「安いから」と100均の“スマホ充電器”を購入したら煙が…! 安さより「安全」を重視すべき? 火災時に“補償”は受けられるでしょうか?

配信日: 2025.11.04
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「安いから」と100均の“スマホ充電器”を購入したら煙が…! 安さより「安全」を重視すべき? 火災時に“補償”は受けられるでしょうか?
100円ショップやネット通販で手軽に買えるスマホ充電器やUSBケーブルは、「使えるのなら安いもので十分」と思う人も多いかもしれません。しかし、安価な製品は充電器やスマホ本体が焦げる事故のリスクが高いと考えられます。そのような場合、補償は受けられるのでしょうか?
 
本記事では、補償の可否を左右するポイントを解説します。
諸岡拓也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

安価な充電器で発火リスクが指摘される理由

近年、リチウムイオン電池や充電器の発熱・発火に関する相談が増えています。消費者庁によると、2020年度から2024年度の5年間で事故情報データバンクシステムに162件の事故が登録され、そのうち8割以上が電池の異常によるものでした。
 
事故情報データバンクシステムには、スマートフォンで使用されるリチウムイオン電池は、高温になると膨張し、発火等の危険があるとの報告がされています。
 
安価な製品では、過電流防止ICや温度センサーなどの安全部品を省略している場合があります。国が定めた安全基準に適合していることを示す証であるPSEマークがない製品や、粗悪なリチウム電池を使用したものも多く、構造的に発火リスクが高い点が問題です。
 
PSEマークは、電気用品安全法に基づき、国の安全基準に適合した製品に付与されます。しかし、偽造表示や形式的な認証取得だけで、基準を満たしていない粗悪品も報告されています。マークがあっても必ず安全とはいえず、購入時には販売元やメーカー情報を確認することが大切です。
 

補償が認められるのはどんなケース?

充電中に発火してスマホや家具が損傷しても、すぐに補償が受けられるわけではありません。重要なのは、原因が「製品の欠陥」であることを証明できるかどうかです。
 
メーカーの設計ミスや部品不良が原因で、人の生命・身体に被害が出た場合や、スマホ以外の財産(家具や床など)に損害が及んだ場合は、製造物責任法(PL法)に基づいて損害賠償を請求できます。
 
ただし、損害が製品本体だけにとどまる場合はPL法の対象外で、民法による不法行為責任や契約不適合責任などが適用されます。
 
また、使用環境が不適切だったり、純正品以外を接続していたりした場合は、補償が認められにくくなります。そのため、購入履歴や焦げ跡の写真などの証拠を残しておくことが大切です。
 

事故発生時の正しい対応と相談先

発煙や発火が起きたときは、慌てずに次の手順を取りましょう。
 

1. 電源を抜く:感電や延焼を防ぐため、すぐにコンセントを外す。
2. 消防へ通報:火が出ている場合は、迷わず119番へ連絡。
3. 安全を確保してから連絡:落ち着いたら販売店やメーカーに状況を報告。
4. 証拠を残す:焦げたケーブルや破損したスマホは処分せず保管。
5. 専門機関に相談:補償や対応で困ったら、消費生活センター(消費者ホットライン全国統一番号188番)へ相談。

 
感情的に相手を責めるよりも、事実を整理して冷静に伝えることが早期解決につながります。
 

「安さ」より「安全」を重視する選択を

充電器やUSBコードは、誤った使い方をすれば火災や感電を招く危険があります。節約のつもりが高額な修理費や損害に発展することもあります。安さより安全を優先する判断が、家計と命を守る最も確実な方法です。
 

出典

消費者庁 リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう – 身に着ける、持ち歩く製品にも使用されています –
消費者庁 事故情報データバンクシステム 事故情報詳細
 
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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