高収入の代名詞「タワマン」は本当に魅力的? 大宮あたりで「新築戸建て」を買ったほうが“安くて広い家”を買えてお得ですよね?「郊外の戸建て」が注目される理由とは
きらびやかな夜景、駅直結の利便性、ブランドとしての存在感。かつては成功の象徴として語られたタワマン。しかし近年、その価値観が揺らぎ始めています。
コロナ禍を経た働き方の変化、物価上昇や修繕費の高騰などの影響で、子育て世帯を中心に「広さ」や「時間の余裕」を重視する声も増えているのではないでしょうか?
本コラムでは、都心タワマンと、郊外新築戸建てという対比的な2つの住まいの選び方について、大切にすべき価値観と合わせて解説します。
FP2級、AFP、簿記3級
新築タワマンの価値と価格は上昇し続けている
ここ数年、都心のタワーマンション価格は驚くほど高騰しています。
「新築マンション価格指数(2024年)」をもとにしたニッセイ基礎研究所のレポートでは、2005年の価格を指数として100とした際に、2024年の東京都23区の指数が237.4、対してタワマンは312.4と東京23区と比べても1.3倍以上価格が伸びていることが分かります。
新築マンションの中でもタワマンが特出して価格が上昇している背景としては、「立地の希少性」「建築コスト上昇」「海外富裕層の購入意欲の増加」などが考えられます。
近年は、立地によってはどんな広さでも1億円未満では新築タワマンを購入できないレベルまで価格が高騰しています。価格が伸び続けているということは、資産という観点では今でも十分魅力的です。
しかし、居住することを考えた際に、資産価値はあるが狭いタワマンに家族で住むことが正解かどうかは考えなければいけません。
郊外の戸建てが注目される理由
そんな中、都心にこだわらず暮らしやすさを重視する人たちが増えています。郊外の新築戸建てなら、庭付き・駐車場付き・4LDKが5000万~7000万円台で購入できます。
通勤時間が30分延びても、広さはタワマンよりも確保できるでしょう。戸建てなので管理費や修繕費もほとんどかからず、子どもが自由に走り回れる空間が手に入ります。
例えば、埼玉県の大宮エリアは、東京駅まで約30分、新宿へも直通で行けます。駅周辺には大型商業施設があり、医療機関や教育環境も整っています。都心ほど窮屈ではなく、郊外ほど不便でもない。
そんなバランスの良さが、共働き世帯を中心に評価されています。背伸びせずに手が届く等身大の豊かさ、それが、いま郊外が選ばれている最大の理由でしょう。
住まい探しの決め手は、自分と家族の価値観を軸にすべき
都心のタワマンか、郊外の新築戸建てか。どちらが正解というわけではありません。高収入であれば、どちらも十分に選択肢になります。
だからこそ問われるのは、「何を大切にしたいか」です。資産性を重視するなら、都心の立地は売却や賃貸への転用もしやすく、資産としての家を持つ意味では合理的です。一方、「家族との時間をゆったり過ごしたい」「落ち着いた環境で子育てしたい」と考えるなら、郊外の戸建てのほうが適しているでしょう。
どちらを選んでも、そこに間違いはありません。大切なのは、世の中の価値観や見栄ではなく、自分と家族がどんな暮らしを望むのかを軸に決めることです。
タワマンの上層階から見える夜景も、郊外の庭で子どもが走り回る姿も、どちらも幸せの形です。その中で自分たちらしい豊かさを選ぶことこそ、最良の住まい選びといえるのではないでしょうか。
出典
株式会社ニッセイ基礎研究所 「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2024年】~都心は価格上昇が加速。一方、下期にかけて南西部は伸び率鈍化、北部と東部は下落に転じる。
執筆者 : 大林郁哉
FP2級、AFP、簿記3級
