暖房を使うときに「A/Cをオンにしたほうが燃費が良くなる」という話を聞きました。実際のところどうなのでしょうか?

配信日: 2025.10.30
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暖房を使うときに「A/Cをオンにしたほうが燃費が良くなる」という話を聞きました。実際のところどうなのでしょうか?
寒い季節になると、多くのドライバーが車の暖房を使います。そんなとき、「A/C(エアコン)をオンにしたほうが燃費が良くなる」といった話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
 
直感的には、A/Cを入れると燃料を使うイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。本記事ではその仕組みと真実を詳しく解説します。
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A/Cと暖房の仕組みの違い

まず、基本的な構造を理解することが大切です。自動車の暖房は、エンジンの熱を利用しています。エンジンが稼働すると冷却水(クーラント)が熱を帯び、その熱を車内へ送ることで暖かい空気を作り出します。
 
つまり「暖房」自体は、追加で燃料を使うわけではなく、エンジンの“余熱”を活用しているのです。
 
一方で「A/C(エアコン)」は、コンプレッサーという部品を動かして冷媒を圧縮・循環させ、空気中の水分を除去することで“除湿”や“冷却”を行う装置です。
 
A/Cをオンにするとコンプレッサーが作動するため、エンジンの負荷が増し、わずかに燃費が悪化するのが一般的です。環境省によると、車内の温度設定を外気と同じ25℃に設定し、エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化するという結果がでています。
 

それでもA/Cをオンにするのはなぜ?

ここで疑問になるのが、「燃費が悪化するのに、なぜA/Cをオンにするといいと言われるのか」という点です。
 
その理由は「除湿機能」にあります。冬場の車内は外気との温度差で曇りやすく、フロントガラスが曇ると視界が悪化します。この曇りを取るために最も効果的なのがA/Cの除湿機能です。
 
A/Cをオンにすることで空気中の湿気が取り除かれ、曇りが素早く解消されます。結果として、視界を確保するために窓を開けたり、ヒーターを強くかけたりする必要が減り、トータルで見れば無駄な燃料消費を抑えられる場合があるのです。これが「A/Cを入れたほうが燃費が良くなる」と言われる理由のひとつです。
 

実際の燃費への影響は?

実際にA/Cをオンにすることで燃費が大きく改善することはありません。コンプレッサーが作動する分、燃費は理論上悪化します。ただし、その差は通常1〜2%程度とごくわずか。
 
むしろ、曇りを放置して安全運転に支障をきたしたり、強制的にデフロスター(除霜機能)をフル稼働させたりするほうが燃費に悪影響を与えることがあります。
 
つまり、「A/Cを常時オンにしておくことが燃費をよくする」わけではなく、状況に応じて使うことで結果的に効率が上がるというのが正しい理解です。
 

効率的な使い方のポイント

1.曇りが出たらA/Cをオンにする

ガラスの曇り取りにはA/Cの除湿が最も有効です。曇りが取れたらオフにしてもOKです。
 

2.温度設定は高めにしすぎない

車内温度を必要以上に上げるとファンの回転数が増え、バッテリーや燃料の負担が大きくなります。
 

3.内気循環を上手に使う

外気導入では冷たい空気を取り込むため、暖房効率が下がります。走行中は外気導入、アイドリング中や曇り防止時は内気循環を使うと良いバランスが取れます。
 

安全性と快適性のために賢く使おう

「A/Cを入れると燃費が良くなる」というのは正確には誤解です。A/Cをオンにすればコンプレッサーが作動し、燃費は多少悪化します。しかし、除湿によって視界を確保できるため、安全性が向上し、結果的に無駄なエネルギー消費を防げるケースもあります。
 
つまり、燃費の観点から見るよりも、快適性と安全性を保つための機能としてA/Cを上手に使うことが大切です。暖房とA/Cをバランスよく活用し、快適で安全な冬のドライブを楽しみましょう。
 

出典

環境省 大気環境・自動車対策
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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