電車に乗った直後「予定がキャンセル」に! 改札を出ず引き返しましたが「忘れ物をした」と言えば、運賃を払わずに出られますか?“無料で出場できる”ケースとは

配信日: 2025.11.08
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電車に乗った直後「予定がキャンセル」に! 改札を出ず引き返しましたが「忘れ物をした」と言えば、運賃を払わずに出られますか?“無料で出場できる”ケースとは
「電車に乗ったばかりなのに、予定がキャンセルになった」「1駅だけ進んでしまったけれど、すぐ引き返したい」—そんなときに、「忘れ物をした」といえば無料で改札から出してもらえるという方法を思いつく人もいるかもしれません。しかしそのような場合、不正乗車になるおそれがあります。
 
本記事では、JR東日本などの公式ルールをもとに、「無料で出場できるケース」と「そうでないケース」を整理します。
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本当に忘れ物をしたときは、駅員に申し出れば出場できる場合がある

「忘れ物をした」ことを理由に無料で改札を出られるのは、あくまで本当に忘れ物がある場合に限られます。鉄道会社には、正当な理由がある乗客に対して例外的な出場処理を行う仕組みが存在します。これは「鉄道営業法」や各社の「旅客連絡運輸規則」に基づき、駅員が事情を確認し、正当と判断したときのみ許可される運用です。
 

駅員による例外的な出場処理

忘れ物の申告を受けた駅員は、利用区間の確認や本人への質問を通じて状況を判断します。例えば、改札を通過した後に戻る場合や、乗車前に忘れ物に気づいたケースでは、運賃を徴収せず出場を許可することもあります。
 
ただし、これは「制度として誰でも自由に利用できるもの」ではなく、本当に忘れ物をしたと駅員が判断できる状況でのみ適用される仕組みです。単に「予定がなくなった」「1駅間違えた」といった理由では認められません。
 

「忘れ物」を口実にすると不正乗車になるおそれ

鉄道営業法18条では、正当な乗車券を持たずに乗車したり、正しい運賃を支払わずに利用したりした場合、割増運賃が請求されると定めています。
 
この法律に基づき、JR東日本では、普通旅客運賃と、その2倍に相当する額の増運賃を合わせて請求するとしており、往復分の運賃を節約するために嘘をついて出場する行為は、法律上「無賃乗車」として扱われ、結果的に3倍額を支払うことになりかねません。また、JR東日本に限らず、私鉄各社も同様の取扱いをしています。
 
不正乗車が確認されると、改札内でその場で精算を求められるだけでなく、再犯や悪質なケースでは警察への通報対象となることもありえます。例えば「忘れ物をした」と虚偽申告を繰り返す行為は、鉄道会社に損害を与える意図があるとみなされ、割増運賃以上の対応を受ける可能性も否定できません。
 

すぐ戻るだけでも違反の可能性

「1駅しか乗っていない」「すぐ戻るから大丈夫」と考える人もいますが、乗車した時点で運賃は発生しています。鉄道会社は乗車区間の距離に応じて料金を設定しており、「乗って引き返す」こと自体が2区間分(往復)の利用にあたるためです。
 

正しく引き返すには? 状況別に見る精算ルール

予定変更などで駅から引き返したいときは、正しい方法で駅員に申し出れば、トラブルなく対処してもらえます。
 

ICカードの場合

SuicaなどのICカードを利用している場合、1駅だけ乗った先で一度改札を出ていれば、正規の運賃が自動的に引かれるため対応は不要です。ただし、1駅だけ乗った先で改札から出なかった場合、ICカードの記録は同一駅での入出場となってしまいます。このときは、駅員のいる改札窓口に申し出て、正規の運賃を精算する処理をしてもらいましょう。
 

紙のきっぷの場合

紙のきっぷは、自動改札で再利用できないため、駅員に「間違えて乗ってしまった」「予定が変わった」と正直に伝えましょう。駅員の案内に従って、正規の運賃を精算すれば問題ありません。
 

同一駅での入出場が認められる「タッチでエキナカ」制度

JR東日本には、入場後2時間以内であれば同一駅で出場できる「タッチでエキナカ」というサービスがあります。
 
これはエキナカ施設の利用や送迎を想定したもので、交通系ICカードの利用で、出場時に入場券相当額(150円)が自動で精算されます。タッチでエキナカに対応している駅や改札の利用では、駅員に申し出ることなく同一駅での入出場が可能です。
 
ただし、「タッチでエキナカ」を利用する場合でも、電車に乗って引き返す際の往復運賃が免れるわけではないので注意しましょう。
 

「忘れ物」を理由に出場できるのは本当に忘れたときだけ

「忘れ物をした」と言えば改札を出られるという話は、確かに一部の例外では成立します。しかし、それは本当に忘れ物がある場合に限られた対応です。虚偽の理由で出場すれば、鉄道営業法および旅客営業規則に基づき、3倍の運賃を請求されることもあります。
 
予定が変わってすぐ引き返したいときは、駅員に正直に事情を話して正しく精算しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 鉄道営業法
東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則
東日本旅客鉄道株式会社 IC入場サービス「タッチでエキナカ」の利用
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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