制度です。対象となるのは、「働くことが難しい」「生活に必要な収入が得られない」「支援してくれる親族がいない」など、あらゆる努力をしても生活が成り立たない人です。
 
支給は「世帯単位」なので、母子家庭であれば「母」と「子」をひとつの生活単位として、その世帯全体の収入と支出を基に保護費が計算されます。
 
支給額は、居住地域・家賃・人数・年齢構成により異なり、生活扶助・住宅扶助・教育扶助などに分かれて支給されます。今回のケースでは、これら合算した場合で月額13万円です。
 

母子家庭向け生活保護

シングルマザーの場合、収入源が限られるため、生活保護を受ける世帯も少なくありません。母子加算がつくことで、通常の生活扶助に加えて、子どもの養育費や教育費の一部が補われているケースが一般的です。
 
母子加算の金額は、子どもの1人の場合で月に約1万5000円前後が目安ですが、自治体によって違いはあります。さらに、子どもが義務教育あるいは高校に通学している間は「教育扶助」も支給されます。
 
このように、子どもが未成年で学生のうちは、比較的手厚い支援を受けやすい仕組みになっています。
 

子どもが成人すると、どうなる?

子どもが18歳、20歳を迎えると、生活保護の扱いが変わる可能性があります。それは、生活保護は「世帯全体」に対しての支給が原則であるためです。
 
子どもが就職し、収入が発生すれば、その収入が世帯の収入に上乗せされ、世帯全体の生活保護費が減額されるか、収入が基準を上回れば保護が廃止される場合もあります。
 
一方、子どもが進学して学生を続ける場合などであれば、従来どおり世帯に含まれ、一定の支給が継続されるケースもあります。
 

成人した子どもが別世帯になった場合

子どもが就職したり、独立して別の住所で生活を始めたりすると、生活保護の世帯構成が変わります。こうなると、母親だけの単身世帯として再審査が行われ、受給が継続される場合もありますが、支給額はこれまでより減る可能性が高くなります。
 
子どもが仕事には就いたが、実家に同居したままの場合は、「同居扶養義務者」として収入状況の確認が行われます。子どもの収入によっては、支給額が見直されることも考えられます。
 

“扶養照会”にも注意

生活保護を受ける際、親族への「扶養照会」が行われます。これは、行政が親族に「援助できるかどうか」を確認する手続きです。「実際に仕送りを求められる」わけではなく、あくまで形式的な照会ですが、成人した子どもがいる場合は、この照会の対象となることもあります。
 

まとめ

このように見てくると、子どもが成人し、就職した場合は減額・廃止になる可能性が高くなりますが、学生を継続する、健康上の問題で就職が難しい場合などは継続の可能性も十分にありますので、ケース・バイ・ケースといえるでしょう。
 
ただ就職によって保護費が実際に減ると予想できる場合には、あらかじめ今後の生活設計を考えておくことが大切です。例えば、母親が自分自身の就労支援を受けて、少しずつ経済的自立を目指す準備を検討するのもよいでしょう。
 
地元自治体の福祉窓口やケースワーカーに「今後について」を早めに相談し、先回りして行動できるようにしておけば、いざ減額、廃止になってからも慌てずにすみます。
 

出典

厚生労働省 生活保護の基本的な実務
東京都福祉局 生活保護制度とはどのような制度ですか。
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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