生活保護を受けています。12月になると「冬季加算」というのがあると聞きました。どれくらい増えるのか、申請は必要なのかを知りたいです。
今回は、生活保護の冬季加算がもらえる期間や金額などを解説します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
生活保護の冬季加算とは?
令和7年7月の厚生労働省の調査によると、生活保護を受けている被保護実人数は199万93人となっています。前年の同月と比べると1.2%減少していますが、引き続き約200万人近くの人が生活保護制度を利用していることが分かります。
そして、生活保護には「冬季加算」という制度があるのをご存じでしょうか。
冬季加算とは、冬の光熱費や暖房費など生活費の増加に対応するために、いつもの生活保護費に加えて、追加で支払われるお金のことです。冬季加算は期間限定の支援で、寒い地域の生活保護受給者を中心にすべての受給者が受け取ることができます。
冬季加算をもらう条件
では、冬季加算をもらえる条件をチェックしていきましょう。
冬季加算は、世帯人数に応じて増額されます。つまり、生活保護者が家庭に複数人いる高齢者世帯などは、1人世帯に比べて支給額が上がります。
また、冬季加算は冬限定です。10月から翌年4月までのうち、地域によって5~7ヶ月間、冬季加算が支給されます。
この冬季加算が受け取れる地域は、6つに分類されて決められています。平均気温、積雪量、暖房が必要な日数などを総合的に判断し、以下の通り、区分が設定されています。この6つの分類に加え、さらに1級地、2級地などに小さく区分されています。
1区:北海道、青森県、秋田県
2区:岩手県、山形県、新潟県
3区:宮城県、福島県、富山県、長野県
4区:石川県、福井県
5区:栃木県、群馬県、山梨県、岐阜県、鳥取県、島根県
6区:その他の都府県
例えば、北海道など寒冷地にあたる1区や2区の地域では、10月から翌年の4月まで、7ヶ月間支給されます。東京都など6区に該当する、比較的暖かい地域に住んでいる人は、11月から翌年3月の5ヶ月間となっています。
また支給額も地域により異なり、例えば北海道札幌市の3人世帯の場合は、月額2万620円が冬季加算として10月~翌年4月まで支給されます。東京都の場合、同じ3人世帯でももらえる金額は月額4240円となり、11月から翌年3月の5ヶ月間支給されます(いずれも令和7年10月時点)。
自分の地域は何区で、何ヶ月間、いくら冬季加算がもらえるのか知りたい場合は、地域の役所にある生活保護の受付に問い合わせが可能です。また、ホームページなどに掲載されている場合もあるので、確認してみましょう。
冬季加算に申請手続きはいる?
すでに生活保護を受給している場合、冬季加算は自動的に上乗せされるので手続きや申請は不要です。
なお、月の途中で生活保護の受給が始まった場合、日割りで冬季加算が支給されます。月の途中で生活保護の支給が終了した場合も、冬季加算が日割り計算で行われます。
まとめ
生活保護を普段受け取っている人でも、期間限定の冬季加算については知らない方もいるかもしれません。自分はいつから、いくらもらえるのかをチェックしておくと、家計管理の際に参考になります。
今回ご紹介した内容を確認しながら、自分のケースを確認しておきましょう。
出典
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和7年7月分概数)の結果を公表します
厚生労働省 第52回社会保障審議会生活保護基準部会 参考資料 生活保護制度の概要等について
厚生労働省 生活保護法による保護の基準(昭和三十八年厚生省告示第百五十八号)
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
