父親には会ったことがなく、母から聞くと養育費ももらえてないようです。高校生の私ができる『養育費の請求方法』はありますか?
本記事では、法的な仕組みや現実的な手順を、未成年でも理解できるようにわかりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
養育費とは何か
養育費とは、子どもを育てるために必要な費用のことです。食費、教育費、医療費、衣類や住居費など、日常生活にかかるお金を含みます。
日本の法律(民法第766条)では、離婚後も親には子どもを扶養する義務があり、父親・母親のどちらが親権を持っていようと関係ありません。つまり、たとえあなたが父親と暮らしていなくても、父親はあなたの生活を支える責任があります。
養育費の請求は「子どもの権利」
養育費は「親の好意」ではなく、親の義務であり子どもの当然の権利です。そのため、たとえ母親が請求していなくても、子ども自身が請求できるケースもあります。
ただし、未成年の場合、原則として親権者や法定代理人(多くは母親)が手続きを行う必要があります。しかし、もし母親が動けない事情がある場合は、家庭裁判所を通して特別代理人を立てる方法もあります。
養育費の請求方法の流れ
1. まずは「父親を特定」する
請求を行うには、まず父親が誰なのかが明確である必要があります。もし父親が法律上の「認知」をしていない場合は、認知請求という手続きが必要です。
これは、DNA鑑定などによって父子関係を証明し、家庭裁判所に申し立てを行う方法です。認知が成立すると、戸籍にも父親の名前が入り、初めて養育費を請求する法的権利が生まれます。
2. 話し合い(任意交渉)を試みる
父親が認知していて連絡が取れる場合は、まず話し合い(任意交渉)で養育費の支払いを求めます。母親または代理人(弁護士など)を通じて、「月○万円を支払ってほしい」と具体的に提示します。
話し合いがまとまれば、裁判所の手続きや公正証書を作成しておくことで、将来支払いが止まったときに強制執行が可能になります。
3. 家庭裁判所への申し立て
もし父親が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。調停では、調停委員を通して話し合いが行われ、支払額や支払期間が決まります。
調停が成立すれば、裁判所の「調停調書」が作成され、これは法的な強制力を持ちます。それでも支払いが行われない場合は、「強制執行」によって給料や財産を差し押さえることも可能です。
高校生本人にできること
高校生のあなた自身が直接裁判を起こすのは難しいですが、できることはいくつかあります。
・母親に相談する
まずは、母親に「養育費を請求できないか」を話してみてください。弁護士や自治体の無料相談を利用すれば、費用をかけずに相談できます。
・法テラスを利用する
「法テラス」は国が運営する法律相談機関で、未成年でも利用できます。経済的に余裕がなくても、無料または低料金で弁護士相談が受けられます。
・家庭裁判所への情報収集
最寄りの家庭裁判所に電話をして、「養育費の請求を考えているが、どうすればよいか」と尋ねるのも有効です。手続きの案内や書類の入手方法を教えてもらえます。
・スクールカウンセラーや児童相談所への相談
学校のカウンセラーや児童相談所でも、家庭の問題について相談に乗ってもらえます。あなたの安全を守りながら、必要な支援につないでくれます。
養育費は「子どもの権利/親の義務」であり、親の好意ではない
父親から養育費が支払われていない場合でも、あなたにはそれを請求する権利があります。
ただし、未成年であるため、実際の手続きは母親や代理人を通じて行うのが一般的です。経済的なことを高校生のあなたが心配するのはつらいことですが、法律はあなたの味方です。
まずは勇気を持って、信頼できる大人や専門機関に相談することから始めてみましょう。
出典
裁判所 養育費に関する手続
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
