家計の現金・預金残高は「1126兆円」にものぼる! しかし若者の“手元キャッシュ不足”が当たり前に…!? もう現金レスが普通なの?
その変化の背景と、家計がとるべき次の一手について、本記事で解説していきます。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
家計の現金・預金は1126兆円へ、構成比は50%前後に低下
日本銀行の資金循環統計(2025年第2四半期・速報)によると、家計の金融資産残高は約2239兆円で過去最高を更新し、そのうち現金・預金は約1126兆円でした。家計の資産構成における現預金の規模の大きさが確認できます。
一方で、現金・預金は前年比でわずかに減少し、構成比も約50%と低下傾向にあり、株式・投資信託などリスク性資産へのシフトが進んだことが背景とみられます。
この「総額は大きいが比率は下がる」動きは、インフレ局面での資産防衛やNISAの後押しなど、家計の選好変化を映したものといえるでしょう。
若年層で手元キャッシュ不足感が広がる背景(物価・資産シフト)
総額では現預金が厚い一方、日常の手元資金が薄いと感じる若年層は少なくありません。要因のひとつは、インフレ下で実質可処分所得が圧迫され、預金への資金流入が鈍化していることが考えられます。
同時に、金利上昇を受けた定期預金や個人向け国債への資金シフトが進み、手元キャッシュを温存しにくい状況です。
日本のキャッシュレス決済比率は42.8%、政府は将来80%目標へ
経済産業省は、2024年のキャッシュレス決済比率が42.8%(決済額141.0兆円)に達し、政府が掲げた「2025年6月までに4割程度」の目標を達成したと発表しています。
内訳はクレジットカード82.9%、コード決済9.6%、電子マネー4.4%、デビットカード3.1%です。政府は将来的にキャッシュレス決済比率80%を目指しており、目標達成に必要な環境整備を進めています。
日常支出のデジタル化が加速する一方で、突発支出や災害時に備えた現金保有の必要性も議論されるため、利便性とレジリエンスのバランスを取ることが重要です。
生活費は現金、余裕資金は運用へ切り分けを
現状では、手元流動性と資産形成の二段構えが有効です。例えば、生活費3~6ヶ月分の流動性資金は普通預金など即時換金性の高い預金で確保し、それを超える余裕資金は金利上昇を踏まえた定期預金や個人向け国債、分散投資の投資信託へと切り分ける設計が考えられます。
キャッシュレス決済比率の上昇に合わせ、家計簿アプリやクレジットカード・コード決済の明細連携で支出可視化を徹底しつつ、固定費の口座引き落としと日常決済のカード・コードを整理すると、手元キャッシュ不足の体感を和らげられるでしょう。
このように、現金レスが当たり前となりつつある一方で、家計にとっては流動性確保と資産形成のバランスが重要です。自分の収入・支出に合わせた「現金+デジタル+運用」の適切な組み合わせを見つけましょう。
出典
日本銀行 資金循環統計(速報)(2025年第2四半期) 9 家計<4>の金融資産・負債残高(35~36ページ)
経済産業省 2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
