11月から「生活保護費」が“2630円(東京23区在住単身世帯)”上乗せされる「冬季加算」、“冬季”ってあるけど何月までもらえるの? 電気代が高い夏に「夏季加算」がないのはなぜ?
一方で、暑さが厳しく電気代も上がる夏季に同様の加算がないことに、疑問を感じる方もいるかもしれません。本記事では、冬季加算の仕組みや支給額、さらに夏季加算が存在しない背景について解説します。
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11月支給分から生活保護の「冬季加算」がスタート
冬は暖房の使用量が増えるため、家計への負担が大きくなります。その負担を少しでも和らげるために、11月支給分から生活保護世帯には「冬季加算」が上乗せされます。
対象は全国の受給世帯ですが、加算額は一律ではありません。都道府県単位で分けられた「地域区分」、居住地の生活水準で変化する「級地」、さらに「世帯人員」によって加算額が異なります。
なお、冬季加算は生活扶助に上乗せされるため、使い道に制限はありません。暖房代として使うのはもちろんですが、食費や日用品の購入に充てることも可能です。
「冬季加算」の加算額は? 何月までもらえるの?
厚生労働省によると、「冬季加算」は11月から翌年3月までの5ヶ月間、生活扶助に上乗せして支給されます。ただし、寒冷地にあたるⅠ区・Ⅱ区では10月から翌年4月までの7ヶ月間に拡大され、冬の寒さにあわせて支給期間が延長されています。加算額は、寒さが厳しい地域や世帯人数が多いほど高く設定されています。
例えば、2025年時点では冬季加算地域区分VI区で、1級地-1に位置づけられる東京都23区在住の単身世帯の場合、1ヶ月あたり2630円、5ヶ月合計で1万3150円が上乗せされます。また、傷病や障害があり常時在宅を余儀なくされる場合や、1歳未満の子どもがいる世帯は「特別基準」が適用され、通常の加算額の1.3倍が支給されます。
電気代が高い夏に「夏季加算」がないのはなぜ?
近年は猛暑が続き、エアコンの使用増加によって夏季の電気代も高くなる傾向があります。こうした負担に対しては、国が一時的に「電気・ガス料金支援」を実施するなど、別の施策で対応が行われています。
一方、生活保護法および厚生労働省令には「夏季加算」の規定が存在せず、自治体が独自に加算を支給することもできない仕組みです。実際に、厳しい暑さで知られる埼玉県熊谷市が夏季加算に関する住民からの要望に回答した際にも、「法令上、市独自で認定することはできない」と説明しています。
冬季加算は寒冷地の暖房費負担に対応することを目的として制度化されているため、夏季に同様の加算がない点は制度設計上の違いによるものといえます。夏季加算創設を求める場合は、市町村ではなく厚生労働省に対して意見を届ける必要がありそうです。
まとめ
冬季加算は、寒さが厳しい冬季に増える光熱費の負担を補うため、生活扶助に上乗せされる仕組みです。支給期間は11月から翌年3月まで、寒冷地では10月から翌年4月までとなっており、加算額は地域区分や世帯人数、居住地の生活水準に応じて決まります。
一方、夏季には生活保護法上の「夏季加算」が規定されておらず、自治体が独自に支給することができない仕組みです。冬季加算の仕組みを理解して上手に活用し、寒い季節の家計管理に役立てましょう。
出典
厚生労働省 第19回社会保障審議会生活保護基準部会 資料
厚生労働省社会・援護局保護課 冬季加算について
厚生労働省 生活保護・福祉一般 生活保護制度
東京都 福祉局 2025 社会福祉の手引
東京都 福祉局 生活保護
経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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