映画館で隣の「おしゃべり」が気になる! スタッフに伝えれば“返金”や“席の変更”はしてもらえますか? 上映中に席を立つと損したように感じます…
注意したくてもトラブルになりそうで動けない人も多いでしょう。本記事では、上映中の迷惑行為の正しい対処方法や再発防止の席選びまで、映画を安心して楽しむためのポイントを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
映画館でマナー違反とされる行為とは
全国の映画館や興行会社が加盟する団体、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)によれば、映画館では観客の快適な鑑賞を妨げる行為を「マナー違反」とする旨の周知が行われています。
全興連は、厚生労働省が定めた指針に沿って、感染症対策や防災、盗撮防止、青少年保護など、映画館の衛生と安全を守るための取り組みをしています。こうした活動の中で、上映中の会話やスマートフォンの操作など、周囲の人の集中を妨げる行為はマナー違反とされています。
上映中に取るべき行動と伝え方
上映中に近隣の席での迷惑行為に気づいても、自分で注意するのは得策ではありません
映画の上映中に席を立つのは損したように感じますが、入り口やロビーでスタッフに状況を伝えましょう。その際は「〇列目の中央で、上映開始から〇分ほど話し声が続いている」など、具体的に説明しましょう。
上映後に報告する場合も、できるだけ時間を空けずに受付へ行くようにするのがよいでしょう。
返金や振替を求めるときの伝え方
迷惑行為で鑑賞に支障が出た場合、劇場では次のような対応がとられることがあります。
1. 当該客への注意
2. 空席があれば席の移動
3. 次回鑑賞券の提供
4. 一部返金や別回への振替
ただ、このなかで返金については、一般的に難しいとされています。
例えば、業界大手のTOHOシネマズによれば「ご購入手続き完了後は、ご入場券の発券の有無に限らず、またいかなる理由に拘わらず、その内容の変更、キャンセル、払戻しはお受けしておりません。ただし、弊社事情により上映を中止した場合に限り、ご購入内容の払戻しをお受けします。」とあります。
返金の可否は劇場の規定や判断によります。ただし、返金は設備不良や広範囲への影響がある場合に限られ、観客同士のトラブルでは改善措置が優先される傾向にあるようです。
チケットを準備し、上映タイトル、開始時刻、座席位置、迷惑行為の内容などを整理し、事実と希望を簡潔に説明すると伝わりやすくなるでしょう。
快適に観るための予防策
迷惑行為が起きたときの対応を知っておくことも大切ですが、そもそもトラブルを避ける工夫をしておくと安心です。座席を選ぶ時点で、通路や出入口から離れた中央ブロック、かつ列の中ほどを早めに確保すると落ち着いて観やすくなります。
また、快適さを重視したい場合は、映画館ごとの上位シートを選ぶのも1つの方法です。
全国に展開している例としては、イオンシネマの「アップグレードシート」や109シネマズの「エグゼクティブシート」などがあります。座席間隔が広く、リクライニング機能やサイドテーブルが付いており、静かにゆったりと鑑賞したい人に向いています。
一方で、特定の劇場にしかない特別席もあります。例えば、ユナイテッド・シネマ豊洲の「プレミア・ペアシート」は2人用ソファタイプで、カップルや夫婦に人気です。
また、109シネマズプレミアム新宿の「プレミアムシート」は、鑑賞中のノイズを抑えるよう設計されています。電動リクライニング機能も備わっており、ホテルラウンジのようにくつろいで映画を楽しめます。
こうしたシートは通常より料金が少し高めですが、周囲の音を気にせず映画に集中できるため、静かな環境を重視する人にとっては費用以上の安心感が得られるでしょう。
お互いに心地よく映画を観るために
映画館で迷惑行為に遭遇したときに大切なのは、冷静に状況を伝え、早めに納得できる形を見つけようとする姿勢です。映画館は観客全員でつくる空間です。お互いを思いやる気持ちが、より快適で豊かな映画体験につながります。
出典
TOHOシネマズ株式会社 特定商取引法に基づく表記
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
