育休を取りたいけど、給料が止まるので収入減が不安… 産休のように国から給付を受けられますか?
本記事では、これらの給付金について解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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育児休業
育児休業は社員だけではなく契約社員や一定の要件を満たすパートタイマー、派遣労働者も取得できます。育児休業には、通常の「育児休業」と「出生時育児休業(産後パパ育休)」の2つがあります。
通常の育児休業は、母親の場合、産後休業が終わった翌日から、父親の場合は子どもが生まれた日から、原則1歳(最長2歳)になるまでに2回まで分割して取得できます。育休の申し出は開始したい日の1ヶ月前までに会社に書面等で行います。社員が仕事を離れて育児に専念するための制度なので育休中の仕事は原則できません。
主に男性の育児休業取得を促進するために作られた出生時育児休業(産後パパ育休)は、子の出生後8週間の期間内に28日を限度として、2回まで分割して取得できます。産後パパ育休の申し出は開始したい日の2週間前までに会社に書面等で行います。産後パパ育休中の仕事は、通常の育児休業と異なり、労使の合意があればできます。
育児休業給付金
一定の条件を満たした社員等が1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取った場合、育児休業給付金を受け取ることができます。育児休業給付金は、原則2ヶ月に1回、会社からハローワークに申請することで振り込まれます。
給付金の支給額は、給与が支払われない場合、休業開始から通算180日までは休業前賃金の67%が、180日経過後は休業前賃金の50%が雇用保険から支給されます。さらに、2025年4月からは、育児休業給付金の上乗せとして、「出生後休業支援給付金」が創設されました。
父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取った場合、休業前賃金の13%が最大28日間支給されます。育児休業給付金と出生後休業支援給付金の両方を合わせれば、休業開始から通算180日までは休業前賃金の80%がカバーできます。
80%では少ないと感じる方もいるかもしれませんが、この期間中、育児休業給付金をもらっても課税されませんし、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)も免除されますので、多くの方は、手取りベースで実質100%の額となります。
社会保険料の免除を受けても、健康保険の給付は通常どおり受けられます。また、免除された期間分も将来の年金額に反映されます。
男性の中には、収入減を心配して育児休業の取得を迷っている方もいるかもしれませんが、多くの方は手取り収入が減らないので男性も育児に参加しましょう。
育児時短就業給付金
育児休業が終わってから職場復帰する場合、生活のリズムが大きく変わるので、復帰直後からフルタイムで働くのは大変です。そこで、仕事と育児を両立する制度として育児のために所定労働時間を短縮する育児短時間勤務制度があります。
しかし、例えば、1日の所定労働時間が8時間のところ6時間勤務にすると、賃金が75%に下がってしまいます。そこで、この収入減を補うため、2歳未満の子を子育てしている方が、時短就業をした場合に、最大で時短就業時の賃金の10%が支給される「育児時短就業給付金」が創設されました。
まとめ
産休中と同じく育休中も国からさまざまな給付金が支給されます。例えば、産休・育休中の給料は支給されないことがほとんどですが、「出産手当金」「育児休業給付金」などによって所得補償がなされます。
また、産休・育休中の社会保険料が免除されますが、将来の年金額には影響しませんので安心してください。
出典
厚生労働省 育児休業等給付について
日本年金機構 育児休業期間中の保険料免除
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
