がんの治療費は平均どれくらい? 払えない場合の対処法を解説

配信日: 2025.10.29
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がんの治療費は平均どれくらい? 払えない場合の対処法を解説
がんと診断されると、治療や入院の不安に加えて「お金の心配」も大きくなります。どの程度の費用がかかるのか、もし支払えない場合はどうすればよいのか。日本は公的医療保険が整っているとはいえ、自己負担が数十万円に及ぶこともあります。
 
本記事では、がん治療にかかる平均費用の目安と、支払いが難しいときに利用できる制度や備えの方法について解説します。
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がん治療にかかる平均的な費用とその内訳

がん治療の費用は、がんの種類や治療方法、入院期間によって大きく異なります。
 
厚生労働省の「医療給付実態調査」によると、たとえば胃がんの入院治療では1件あたり約66万円、直腸がんではおよそ78万円の総医療費がかかっています。自己負担が3割の場合、1回の入院でおおよそ20万円前後を支払うことになります。通院治療でも1回あたり数万円の自己負担が発生するケースが一般的です。
 
こうした費用はあくまで「保険が適用される範囲」での数字です。保険が適用されない自由診療や先進医療を受けると、費用はさらに高額になります。たとえば、陽子線治療の平均費用は約320万円といわれています。
 
また、差額ベッド代や交通費、食費、付き添いの宿泊費などもかかるため、実際の負担額は「治療費の合計」よりも大きくなることが少なくありません。がん治療における費用は、「数十万円から百万円単位、場合によっては数百万円」に及ぶこともあるのです。
 

払えないときに活用できる制度や対策

「治療を受けたいけれど、支払いが難しい」と感じたときには、公的な支援制度をうまく利用することで負担を大きく減らすことができます。
 
もっとも代表的なのが「高額療養費制度」です。これは、1か月の医療費が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みで、年齢や所得に応じて上限が決められています。たとえば、年収約370万円の人であれば、1か月の自己負担上限はおおむね8万円程度に抑えられます。
 
あらかじめ「限度額適用認定証」を申請しておけば、窓口で支払う金額自体を上限額に抑えることができるため、後から払い戻しを待つ必要もありません。
 
それでも支払いが追いつかない場合には、「高額療養費貸付制度」を利用できます。これは、払い戻しまでの間に必要な医療費を無利子で立て替えてもらえる制度です。
 
また、年間の医療費が一定額を超えた場合には「医療費控除」として所得税や住民税の軽減を受けられる可能性もあります。所得が低く、経済的に困難な状況にある人は、社会福祉法人などが実施する「無料低額診療事業」や、生活保護制度の「医療扶助」を活用できるケースもあります。
 
経済的な不安を感じたら、まず病院の「医療ソーシャルワーカー」や「がん相談支援センター」に相談することが大切です。
 
病院によっては分割払いに応じてくれるところもあり、状況に応じて柔軟に対応してもらえる可能性があります。支払いに悩むときは、我慢して治療を先延ばしにするのではなく、早めに相談することで解決の糸口が見つかることが多いのです。
 

治療が長期化したり収入が減ったときの対処法

がん治療は、治療期間が長くなったり、仕事を休むことで収入が減少したりと、生活全体に影響が及ぶことがあります。治療が長期に及ぶと、入院費だけでなく通院の交通費や薬代、生活費も重なっていきます。そうしたときには、毎月の支出を見直し、固定費の削減や収入補填の手段を検討することが欠かせません。
 
会社員や公務員で健康保険に加入している人であれば、「傷病手当金」が支給される場合があります。
 
これは、療養のために仕事を休んで給与が支払われないとき、一定期間、給与の約3分の2を受け取れる制度です。一方、自営業者やフリーランスは対象外となるため、事前に加入している保険や共済の補償内容を確認しておく必要があります。
 
もしも治療費の支払いがどうしても難しい場合には、病院と相談し、支払いの猶予や減免措置を検討してもらうことも可能です。病院によっては、患者の事情を考慮して柔軟に対応してくれることがあります。
 
また、自由診療や先進医療を希望する場合には、治療を始める前に総額費用を必ず確認し、支払い方法やリスクを把握しておくことが大切です。家族ともよく話し合い、治療方針だけでなく「お金の計画」も含めて現実的な選択をしていきましょう。
 

費用を見通して備えるために今できること

がん治療の費用は、治療内容や期間によって大きく変わりますが、平均的には数十万円から百万円単位、場合によってはそれ以上かかることもあります。
 
ただし、日本の医療制度は充実しており、高額療養費制度などを利用すれば、極端に大きな負担になることは少ないといえます。とはいえ、急な支出が発生したり、収入が減ったりすることも考えられるので、ある程度の備えは必要です。
 
日常的にできる備えとしては、生活防衛資金を確保しておくことです。
 
さらに、民間の医療保険やがん保険に加入しておくと、公的制度の対象外となる差額ベッド代や先進医療の費用、治療中の生活費などもカバーできる可能性があります。治療費が高額になるといわれるがん治療だからこそ、事前の備えが精神的な安心につながります。
 
治療費の不安を感じたときは、制度を知ること、そして相談することが第一歩です。制度を上手に活用し、備えを整えることで、経済的な心配を少しでも減らし、治療に専念できる環境をつくりましょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 医療給付実態調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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