「2026年度から私立高校も実質無償化」と安心したのに…! 支援金上限「45万7000円」だけでは足りない!? 入学後に必要な“授業料以外”の請求書の内容とは

配信日: 2025.10.29
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「2026年度から私立高校も実質無償化」と安心したのに…! 支援金上限「45万7000円」だけでは足りない!? 入学後に必要な“授業料以外”の請求書の内容とは
「2026年度から、私立高校の授業料が所得制限なしで実質無償化される」というニュースは、子どもの進学を控える家庭にとって朗報と言えるでしょう。これまで経済的な理由で私立高校への進学をあきらめていた家庭でも、進路の選択肢が広がります。
 
しかし、「無償化」という言葉だけで安心するのは早いかもしれません。実は、この制度で支援されるのは主に「授業料」の部分です。私立高校では、授業料以外にもさまざまな費用がかかるため、入学後に思わぬ出費に驚くケースも少なくありません。
 
本記事では、私立高校入学後に必要となる費用について、私立高校無償化の制度や「授業料以外」の費用も合わせて解説していきます。
山口克雄

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

そもそも「私立高校の実質無償化」とは? 支援内容と注意点

2026年度からの制度変更で、国の「高等学校等就学支援金」が拡充されます。これまでの支援金は、世帯年収の目安が約910万円未満の世帯のみに支給されていましたが、今後はその所得制限が撤廃され、支給額の上限も引き上げられる予定です。
 
これまで私立高校等の授業料の支援金は、世帯年収約590万円未満の世帯を対象に最大で年間39万6000円支給されていました。2026年度からは所得にかかわらず、基準額11万8800円の支給が受けられるほか、私立加算額が引き上げられ、私立高校の全国平均授業料を参考に最大で年間45万7000円まで支援される見込みです。
 
この制度は、家庭の経済状況にかかわらず、子どもたちが安心して教育を受けられるようにするために作られました。しかし、注意したいのは、この支援金はあくまで「授業料」に対しての支援であるという点です。学校が徴収するすべての費用がゼロになるわけではありません。
 

請求書を見てびっくり! 授業料以外にかかる費用の内訳

私立高校では、授業料以外にもさまざまな納付金があり、特に入学初年度はまとまった金額が必要になります。文部科学省の調査によると、令和5年度の私立高校(全日制)の学習費総額は、年間103万283円となっています。高等学校等就学支援金で授業料をカバーできたとしても、多くの費用が自己負担となるのが現実です。
 
高校入学時にかかる費用にはどのような項目があるのか、具体的に確認しておきましょう。
 

・入学金:令和6年度の文部科学省の調査では、私立高校の入学金の平均額は16万5898円でした。
・施設設備費:校舎の維持や設備の充実のために使われる費用です。同じく令和6年度の調査で、平均額は15万7232円となっています。
・制服・指定用品代:学校指定の制服や体操服、カバン、靴などをそろえる必要があります。すべて新品で購入すると10万円以上かかる場合もあるでしょう。
・教科書・教材費、タブレット端末費:授業で使う教科書や副教材のほか、近年ではICT教育の推進により、生徒1人ひとりがタブレット端末を購入するケースも増えています。
・修学旅行積立金:国内外への修学旅行の費用は、毎月分割で積み立てるのが一般的です。

 
これらの費用は、就学支援金の対象外です。入学時だけでも数十万円の出費が発生する可能性を理解しておく必要があります。
 

家計への負担をどう乗り切る? 今からできる備え

授業料については支援金が支給されますが、その他の費用も考慮し、計画的に資金を準備することが大切です。子どもの高校進学までの、今からできる備えを確認しておきましょう。
 
まずは、正確な情報収集から始めます。子どもが希望する私立高校のWebサイトや募集要項を確認し、初年度にどれくらいの費用がかかるのかを把握しましょう。「授業料」「入学金」だけでなく、「施設設備費」「その他」といった項目まで細かくチェックするのがポイントです。
 
次に、お住まいの自治体独自の支援制度も調べましょう。例えば、東京都では国の就学支援金に上乗せする形で、都独自の「授業料軽減助成金」を設けています。
 
これにより年収制限なく都内私立高校の平均授業料である年間49万円(国の就学支援金と合わせて)まで助成が受けられます(令和7年度時点)。こうした制度を活用すれば、家計の負担をさらに軽くできる可能性があります。
 

無償化はあくまで「授業料支援」! 高校3年間の総費用で考えよう

2026年度から拡充される私立高校授業料の実質無償化は、子どもの教育機会を広げ、家計の負担を軽減する大きな助けとなる制度です。ただし、支援の対象は主に授業料であり、入学金や施設設備費、制服代などは、これまで通り家庭が負担する必要があります。
 
「無償化」という言葉のイメージに惑わされず、入学から卒業までの3年間にかかる総費用をしっかり把握し、早いうちから計画的に準備を進めることが、後悔しない高校選びにつながります。まずは、気になる高校のWebサイトで、必要な費用を確認してみましょう。
 

出典

文部科学省 いわゆる高校無償化をめぐる動向について
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果について
文部科学省 令和6年度私立高等学校初年度授業料等の調査結果について
公益財団法人 東京都市学財団 私立高等学校等授業料軽減助成金事業
 
執筆者 : 山口克雄
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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