「野口英世の千円札」が“11万円”で落札! 古いお札じゃないのに、なぜ「プレミア紙幣」に!? 高値が付いた理由とは
そんなニュースが話題を集めています。キャッシュレス化が進んで、直接紙幣を手にする機会は減っているかもしれませんが、紙幣そのものに額面を大幅に超える値段がついたと聞くと気になるのではないでしょうか。
とはいえ、どんな紙幣でも高値になるわけではなく、紙幣に印刷された記番号や印刷ミスなど、特定の条件を満たした紙幣が、コレクターの間で「プレミア紙幣」として注目されているのです。
本記事では、注目のプレミア紙幣とは何か、どのような条件で価値が上がるのか、そしてキャッシュレス時代における紙幣の存在意義について、分かりやすく解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
高値がついた理由は?
2025年7月19日から20日にかけて行われた第41回オークションワールド(AW)にて、野口英世の1000円札が額面の100倍にあたる10万円で落札されました(手数料込みの総額は11万1000円)。落札されたのは、2011年以降に発行されたもので、記番号は茶色がかった褐色インクで印刷された紙幣です。
記番号が褐色の野口英世の1000円札の中でも、今回の紙幣は、アルファベット部分が一桁であること、数字が「4」のゾロ目であったこと、そして未使用の新札で保存状態が非常に良好だったことが重なり、10万円という高い評価を受けたと考えられています。
プレミア紙幣の条件とは? コレクター市場の実態
高値で取引されるプレミア紙幣には、いくつかの評価基準があります。
まず注目されるのが、記番号のパターンです。ゾロ目(111111など)や連番、意味のある並び(123456、100001など)は、特に人気があります。また、「AA100000」などのキリ番も希少性が高く、評価されています。
次に、印刷ミスによるエラー紙幣も、コレクターの間で評価が高いです。具体的には、印字のズレ、裁断の誤差、重複印刷などがあり、そのようなものは流通量が極めて少ないため、プレミアがつきやすい傾向にあります。
また、紙幣の保存状態も重要な判断基準の1つです。未使用の新札や、折り目・変色のない良好な状態で保管された紙幣ほど価値が高まります。
これらの条件が複数重なることで、今回のように額面を大きく上回る価格での取引が成立することもあります。プレミア紙幣の価値は、希少性と保存状態の両面から評価されるのです。
キャッシュレス化が進む今、紙幣の価値は?
日本銀行の統計によれば、令和7年現在、紙幣の発行枚数は、平成16年前後のピーク時から約3割減少しています。ここ数年でみると、紙幣発行残高は横ばいから微減傾向にあり、現金利用の場面が縮小していることも影響しているといえるでしょう。
それでも、紙幣は法定通貨としての効力を持ち、誰でも使える決済手段として機能し続けています。災害時や通信インフラが使えない場面では、電子決済に代わる最後の手段となることも少なくありません。
さらに、紙幣は単なる決済手段にとどまらず、日本の歴史や文化を映し出す存在でもあります。
特定の記番号や発行年、印刷方式などにより、実際の流通量が少ない紙幣も存在し、こうした個体差や限定性があるからこそ、紙幣は唯一性を持つ現物資産としての側面を持ち、収集の対象としての魅力を生み出しているのではないでしょうか。
お財布の中にお宝が眠っているかも?
キャッシュレス化が進むなかでも、紙幣には特定の条件を満たすことで市場価値が生まれるケースがあります。記番号や保存状態によっては、額面を大きく上回る価格で取引されることもあるため、お財布の中を見直すことで、思いがけない発見があるかもしれませんよ。
出典
日本銀行 令和7年度の銀行券発注高
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
