インバウンドで「家族4人のホテル代」が1泊8万円! 夫が「SAで車中泊しよう」と言いますが、本当に問題ない? 費用的にはどのくらいお得でしょうか?
しかし、SAでの車中泊には法的なグレーゾーンやマナー上の問題もあるため、注意が必要です。本記事では、法律面・費用面・リスク面を整理していきます。
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目次
そもそも車中泊は法律的に問題ない?
まずは、車中泊が法律に触れるかどうかを確認しておきましょう。
そもそも長時間駐車する行為は、道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)や同45条(駐車を禁止する場所)に該当する場合があります。また、駐車禁止ではない場所でも、自動車の保管場所の確保等に関する法律第11条により、長時間の駐車はできません。
高速道路のSA・PAで宿泊はできない
高速道路のSA・PAは「休憩を目的とした一時利用」が想定されており、仮眠する程度であれば違法ではありません。
ただし、各高速道路会社では、「休憩や食事、買い物などの目的以外で長時間にわたる駐車をおこなうこと」は禁止などと呼びかけています。つまり、「仮眠」までならセーフ、「宿泊」目的での連泊やキャンプ的行為はアウト、という線引きが基本と考えるべきです。
ホテル代と車中泊ではどのくらいお得になる?
ホテル代が家族4人で1泊8万円の場合、SAで車中泊すれば大幅に節約できます。食事をコンビニエンスストアやフードコートで済ませ、入浴はSAの施設を利用した場合の費用を図表1で試算しました。
図表1
市場価格を参考に筆者作成
節約優先で入浴はせず、体をふくだけの清拭(せいしき)のみとし、エアコン使用も控える(アイドリング時間を最低限とする)なら、ホテル泊と比較して1割程度のコストで収まる試算です。入浴施設やエアコンなどを適宜使用する場合でも、1万円前後で収まるでしょう。
単純計算で約7万円の節約になりますが、狭い車内での睡眠による疲労や防犯面など、目に見えないコストも存在します。節約だけでなく、安全や快適さを考慮し、バランスの取れた判断をすることが大切です。
車中泊で気をつけたい法律やマナー面・安全面のポイント
車中泊を検討する際は、法的な問題に加えて、マナーや安全面にも注意しなくてはなりません。
マナー面のポイント
エンジンをかけっぱなしにする行為は、排出ガスによる一酸化炭素中毒や環境への悪影響につながるため、避けてください。
NEXCO東日本も「アイドリングストップへの協力」を求めています。また、深夜のドア開閉音や照明、外での会話がほかの利用者に迷惑をかける場合もあります。
このほか、防犯の観点からも、ドアロックや貴重品管理を徹底しましょう。
安全面のポイント
車中泊中のトラブルは自己責任となる点にも注意が必要です。盗難・健康被害・交通事故が発生した場合、SA側に補償を求めることはできません。短時間の仮眠であっても、なるべく人の多いエリア・明るい場所を選ぶことが安全面でのポイントです。
合法でより安心な代替案の検討も
節約を目的にするなら、より安心して過ごせる「車中泊専用エリア」を利用するのがおすすめです。近年は「RVパーク」「湯YOUパーク」などの施設が全国に増えており、1泊数千円で電源・トイレ・入浴施設などを利用できます。
また、道の駅では「オートキャンプ併設エリア」が整備されつつあります。宿泊費を抑えながら安全と快適さを確保できるため、家族旅行での車中泊初心者にもおすすめです。
節約も大事だが安全面とのバランスを考えよう
SAでの車中泊は、休憩目的にとどまる範囲であれば法律的に問題ありません。ただし、宿泊やキャンプ行為に及ぶと、違法行為または迷惑行為となる可能性があります。
確かにホテル代に比べれば大幅な節約になりますが、快適性や防犯面を犠牲にしてまで無理をするのは得策ではありません。節約を重視するなら、RVパークなど合法的な車中泊施設を活用し、安全面とコストの両立を図りましょう。
出典
中日本高速道路株式会社 SA・PAご利用上の注意
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

